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27. 時事問題の基礎入門講座(2017.3.11の講座のテキスト) [2017.3.11の講座のテキスト]

27. 時事問題の基礎入門講座(22017.3.11の講座のテキスト)

(a) 日本の政治・外交・防衛

・南スーダン派遣の陸上自衛隊施設部隊撤収へー2017.3.10

政府は、南スーダンでの国連のPKO=平和維持活動に派遣している陸上自衛隊の施設部隊について、今の派遣期間が今月終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに撤収させる方針を決めました。
これは、10日開かれたNSC=国家安全保障会議で決め、安倍首相が記者団に発表したものです。
施設部隊は、およそ350名で、南スーダンの首都ジュバとその周辺で、道路や橋などの整備にあたっていますが、今回の派遣からは、安全保障関連法に基づいて、国連の関係者などが襲われた場合、救援に向かう「駆けつけ警護」の任務が初めて付与されました。
一方、政府は、現地の司令部への要員4名の派遣は継続することにしています。

・国会で国有地売却問題論議―2017.3.8

国会では2月中旬から3月中旬にかけて国有地の売却に関連した問題が主要議題になり、鑑定価格より低く売却された事案で、政治家による関与の疑いが提示されました。
これは、大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格より低く売却した小学校建設用地の問題で、鑑定では9億5600万円でしたが、売却価格は1億3400万円でした。大幅に低くなったのは、「ゴミの撤去費用」として8億円余りが差し引かれたからだと説明されています。
これについて、野党側は、政治家など外部からの不当な働きかけがあったのではないか、安倍首相夫人の昭恵氏は「森友学園」の小学校の名誉校長をつとめていたが関係はないのか(問題化した後辞任)などとただしましたが、安倍首相は、「私も妻も売却あるいは認可に一切関わっていない。関わっていれば職を辞するということは明確に申し上げている通りだ」と強調しました。また、「今回の売却は、法令などに基づき、適正な手続きと適切な算定によって行われたものだと財務省と国土交通省が説明している」としたうえで、「政治家から不当な働きかけがあったかどうかは、財務省理財局長が『一切ない』と何度も答弁しているところだ」と述べました。しかし、野党側は、納得せず、「森友学園」の理事長の参考人招致を重ねて要求しています。与党側は、これに応じていません。
なお、「森友学園」の籠池泰典理事長は、10日、記者会見し、小学校の設置申請を取り下げるとともに、理事長を退任すると発表しました。

(b) 日本の経済・貿易

・2017年度予算案、年度内成立へー2017.2.27

過去最大規模の2017年度予算案は、2月27日、衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。
予算案は、憲法で定められた衆議院の優越で、仮に参議院で採決が行われない場合でも、参議院に送られてから30日後の3月28日に自然成立します。
予算案の一般会計の歳出額は、97兆4547億円と前年度の当初予算に比べると7329億円増え、5年連続で過去最高を更新しました。
高齢化で医療や介護などに使う社会保障費が4997億円増え、32兆4735億円と歳出の3割超を占めています。北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対応するため、防衛関係費も710億円増やし、過去最大の5兆1251億円となっています。
このほか、国から地方自治体に配分する地方交付金も増えて15兆5671億円、公共事業費は5兆9763億円、ODA=政府開発援助は5527億円と前年度の当初予算よりわずかながら増えました。
国債の償還や利払いに充てる国債費は、日銀のマイナス金利政策で金利が下がっていることから、前年度より減って23兆5285億円となりました。
一方、歳入では、税収が57兆7120億円で、前年度の当初予算より1080億円増える見込みです。
新たな借金にあたる国債の新規発行額は、34兆3698億円と、当初予算としては7年連続で前の年度を下回りますが、歳入の35%に上っています。。

(c) 日本の社会

・東日本大震災から6年―2017.3.11

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から、きょう3月11日で丸6年を迎えました。
6年前の2011年3月11日午後2時46分頃、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。津波と地震で宮城県、岩手県、福島県を中心に各地に大きな被害をもたらしました。
警察庁のまとめによりますと、震災の死者は1万5893人、行方不明者は2553人となっています。
また、復興庁によりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる震災関連死は3523人となっています。
東日本大震災による死者と行方不明者は、震災関連死を含めて少なくとも合わせて2万1969人に上っています。
復興庁によりますと、避難生活を余儀なくされている人は12万3168人に上っています。
福島県では、住民の帰還が難しい帰還困難区域を除く、多くの地域で避難指示が解除されていますが、放射線への不安や生活基盤の整備の遅れなどから、帰還しない意向を示す住民も多くいて、地域再生への課題が山積しています。

(d) 国際情勢

・韓国のパク・クネ大統領罷免―2017.3.10

韓国のパク・クネ(朴 恵)大統領が罷免され、60日以内に大統領選挙が行われることになりました。
韓国の憲法裁判所は、10日、8人の裁判官が全員一致で、国会が可決したパク・クネ大統領の弾劾訴追を妥当だとする決定を言い渡し、パク大統領は直ちに失職しました。大統領の罷免は、韓国の憲政史上初めてのことです。
憲法裁判所は、パク氏が秘書官を通じて職務上の秘密に該当する文書を友人のチェ・スンシル(崔順実)被告に流出させた行為は国家公務員法の守秘義務違反にあたり、チェ被告が実質支配した財団の資金集めにパク氏が協力し、パク氏がチェ被告の利益のために大統領の地位と権限を乱用したと認定し、「大統領の違憲・違法行為は、国民の信任に対する裏切り行為だ」と述べました。
罷免されたパク氏は、検察がパク氏とチェ被告がからんだ一連の事件を捜査してきていますので、逮捕・起訴される可能性があるといわれています。
パク氏が大統領を罷免されたことによって、60日以内に大統領選挙が行われることになりました。
すでに立候補を表明した、あるいは立候補の可能性のある政治家について、最新の各種世論調査によりますと、革新系の最大野党「共に民主党」のムン・ジェイン(文在寅)前代表が35%前後で断然トップに立っています。

・北朝鮮、弾道ミサイル4発同時発射―2017.3.6

北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル4発を同時発射し、在日アメリカ軍への攻撃を担う部隊の訓練だったと発表しました。これに対し、日本など関係国は強く反発しています。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、7日、北朝鮮が6日弾道ミサイルを発射したことについて、「有事に際に在日アメリカ軍基地への攻撃を担う朝鮮人民軍戦略軍火星砲兵部隊の訓練だった。訓練は、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が指導し、成功だった」と報じました。
日本政府の発表によりますと、弾道ミサイル4発はほぼ同時に発射され、いずれもおよそ1000キロを飛び、秋田県男鹿半島から西におよそ300キロから350キロの海上に落下したということです。3発は、日本のEEZ=排他的経済水域内に、もう1発はEEZ付近に落下したということです。
これについて、安倍首相は、6日国会で、「北朝鮮が新たな段階の脅威であることを明確に示すものだ。国連安全保障理事会の決議に明確に違反するもので断じて容認できない。厳重に抗議し、強く非難した」と述べました。
安倍首相は、7日、アメリカのトランプ大統領と電話で協議し、日米や日米韓で緊密に連携していくことを確認したということです。
韓国の大統領の権限を代行しているファン・ギョアン(黄教安)首相も、トランプ大統領と電話で協議し、引き続き連携して対処していく方針を確認したと伝えられています。
アメリカ政府と韓国政府は、7日THAAD=高高度迎撃ミサイルシステムの一部装備が韓国に搬入されたと発表しました。

一方、中国の王毅外相は、8日北京で記者会見し、北朝鮮の核・ミサイル開発を非難する一方、アメリカと韓国が大規模な軍事演習を行っていることに懸念を示し、「赤信号をともして、同時にブレーキをかけることが急務だ」と述べ、関係するすべての国に自制を強く求めました。
また、王外相は、アメリカの最新の迎撃ミサイルシステムTHAADの韓国への配備について、懸念を表明し、韓国に配備の動きを止めるよう促しました。

国連安全保障理事会は、7日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を「地域をさらに不安定化させるもので、安保理に対する挑戦だ」として、北朝鮮を「強く非難する」報道機関向けの声明を発表しました。この声明は、ミサイル発射は、安保理決議に対する「重大な違反」だとして、北朝鮮に核実験を含むさらなる挑発行為をやめるよう訴えています。この声明は、法的拘束力はありませんが、国連加盟国に、北朝鮮に対する制裁措置の履行に向けて努力を倍増するよう求めています。

・北朝鮮、マレーシア対立激化、互いに滞在者の出国禁止―2017.3.7

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の異母兄のキム・ジョンナム氏がマレーシアの首都クアラルンプールで殺害された事件をめぐって、北朝鮮とマレーシアが激しく対立し、お互いの国の駐在大使を国外退去処分にし、さらに相手国にいる滞在者の出国を認めない措置をとっています。
マレーシア政府から「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として国外退去を命じられた北朝鮮のカン・チョル・マレーシア駐在大使は、6日クアラルンプールから出国し、北京経由で帰国の途に就きました。
一方、朝鮮中央通信が6日伝えたところによりますと、北朝鮮外務省は、マレーシアの北朝鮮駐在大使を国外退去処分にすると発表しました。ただし、同大使は、北朝鮮のカン大使の事件後のマレーシア当局に対する批判の発言を受けてマレーシア政府がすでに本国に召還し帰国しています。
北朝鮮外務省は、7日、北朝鮮の滞在するマレーシア人の出国を一時的に禁止すると発表しました。これは、カン大使のマレーシア追放に抗議の意を示したものとみられています。一方、マレーシア政府もマレーシアにいるすべての北朝鮮国民の出国禁止を発表しました。これは、北朝鮮の措置に対応したものだと述べています。

一方、マレーシア警察は、10日、記者会見で、殺害されたのは、キム・ジョンナム氏であることを確認したと発表しました。しかし、その確認方法などについては明らかにしませんでした。

キム・ジョンナム(金正男)氏殺害事件をめぐって、動向が注目されている息子のキム・ハンソル氏を名乗る男性の動画が、7日、動画サイト「ユーチューブ」で公開されました。
動画は40秒で、男性が、「私の名前はキム・ハンソル。北朝鮮籍で、キム一族の一人です。私の父は、数日前に殺されました。私は、今母と妹(あるいは姉)と一緒にいます。もうすぐ状況が良くなることを望んでいます」と話しています。
動画を公開したのは、「チョンリマ民間防衛」と称する団体で脱北者を支援する団体ではないかとみられていますが、詳しいことはわかっていません。

・中国の全人代開くー2017.3.5

中国の全人代=全国人民代表大会が5日始まり、李克強首相が政治活動報告を行い、焦点の今年の経済成長率の目標を6.5%前後とし、6.5%から7%としていた昨年の目標を引き下げることを明らかにしました。目標を引き下げるのは3年連続のことです。これは、引き続き成長の速度よりも質と効率性を重視し、今年秋に最高指導部が入れ替わる5年に1度の共産党大会を控え、「安定重視」を強調したものとみられています。
また、李首相は、貧困人口の削減や環境汚染対策など国民の生活の向上に取り組む決意を改めて強調しました。
さらに、李首相は、「脱グローバリズムや保護主義の傾向が強まり、不安定な要素が明らかに増している」と指摘したうえで、「中国は、揺ぎなくグローバルな経済協力を推し進める。RCEP=東アジア地域包括的経済連携の交渉を早期に妥結させたい」と述べ、アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権を暗に牽制しました。

中国の財務省が6日明らかにしたところによりますと、今年の予算案では、国防費は昨年より7%増加し、総額1兆443億9700万人民元、日本円にして17兆円が計上されているということです。
中国の国防費が1兆人民元の大台を突破したのは初めてで、10年間で3倍に膨らんでいます。
これは、アメリカに次ぐ世界で第2位の規模を維持していることになります。

・トランプ米大統領、入国制限の新大統領令に署名―2017.3.6

アメリカのトランプ大統領は、6日、新たに中東やアフリカの6か国の人の入国を制限する大統領令に署名しました。
トランプ大統領は、1月にテロ対策を強化するためとして、中東やアフリカの7か国のシリア、イラク、イラン、リビア、スーダン、イエメンの人の入国を一時的に禁止する大統領令に署名しましたが、これについては、一部の州などで差別的だとして法廷での争いに発展しています。今回の大統領令は、イラクを対象国から除き、6か国の人の入国を90日間に制限しています。前回の大統領令は、直ちに執行され、ビザや永住権を得ている人も入国できず、混乱がおきましたが、今回は、10日間の準備期間を設けているほか、入国制限の対象を新たなビザの申請者のみにしています。このため、今回は前回に比較して影響を受ける人は少ないものとみられますが、一部の州では、法的な手段をとることを検討していると伝えられ、今後の動きが注目されます。

タグ:時事問題
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