SSブログ

15.時事問題の基礎入門講座(2016.3.12の講座のテキスト) [2016.3.12の講座のテキスト]

*2016.3.12の講座のテキスト*

(a)日本の政治・外交・防衛


(b)日本の経済・貿易

・ 政府、TPP承認案と関連法案を閣議決定、国会提出(2016.3.8)

政府は、8日、TPP=環太平洋経済連携協定の批准に向け、国会の承認を求める議案と関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。
TPP協定をめぐっては、日本やアメリカなど参加12か国は、2月協定文書に署名し、協定の発効に向けて、それぞれの国が国内手続きを進めることになっています。
TPP協定には、参加国は、95%から100%の品目の関税を撤廃するほか、ビジネスや投資に規制も緩和することになっています。日本は、日本が輸入する農林水産品や工業製品など9321品目のうち、95%に当たる8862品目の関税を撤廃することになっています。
TPPの関連法案は、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめたもので、関税が下がって輸入が急増した時の緊急輸入制限(セーフガード)の手続きを定める関税暫定措置法の改正や著作権の保護期間をいまの「作者の死後50年」から「死後70年」に延ばす著作権法の改正などが盛り込まれています。
政府としては、世界経済のおよそ4割を占める自由経済圏の貿易協定であるTPP協定の発効に向け、今国会の会期中の承認、成立をめざす方針です。
しかし、民主党、共産党など野党は、TPP協定に反対しており、政府による協定の経済効果の試算には疑問がある、関税撤廃が国内の農家に与える影響は大きいなどと主張して、政府を追及する構えで審議は難航するものとみられています。
また、TPP協定の発効には、日本に加えてアメリカの批准が不可欠ですが、アメリカでは、11月に大統領選挙が予定されており、有力候補である民主党のクリントン前国務長官も共和党のトランプ氏もTPP協定に反対という立場をとっており、議会での批准承認には難航が予想されています。いずれにせよ、アメリカの批准は、大統領選挙後になるものとみられています。

・ニュースの用語解説

TPP(=Trans-Pacific Partnership free trade agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定などといわれています。
もともとTPPは、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4か国で2006年に発効した自由貿易協定で、2010年アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムを加え、8か国で交渉開始、マレーシアの交渉参加で9か国に、2012年メキシコ、カナダの交渉参加で11か国、2013年日本の交渉参加で、合わせて12か国になりました。
TPP交渉では、モノやサービスのやりとりを自由化することを原則に、貿易だけでなく、特許など知的財産権の保護や投資などについての共通のルール作りを目指しました。
TPP交渉は、2015年10月アメリカのジョージア州アトランタで開かれた閣僚会合で大筋合意に達しました。
そして、TPP協定に参加する日本、アメリカなど12か国は、2016年2月ニュージーランドのオークランドで、協定の署名式を行いました。
TPPは、日本やアメリカなど世界のGDP=国内総生産の4割を占める12か国が参加し、アジア太平洋地域での貿易や投資の自由化に加え、サービスや知的財産などのルールを決める包括的な経済連携協定です。
TPP協定の署名によって、2015年10月に大筋合意した協定文が確定し、今後は、議会承認などの国内手続きが本格化することになります。協定が発効するためには、2つの段階があります。2年以内に参加する12の国すべてが議会の承認など国内手続きを終えれば、協定は発効することになっています。しかし、2年以内にこうした手続きを終えることができなかった場合には、12か国のGDPの85%以上を占める少なくとも6か国が手続きを終えれば、その時点から60日後に協定が発効することになっています。
TPPをめぐっては、12か国のほかに、韓国、インドネシア、台湾、タイ、フィリピンが参加の意向を明らかにしています。

(c)日本の社会

・東日本大震災から5年(2016.3.11)

東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故の発生から11日で5年を迎えました。
発生時刻の午後2時46分には、被災地のほか全国各地で黙とうし、犠牲者への祈りをささげました。東京では、政府主催の追悼式が行われました。
5年前の2011年3月11日、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せ、各地に多くの被害をもたらし、多数の犠牲者を出しました。
警察庁が10日現在でまとめたところによりますと、これまでに死亡が確認された人は、1万5894人、行方不明者は、2561人となっています。
また、復興庁がまとめたところによりますと、震災後の体調悪化や自殺による震災関連死は、3407人に上り、震災による犠牲者は、関連死を含めると2万1000人を超えています。
復興庁によりますと、仮設住宅や賃貸住宅など避難生活を余儀なくされている人は、17万4000人余りとなっています。また、自力で住宅を再建できない人のために建設される災害公営住宅は、2万9900戸余りの計画に対して、完成しているのは、1万4466戸と48%にとどまっています。
一方、東京電力福島第1原子力発電所では、3基の原子炉でメルトダウンが起きるという世界最悪レベルの事故が発生しましたが、現在は、廃炉に向けたきわめて困難な作業が行われています。溶け落ちた核燃料の取り出しに向けた調査、汚染水の処理などです。さらに、原発事故による避難指示区域からの避難者は、およそ7万人に及んでおり、避難指示が解除された地域についても帰還者は少ないといわれています。
政府が決めた集中復興期間は、3月末で終わりますが、東北などの被災地では、住宅の建設や防波堤や道路の整備など当初の計画より遅れるなど復興の遅れが大きな課題となっており、被災地がかつての日常を取り戻すにはまだ道は遠いとみられています。

政府は、東日本大震災から5年となる11日の閣議で、東日本大震災の復興に関する2016~2020年度の基本方針を決定しました。
今後の5年間を復興の「総仕上げ」にあたる「復興・創生期間」と位置づけ、被災地の自立を促す支援策を明記し、復興事業費として6兆5000億円を計上しています。
地域ごとに復興の進捗にばらつきがあることを踏まえ、心身のケアから農業、産業再生まできめ細かく支援する、鉄道の復旧や東北地方への外国人観光客の誘致を加速させるなどの方針を打ち出しています。
東京電力福島第1原子力発電所の事故の影響が残る福島県については、2020年度以降も、政府が前面に立って中長期的な対応に取り組むことを強調しています。

。ニュースの用語解説

・東日本大震災の復興予算

東日本大震災の復興については、政府は、2011年度から10年間を「復興期間」と定め、総額32兆8000億円を復興予算として計上しています。
これまでの5年間を「集中復興期間」とし、26兆3000億円を、これからの5年間を「復興・創生期間」とし、6兆5000億円を割り当てています。
これまでの5年間は、住宅再建・まちづくりに10兆円、被災者の健康・生活支援に2兆1000億円、産業・なりわいの再生に4兆1000億円、原子力災害からの復興に1兆6000億円などを割り当てています。
これらの財源としては、復興増税10兆5000億円で、そのうち所得税7兆3000億円、法人税2兆4000億円などです。また、歳出の削減6兆9000億円で、子ども手当の見直し、高速道路無料化の見直し、公務員人件費の削減によるものです。さらに、政府資産の売却やその他の収入で5兆6000億円などとなっています。
「集中復興期間」の予算の総額26兆3000億円は、国の2016年度予算案の96兆7000億円の4分の1強、被災の宮城、岩手、福島3県の予算案の4兆3000億円のおよそ6倍にあたります。国民1人あたり20万円程度になる大きさです。

・高浜原発、運転差し止め命令(2016.3.9)

福井県にある高浜原子力発電所の3号機と4号機の原子炉について、住民が運転停止を求めていた裁判で、大津地方裁判所は、9日、運転中の原発に対して運転停止を命じる仮処分の決定をしました。
2011年3月の東京電力福島原発の事故後に再稼働した原発の運転を禁止する司法判断は初めてです。
大津地裁は、福島原発事故の原因が解明されていない中で、地震や津波への対策や避難計画に疑問が残ると指摘し、安全性に関する関西電力の証明は不十分だと判断しました。
この判断は、高浜原発の2基について、滋賀県内の住民29人が、再稼働前の昨年1月運転の停止を求める仮処分を申し立てていたことに対して行われたもので、仮処分は、ただちに効力をもつため、関西電力は、すみやかに運転を停止することになります。
高浜原発の3号機と4号機の2基は、2015年2月国の原子力規制委員会が行った新規制基準への適合性審査に合格し、3号機は今年1月に再稼働し、4号機も翌2月に再稼働しながら、直後にトラブルが発生したため、運転を停止しています。
関西電力側は、仮処分の決定は、到底承認できないとして、運転停止を命じる決定の取り消しを求めて裁判所に異議申し立てを行う方針を明らかにしました。
菅官房長官は、記者会見で、「高浜原発の3号機と4号機は、独立した原子力委員会が、専門的見地から十分時間をかけて、世界最高水準といわれる新規制基準に適合すると判断したものであり。政府としては、その判断を尊重して、原発の再稼働を進める方針に変わりはない」と述べました。

・ニュース用語解説

・原子力規制委員会
政府は、2011年3月の東京電力福島第1原発の事故のあと、原子力規制を一元化するため、2012年9月原子力規制委員会を発足させました。原発の再稼働に向けた審査や事故対応、放射線モニタリング、核不拡散の保障措置など原子力の規制を一元的に担う組織で、環境省の外局ですが、独立した権限をもっています。原発推進の経済産業省から規制部門の原子力安全・保安院を分離し、原子力安全委員会や文部科学省の関連部門を統合したものです。

・新規制基準
原子力規制委員会は、2013年6月原発再稼働の条件となる原発の新規制基準を策定し、同年7月施行されました。この基準は、①大きく想定を上回る自然災害やテロ攻撃などに備えた重大事対策②活断層調査の強化や津波防護策を定めた設計基準である耐震・耐津波性能③既存設備の安全対策を強化する設計基準である自然現象・火災に対する考慮などを定めています。原発の運転期間については、基本40年、最長60年としています。

2011年3月の東京電力福島第1原発の事故後、国内の原発すべては停止されました。
しかし、2015年8月、新規制基準の下で、原発の再稼働が始まりました。
これは、九州電力は、鹿児島県にある川内(せんだい)原子力発電所1号機を起動し、再稼働させましたためです。2011年3月東日本大震災の際起こった東京電力福島第1原子力発電所の事故の後、2013年7月に原子力規制委員会の新規制基準が導入されてから、原発が再稼働したのは、初めてです。続いて、川内原発2号機も2015年10月再稼働しました。
関西電力高浜原発3号機、4号機(福井県)が2015年2月に、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)が2015年7月に原子力規制委員会から新規制基準に適合すると認められました。

・高浜原発3号機、4号機
原子炉は、加圧水型炉で、3号機、4号機ともに87万キロワットです。1985年に運転を開始しました。2011年3月の東日本大震災の際の東京電力福島第1原発事故後、3号機は、2012年2月、4号機は、2011年7月から定期検査のための運転を停止しました。2015年4月福井地方裁判所の運転差し止めの仮処分の決定で2基は動かせなくなりました。しかし、同年12月福井地裁は関西電力が申し立てた保全異議を認め、運転差し止めの決定を取り消しました。2基は、今年1月と2月にそれぞれ再稼働していました。しかし、4号機は、2月末変圧器の保護機器のトラブルのため、緊急停止し、冷温停止の状態に戻しているといわれます。


(d)国際情勢

・米韓、最大規模の合同軍事演習、北朝鮮、米韓との対決姿勢(2016.3.7)

アメリカ軍と韓国軍は、7日韓国でこれまでで最大規模の合同軍事演習を開始し、一方北朝鮮は、対決姿勢を強めています。
米韓合同演習は、毎年この時期に韓国で行われているものですが、今回は、北朝鮮による1月の核実験や2月の事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、過去最大規模となり、韓国軍からおよそ30万人とアメリカ軍からおよそ1万7000人が参加しているほか、アメリカの原子力空母「ジョン・ステニス」や最新鋭のステルス戦闘機「F22」なども派遣されています。
演習には、北朝鮮が核ミサイルを発射する兆候をつかんだ場合の先制攻撃を想定したシナリオも含まれているということです。
演習は、韓国各地で4月30日まで行われる予定です。
一方、北朝鮮の国防委員会は、7日国営の朝鮮中央通信を通じて声明を発表し、「アメリカとその追従勢力からの核戦争の挑発に対応するため、総攻勢に入る。そして、より先制的で攻撃的な核攻撃になるだろう」と述べ、対決姿勢を強めています。

・ニュースの用語解説

米韓合同軍事演習は、3月7日から韓国各地で始まり、核・ミサイル開発を続けて脅威を増している北朝鮮に対して、米韓は想定をゲリラ戦主体の戦闘態勢で対応する「史上最大、史上最先端」の演習です。
演習は、米軍の増援演習「キー・リゾルブ」と米韓軍の野外実働演習「フォール・イーグル」を同時におこなっています。「キー・リゾルブ」は、増援軍は、武器弾薬などの集積地となる南部・慶尚北道倭館の在韓米軍基地「キャンプ・キャロル」などに集結、96時間以内に前線に展開する演習で、「フォール・イーグル」は、水陸両用車や攻撃ヘリなどを使った上陸・進撃訓練、特殊部隊が参加する
核兵器などの大量破壊兵器除去訓練、空爆やミサイル攻撃、特殊部隊などを使った敵重要拠点の制圧訓練などです。
規模は、韓国軍およそ30万人、アメリカ軍およそ1万7000人で、韓国側が例年の1.5倍、アメリカ側が2倍になっています。アメリカ軍から原子力空母、原子力潜水艦、強襲揚陸艦。空中給油機なども参加しています。

・中国、経済成長率の目標引き下げ(2016.3.5)

中国が、経済の減速が鮮明になる中で、今後5年間の中期計画で、経済成長率の目標を6.5%に引き下げることを明らかにしました。
これは、李克強首相が、5日始まった全人代=全国人民代表大会で行った政府活動報告の中で明らかにしてものです。
李首相は、2016年から2020年までの5年間の経済成長率の目標を年平均6.5%以上とするとして、昨年までの5年間の7%よりも引き下げる方針を明らかにし、「産業構造の最適化と高度化を加速する」と述べ、構造改革を進める必要があることを強調しました。
一方、国防予算案は、前年実績比7.6%増の9543億5400万元、日本円でおよそ16.7兆円になりました。6年ぶりで1桁増に留まりましたが、主要国では突出した伸び率になっています。5か年計画では、海洋権益の開拓を重要項目に掲げ、今後も南シナ海などでの海洋進出を強化していくことを明らかにしました。

・ニュースの用語解説

全人代は、全国人民代表大会のことで、中国の憲法では、国の最高権力機関と位置づけられています。日本の国会にあたります。全国の省や市、軍などから選出された代表3000人で構成され、任期は5年です。北京の人民大会堂で毎年3月1回開かれ、憲法改正や法律の制定、予算審議などを行います。このうち、今後1年間の施政方針を示す首相の政府活動報告は、国内外から注目されています。














タグ:時事問題
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。