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23.時事問題の基礎入門講座(2016.11.12の講座のテキスト) [2016.11.12の講座のテキスト]

2016.11.12の講座のテキスト

(a) 日本の政治、外交、防衛

・日印首脳会談、日印原子力協定署名(2016.11.11)

安倍首相は、11日、日本を訪れているインドのモディ首相と会談し、この後、日本の原子力関連技術のインドへの輸出を可能にする原子力協定に署名しました。
協定は、平和利用の目的に限って、日本から原子力関連技術などをインドに輸出できるようにするもので、あわせて核物質や原子力設備などに関する情報も交換することができます。
日本が、原子力の平和利用を定めたNPT=核拡散防止条約を締結していない国と原子力協定を締結するのは初めてです。

ニュース用語の解説

今回の日印原子力協定締結の背景には、高い経済成長が続き、深刻な電力不足を原子力による発電で賄いたいインド側と日本企業の海外への原発輸出を後押ししたい日本側の思惑の一致があるとみられるほか、日本として中国を念頭にインドとの協力関係の強化を図りたい安全保障上のねらいがあるものとみられています。
しかし、過去に核実験を行い、核兵器を保有しているとみられているインドに対して、唯一の被爆国である日本が、原子力分野での協力を進めることには、被爆地・広島、長崎を中心に国内には根強い反対があり、野党からも批判の声がでており、政府としては、インドが2008年に出した「核実験を凍結する」という内容の声明を順守するよう求めています。

・日本、パリ協定を締結―2016.11.8

日本が、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を締結しました。
これは、「パリ協定」の承認案が、8日、衆議院本会議で可決され、参議院でもすでに可決されていることから、協定の締結に必要な国内手続きを完了し、関係文書を国連に提出したためです。
「パリ協定」は、アメリカ、中国、ヨーロッパの国々などが締結したため、予想より大幅に早く11月4日に発効し、7日現在100を超える国と地域が締結しています。
COP22=第22回国連気候変動締約国会議は、7日からモロッコのマラケシュで始まっていますが、日本は、10月19日までの期限内に締結できなかったため、COP22の「パリ協定」第1回締約国会議には、正式参加はできず、議決権のないオブザーバーとして参加します。

ニュースの用語解説

「パリ協定」は、2020年から始まる地球温暖化対策国際的な枠組みで、昨年12月世界190か国以上が参加して、パリ郊外で開かれたCOP21=第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議で採択されたものです。2005年に発効した京都議定書に続く地球温暖化対策の国際合意で、先進国に加え、新興国、発展途上国を含む初めての枠組みです。
「パリ協定」は、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、今世紀後半には実質的にゼロにすることを目指していて、すべての国がそれぞれ5年ごとに削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられています。
協定では、締約国が55か国以上になり、それらの国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると30日後に発効すると定めていますが、10月5日にこの2つの条件が満たされ、11月4日に発効したものです。

(b)日本の経済、貿易

(c)日本の社会

・福岡市の博多駅前で大規模陥没事故―2-16.11.9

8日福岡市の博多駅前で大規模な陥没事故が起こった現場では、、福岡市は、穴を埋め戻し、影響を受けた水道などのライフラインの復旧工事を加速させています。
8日午前5時すぎ、福岡市の博多駅前の道路が縦横およそ30メートルにわたって大規模に陥落し、付近の4つのビルに避難勧告が出たほか、一部で断水や停電があるなどライフラインに影響がでました。
陥没は、市営地下鉄の延伸工事が原因とみられ、掘り進めていた岩盤の上部が少しずつ崩れ地下水があふれ出し、急激に陥没したということです。
福岡市は、夜を徹してセメントなどをまぜた特殊な土砂を投入し、穴を埋め戻す作業を続けています。
福岡市では、14日までには、陥没した箇所を埋め戻し、現場の通行を再開したいとしています。
この事故で、現場近くの停電したビルの中にいた70代の女性が階段で足を踏み外し、足に軽いけがをし、病院に運ばれたということです。

ニュースの用語解説

道路の陥没事故は、全国各地で起きていますが、福岡市営地下鉄の工事では、過去にも陥没事故が2件発生しています。2000年6月福岡市中央区で道路が幅約5メートル、長さ約10メートル、深さ7~8メートルにわたって陥没し、2014年10月には今回の現場から約400メートル西で車道の幅・長さ各約3メートルにわたって約3メートル陥没しました。
今回の事故で、国土交通省は、事故原因の調査に乗り出しています。


(d) 国際情勢

・アメリカの大統領選挙でトランプ氏勝利―2016.11.9

アメリカの次期大統領に共和党のトランプ氏が選ばれました。
アメリカの大統領選挙は、8日全米で投開票が行われ、過激な発言で物議をかもしてきた共和党のドナルド・トランプ氏が、優勢を伝えられていた民主党のヒラリー・クリントン氏を破って当選しました。
トランプ氏は、70歳、実業家で不動産王と呼ばれており、公職や軍幹部の経験がない「アウトサイダー」がアメリカの大統領になるのは、初めてで、史上最高齢の大統領になります。また、これによって、共和党が、民主党から政権を8年ぶりに奪還することになります。トランプ氏は、来年1月20日に第45代アメリカ大統領に就任することになっています。
トランプ氏は、8日ニューヨークで勝利宣言し、「歴史的な勝利だ。私は、全ての国民の大統領になる」と述べ、国民の結束を呼びかけました。そして、「アメリカの国益が常に最優先だが、どの国とも公平に付き合うと国際社会に伝えたい」と表明しました。また、「アメリカン・ドリームを復活させる。経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」と強調しました。
一方、敗北したクリントン氏は、一夜あけた9日、ニューヨークで演説し、「選挙で敗れれば悲しいが、われわれは、1つのチームであることを忘れてはならない」と述べ、選挙で分断された国が融和に向かうことに希望を表明しました。

10日、トランプ氏は、オバマ大統領の招きでホワイトハウスを訪れ、外交、内政の重要事項について話し合いました。これから2か月間政権移行について円滑に進めることで意見が一致したということです。トランプ氏は、また、連邦議会を訪れ、上下両院議長とも会談しました。
一方、トランプ氏の大統領就任に反対するデモが、連日ニューヨーク、ロスアンゼルスなど全米各地で行われています。
大統領選挙と同時に行われた議会の選挙で、共和党が上下両院で過半数を維持しました。共和党がホワイトハウスと上下両院の支配を取り戻すのは、ブッシュ政権以来、10年ぶりのことです。
ロシアのプーチン大統領は、トランプ氏の勝利を祝う電報をおくり、米ロ関係を現在の危機的な状況から抜け出させるとともに、直面する国際問題の解決や世界規模の安全保障上の懸念に対する効果的な対策を見出すため、互いに協力していくことに期待を示しました。
中国の習近平国家主席は、トランプ氏に祝意を示すメッセージを送り、「私は、米中関係を非常に重視しており、衝突も対抗もせず、ウィンウィンの原則の下、あなたとともに両国の協力を進めていくことを期待している」と述べ、米中関係の安定が重要だという認識を強調しました。
安倍首相は、トランプ氏に宛てた祝辞の中で、「日米両国は、普遍的な価値の絆で固く結ばれたゆるぎない同盟国だ」として、「トランプ氏と手を携えて、世界の直面する諸課題に取り組んでいきたい」と述べました。
安倍首相は、17日ニューヨークでトランプ氏と会談する予定です。

ニュースの用語解説

・アメリカの大統領になる資格と権限、任期

資格―アメリカ生まれ、14年以上アメリカに在住、35歳以上のアメリカの市民
権限―行政のトップ(各省庁、ホワイトハウス(NSC=国家安全保障会議、USTR=米通商代表部)など)、外交のトップ(首脳会談、首脳会議に出席)、軍のトップ(最高司令官、文民の大統領として最終判断)このほか、アメリカ国民の「統合の象徴」、政権党の党首、
任期―1期4年で2期8年までつとめることができます。

・アメリカの大統領選挙の仕組み

アメリカの大統領選挙は、4年に1度行われます。(偶然の一致ですが、夏季オリンピックの開催と同じ年です)
アメリカの大統領選挙では、1月か2月から6月にかけて、民主党と共和党は、それぞれ全米50州と首都のワシントンで、予備選挙または党員集会を開き、どの大統領候補を支持するかをあらかじめ表明している代議員を選びます。
7月か8月に民主党と共和党は、それぞれ党大会を開き、その党の大統領候補と副大統領候補を指名します。過半数の代議員を確保した候補がその党の大統領候補として指名されます。
各党の候補は、ここから11月の本選挙までテレビ討論会や各地での遊説を通じて激しい選挙戦を展開します。
本選挙の投票は、11月の第1月曜の次の火曜に行われます。投票できるのは、18歳以上の有権者で投票登録を行った者だけに限られています。
大統領選挙人は、全米で計538人で、各州と首都ワシントンの大統領選挙人の数は、人口に応じて割り当てられています。大半の州は、最多得票の候補者が選挙人全員を獲得する「勝者総取り方式(winner-take-all)」をとっています。過半数の270人以上を獲得した候補者が大統領に当選したことになります。この段階で、実質的に次期大統領が決まることになります。
あとは、形式的なことになりますが、選ばれた大統領選挙人は、12月に各州の州都に集まり、大統領を選ぶ投票を行い、それらの票が、首都ワシントンの連邦議会に送られ、来年1月に開票され、過半数の270票以上を獲得した大統領候補が正式に選ばれ、1月20日に大統領に就任します。

アメリカでは、大統領選挙と同時に、下院議員全員(任期2年で435人)、上院議員(任期6年で100人、2年ごとに3分の1改選)の3分の1(今年は34人)、知事(今年は12州、任期2年)の選挙も行われます。

・選挙結果(日本時間 きょう12日正午現在、Real Clear Politicsによる)

トランプ  大統領選挙人 290人   得票率 47.4%
クリントン 大統領選挙人 228人   得票率 47.7%

上院    共和党 52人   民主党 48人
下院    共和党 238人  民主党  193人

次期大統領―ドナルド・トランプ(Donald Trump)1946年6月14日生まれ、70歳。主な経歴は、不動産開発、カジノの会社経営、テレビ番組の司会者、議員、知事、閣僚など公職未経験者の大統領。
共和党の予備選・党員集会では、トランプ候補は、主流派に不満を持つ所得の低い白人層を中心とする支持層を取り込み、主流派候補を撤退に追い込み、党大会で圧勝。.
次期副大統領―マイク・ペンス(Mike(Michael Richard) Pence)1959年6月7日生まれ、57歳、インディアナ州知事。

トランプ氏は、大統領選挙戦を通じて、女性蔑視発言、メキシコとの国境に巨大な壁を建設し、不法移民を強制送還、イスラム教徒の一時入国禁止など暴言をはいてきましたが、「エスタブリッシュメント(既存の支配層)」の政治を徹底的に批判し、雇用を拡大し、経済を活性化し、アメリカを再び大国にするとアメリカ第一主義をアピールしました。これが、アメリカの現状に不満をいだいている白人の中間層や無党派層からの支持を集めたとみられています。特に“隠れトランプ”と言われる人たちの多くが投票し、それが今回の勝利につながったと分析されています。
一方、クリントン氏は、女性初の大統領をめざし、国務長官、上院議員などの経験と実績を強調し、万全の組織力と資金力で臨みましたが、国務長官時代に私用メールを使っていたことと選挙終盤にFBI=連邦捜査局がメール問題で再捜査を始めたという発表も敗北に影響を与えたものとみられています。
トランプ氏もクリントン氏も“不人気”候補といわれ、両方とも支持率が50%を切るような状態でした。これまで、アメリカ人はテレビ討論をみて誰に投票するかを決めるといわれてきましたが、3回行われたテレビ討論でも双方が相手候補を誹謗中傷し、泥仕合のような状態で“史上最低“のテレビ討論といわれました。
トランプ氏は、“トランプ旋風”といわれる、短いフレーズで刺激的な言葉を使い、アピールするやり方で、人々の心をつかむ“ポピュリズム”(大衆迎合主義)で、選挙で勝利を収めましたが、今度大統領の職に就いて、実際の政策の中でどうやって実行に移していくか、さらに、今度の選挙で分断されたアメリカの国民をどうやって融和をはかっていくのか、そして、アメリカを再び大国にできるかが問われています。

・韓国のパク大統領の退陣を求める大規模なデモ―2016.11.12

きょう12日午後、韓国の首都ソウルで、パク・クネ大統領の退陣を求める大規模な抗議集会が開かれます。
土曜日の大規模抗議集会は、3週連続で、革新系の労働組合や市民団体などが主催するもので、野党3党の代表も参加します。
警察では、パク大統領が関連したとみられる一連の疑惑が発覚した後では、最も多いおよそ17万人が参加するものと見込んでいます。
(13日のソウルからの報道によりますと、参加者数は、警察発表で26万人、主催者発表で100万人でした)
韓国の検察は、これまでにパク・クネ大統領の40年来の友人の女性実業家チェ・スンシル容疑者や大統領府の首席秘書官ら側近を逮捕したほか、11日にはチェ容疑者と親しいかった映画監督のチャ・ウンテク容疑者を逮捕しました。さらにサムソン電子など大手企業にも捜査の手が及んでいると伝えられています。
検察は、今月中にパク大統領本人から事情聴取を行うものとみられています。

ニュースの用語解説

パク・クネ氏とチェ・スンシル容疑者は、1974年パク氏の母親が父親パク・チョンヒ大統領をねらった凶弾に倒れたましたが、翌1975年に宗教家だったチェ容疑者の父親に相談したことから親しくなったといわれています。父親のパク大統領も在任中の1979年に暗殺され、両親を亡くし、妹や弟とも不仲だったパク氏を支えたのがチェ容疑者だったということです。
チェ容疑者は、1998年国会議員に初当選したパク氏の選挙を応援し、2006年パク氏が暴漢に切り付けられた時も、チェ容疑者の家族が看病したといわれています。
パク氏は、2013年大統領に就任した後も孤独で、公務がない時の食事は1人で済ませることが多く、公務の相談は、大統領府秘書官の「3人組」と言われる側近に、個人的な相談はチェ容疑者に持ちかけたといわれています。
チェ容疑者は、「影の実力者」と呼ばれ、パク氏を支援し、国政のことで助言していたといわれていますが、今回の事件に関する捜査の最大の焦点は、「大統領記録物管理法」で禁じられている大統領府の文書流出に関する疑惑です。
大統領の任期は、1期5年のみで、パク氏の任期は2018年までとなっており、憲法の規定で在職中は刑事訴追はされないことになっていますが、検察の捜査がどこまで及ぶかが注目されています。

タグ:時事問題
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