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30.時事問題の基礎入門講座(2017.6.10の講座のテキスト) [2017.6.10の講座のテキスト]

時事問題の基礎入門講座(2017.6.10の講座のテキスト)

(a) 日本の政治・外交・防衛

・国会、加計文書を巡って激しい攻防続くー2017.6.5~9

安倍首相の友人が理事長をつとめる岡山市の学校法人「加計学園」による獣医学部新設をめぐって、文部科学省が内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたと記録された文書について、国会で与野党の激しい攻防が続いています。
5日、文科省は、国会で、この文書を共有するために省内で送られたとされるメールの写しについて、送受信欄に名前のあった10人全員と同姓同名の職員が実在することを認めました。
野党側は、これにつぃて再調査するように求めましたが、松野文科相は、「文書の出元や入手経緯が明らかにされていない」ことを理由に、再調査を拒否しました。
安倍首相も「文科省がいった通りだ」と述べるとともに、「私が働きかけを指示したことはない」と否定しました。
8日、菅官房長官は、記者会見で、問題の文書について、「文科省の調査結果では存在が確認されず、内閣府に聞いたところ、「官邸の最高レベル」とか「総理の意向」といった事実はないということだった」と述べました。
しかし、野党側は、政府が文科省で問題の文書の再調査をしないのは、疑惑を深めるだけだと批判したうえで、問題の文書の存在を認めた文科省の前川前事務次官の証人喚問を求めるなど政府への追及を続ける方針を明らかにしています。
こうした野党や世論の強い批判の中で、松野文科相は、9日の記者会見で、改めて問題の文書が存在するのかどうか、追加の調査を行う方針を明らかにしました。
この文書をめぐっては、文科省は一度調査を行いましたが確認できなかったとしていましたが、その後、前川前事務次官が記者会見を行い、文科省が作成し、共有していたなどと主張していたことから、民進党や共産党などは文書が存在するのかどうか改めて調査を行うよう求めていました。

・天皇退位特例法成立―2017.6.9

天皇陛下の退位を実現する皇室典範特例法が成立しました。
天皇の退位を実現する皇室典範特例法案は、9日参議院本会議で与野党の全会一致で可決、成立しました。
これは、天皇の終身在位を定めた明治以降初めてで、江戸時代の光格天皇以来およそ200年ぶりに天皇の退位が実現することになります。
特例法は、天皇陛下の一大限りの退位と皇太子さまの即位を実現すると明記しています。また天皇陛下が退位される日は、法律の公布から3年を超えない範囲内で政令によって定める日とし、天皇陛下の退位後の称号を上皇、皇后さまを上皇后とすることが盛り込まれています。天皇陛下は現在83歳、皇后さまは82歳になります。
政府は、国会審議を通じて、特例法が「将来の先例となり得る」と説明、明治の旧皇室典範で確立された終身在位の原則は維持するが、同様の特例法を制定すれば、一代ごとに退位できる道筋が事実上敷かれたことになります。
今後、政府は、付帯決議にある「安定的な皇位継承を確保するための課題や女性宮家の創設」などについて、具体的な検討を行うことにしています。

(b) 日本の経済・貿易

・1~3月期のGDP 1%増に下方修正―2017.6.8

今年1月から3月までのGDP=国内総生産の改定値は、年率に換算した伸び率が、実質でプラス1.0%となり、5月に発表した速報値のプラス2.2%から下方修正されました。
内閣府が8日発表したところによりますと、今年1月から3月までのGDPの改定値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が、前の3か月に比べて、プラス0.3%となりました。これは、年率に換算するとプラス1.0%になり、5月に発表された速報値のプラス2.2%から下方修正されました。
今回の結果について、内閣府は、「GDPは5四半期連続でプラスとなっており、日本経済が穏やかな回復基調を続けていることに変わりはない」としています。

・ニュースの用語解説

GDP(=Gross Domestic Product)は、国内総生産のことで、その国の経済力を示す指標になっています。GDPは、企業や政府の活動が、国内で一定期間に生み出した経済的な価値の総額を示しています。個人消費や設備投資、住宅投資、公共事業などの「内需」と輸出から輸入を引いた「外需」に分かれています。GDPは、実質GDPと名目GDPがあります。GDPは、物価の変動の影響を受けるため、その影響を取り除き、その年に生産された財の本当の価値を算出したものが実質GDPで、一方それを取り除かず、その年の経済活動の水準を算出したのが、名目GDPです。GDPの1年間の増加率を示すのが、経済成長率です。

(c) 日本の社会

・内部被ばく、国内では最悪―2017.6.6~8

茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の核燃料の研究施設で、作業員5人が6日ウランとプルトニウムが入った保管容器を点検していたところ、放射性物質が漏れだし、被爆したということです。
5人は、7日、体内に入り込んだ放射性物質の影響で被ばくする内部被ばくについて検査するため、千葉市にある放射線医学総合研究所に搬送されました。5人は、内部被ばくの検査を受けるとともに、放射性物質を体の外に出すための薬物の投与を続けています。
日本原子力研究開発機構は、7日記者会見し、5人のうちの50代の男性職員の肺から最大およそ2万2000ベクレルの放射性物質が計測されたと発表しました。過去にこれほどの内部被ばくの例は、国内ではないということです。

・ニュースの用語解説

被曝(×被爆)
被ばくには、外部被ばくと内部被ばくがあります。外部被ばくというのは、放射性物質が発する放射線を体外から受けることで、内部被ばくは、体内に取り込まれた放射性物質から放射線を受けることです。私たちは、日常生活のなかでも、レントゲンなどの放射線を用いた検査や地球上に存在する天然の放射性物質などによって被ばくします。
今回最も被ばくした男性職員から2万2000ベクレルのプルトニウムが検出され、暫定で50年間に12シーベルト内部被ばくすると推定されています。ベクレルは、放射性物質の放射線を出す能力の強さを表す単位で、シーベルトは、放射線が人体にどれくらい影響があるかを示す単位です。シーベルトは、ベクレルの数値に、放射性物質の種類ごとに決まっている係数をかけて算出します。

・福井県の高浜原発3号機が再稼働―2017.6.6

福井県にある高浜原子力発電所3号機が再稼働し、これによって全国で運転中の原発は5基になりました。
関西電力は、5月に再稼働した高浜原発4号機に続いて、6日3号機を再稼働させ、2011年の東京電力福島第1原発の事故後の新規制基準下で運転する原発は、九州電力の鹿児島県にある川内原発の1号機と2号機と四国電力の愛媛県にある伊方原発3号機の合わせて5基になりました。

(d) 国際情勢

・北朝鮮、地対艦巡航ミサイル発射―2017.6.8

北朝鮮が短距離地対艦巡航ミサイルとみられる数発を発射しました。
北朝鮮の国営メディアは、9日、「キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長立ち合いの下で、新型の地対艦巡航ミサイルの初めての発射実験に成功した」と伝えました。
これは、韓国軍合同参謀本部が8日発表したミサイル発射のことみられ、北朝鮮の東部のウォンサン(元山)から日本海に向けて短距離の地対艦巡航ミサイルと推定される数発を発射、およそ200キロ離れた場所に落下したといわれています。。
北朝鮮の地対艦巡航ミサイルの発射は、日本海に艦艇を展開し圧力を強めるアメリカや日本をけん制する狙いがあるものとみられています。

一方、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は、8日、圧力を強めるアメリカのトランプ政権との対決姿勢を強調する論評を掲載しました。
論評は、「敵が地上、海上、空中のどこに侵犯しようとも、われわれはすべて撃退できる防衛能力と高度で精密化された核攻撃能力を備えている」と主張しました。

また、北朝鮮の国営メディアは、8日、平和擁護全国民族委員会という団体の声明を伝え、「今のように日本がわれわれの拳の近くで狂奔するなら、有事の際には、アメリカより先に日本の領土が焦土化されかねないことを知るべきだ」と威嚇して、アメリカとの連携を強める日本をけん制しました。

・ニュースの用語解説

北朝鮮は、この5月と6月の,4週間で、ほぼ1週間おきに4回ミサイルを発射しています。5月14日に中距離弾道ミサイル「火星12」(射程4500~5000キロ、21日に中距離弾道ミサイル「北極星2」(射程2500キロ)を発射、29日には新型誘導中距離弾道ミサイルを発射し、高度120キロ上昇して約450キロ飛行し、日本の排他的経済水域の中の日本海に落下しました。
韓国政府によりますと、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が権力を継いだ2011年末から、長距離から短距離まで多様な弾道ミサイルを少なくとも計53発発射したとみられています。そのうち、昨年だけで24発、今年もすでに12発発射し、かなりハイペースで進んでいます。

・イランの国会など襲撃、IS犯行声明―2017.6.7

イランの首都テヘランで、国会と初代最高指導者故ホメイニ師をまつる廟が、7日同時に武装集団によって襲撃される事件が起きました。イラン政府によりますと、今回の事件で警備員ら合わせて12人が死亡し、42人がけがをしました。武装集団は、国会職員を人質に国会内で立てこもりましたが、射殺されました。
イラン政府は、今回の襲撃事件をテロと断定し、2か所の襲撃の実行犯は、6人のイラン人で過激派組織「IS=イスラム国」の影響を受けて国内各地から集まってきたものとみています。
イランの精鋭部隊「革命防衛隊」は、「テロリストとその支援者に報復する」という声明を発表し、5月下旬アメリカのトランプ大統領がサウジアラビアを訪問したことに言及し、テロにサウジアラビアが関与していると糾弾しました。「革命防衛隊」は、イラクやシリアに派遣され、ISとの戦闘にも参加しているといわれています。
一方、過激派組織「IS=イスラム国」系のアマク通信は、「イランでIS戦士が襲撃した」とする犯行声明を発表しました。

・サウジアラビア、エジプトなどアラブ諸国、カタールと断交―2017.6.5

サウジアラビア、エジプトなどアラブ諸国が、イランが支援するイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」など過激派組織にカタールが資金援助しているなどとして、カタールと国交を断絶しました。
5日までにカタールと国交を断絶したのは、サウジアラビア、エジプト、UAE=アラブ首長国連邦、バーレーン、イエメン、モルディブ、モーリシャスの7か国で、これらのアラブ諸国は、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」をテロ組織に指定していますが、カタールは、イランとともに「ムスリム同胞団」を支援していると非難しています。
カタールは、サウジアラビアとイランの2つの大国にはさまれた小国ですが、LNG=液化天然ガスの輸出国として得た豊富な資金を活用して積極的な外交を展開してきました。サウジアラビアは、昨年イランとの対立が激しくなり、国交を断絶しましたが、カタールは、ペルシャ湾の巨大なガス田の開発でイランとの対立は避けたい事情があり、イランとの関係改善やイランが支援する「ムスリム同胞団」を擁護してきました。
カタールは、今回の事件で、周辺国によって国境封鎖や航空・海上交通の遮断が行われ、カタールの市民生活にさまざまな影響をもたらしていると伝えられています。
一方、サウジアラビアと敵対するイランは、カタールを支援する姿勢を見せ、農産物や食料品を輸出する準備を進めているといわれています。
こうした中、サウジアラビアとカタールと同じくGCC=湾岸協力会議に加盟するクウェートのサバハ首長が、5日サウジアラビアを訪れ、サルマン国王を会談し、カタールのタミム首相とも電話会談をするなど仲介工作を行っており、今後の動向が注目されています。
こうしたアラブ諸国内の分裂は、中東の覇権を巡るサウジアラビアとイランの対立や長期化したシリア内戦に影響を与え、中東情勢は、混迷しそうな状況です。

・ニュースの用語解説

カタール(State of Qatar)
カタールは、パルシャ湾に突き出した半島国。大部分は平たんな砂漠地帯。高温多湿ですが雨量が少ない。
面積は1万1607平方キロ。人口は229万1000人、住民はアラブ人40%、インド人18%、パキスタン18%、イラン人10%など。宗教は、イスラム教が大半で大多数はスンニ派。
2003年三権分立などを定めた憲法草案を国民投票で採択。憲法は①諮問評議会に立法権を持たせ、定数を45(直接選挙による議員30人、首長が指名する議員15人)とする②女性の立候補と投票の権利保障を規定。首長は内閣任命権を保持。
初の国政選挙となる諮問評議会選挙となる諮問評議会選挙は、当初2013年後半の予定でしたが、2016年に延期され、さらに2019年に延期されています。
対日関係では、2015年の最大の輸出相手国は日本で、輸出総額の約21%。日本にとっても、LNG=液化天然ガスの主要な供給国。2015年度のカタールからの輸入額は7095億円で、日本のLNG輸入額全体の16%。2015年の対日輸出は163億559万ドル。輸入は15億4534万ドル。在留邦人は932人(2015年10月)

湾岸協力会議(GCC=The Cooperation Council for the Arab States of the Gulf)
GCCの加盟国は、UAE=アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアのペルシャ湾岸の産油国6か国で、GCCの目的は、加盟国間の緊密な協力と協調を前提とし、軍事、経済、文化、情報、社会、司法などの分野で共通の制度を設置するとなっています。

・トランプ大統領、パリ協定離脱表明―2017.6.1

アメリカのトランプ大統領は、1日ホワイトハウスで演説し、アメリカは、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱すると発表しました。
トランプ大統領は、「パリ協定は、アメリカを他国よりも常に不利な立場に置くものだ」と指摘し、中国やインドを名指しして両国の対策がアメリカに比べて不十分だと述べ、「アメリカは、「パリ協定」から離脱して再交渉する時だ」と呼びかけました。再交渉して目指す新たな合意の条件として、「アメリカの産業、労働者、国民、労働者、国民、納税者にとって公平であること」と述べました。
トランプ大統領は、オバマ前大統領が約束した「温室効果ガスを2025年までに2005年に比べて26~28%削減する」という国別削減目標や「開発途上国の温暖化対策を支援する緑の気候基金への30億ドル、日本円にして約3300億円の拠出」をいずれも白紙に戻すことを明らかにした。

一方、EU=欧州連合と中国の首脳会議が、2日ベルギーの首都ブリュッセルで行われ、「パリ協定」を全面的に履行することで合意しました。
「パリ協定」発効を主導したアメリカが抜けることで、 中国とEUが温暖化対策を主導する動きが加速しつつあります。
メルケル首相を含む独仏伊の3首脳は、連名で声明を発表し、「パリ協定は再交渉できない」と述べ、トランプ大統領の要求を拒否しました。

・ニュースの用語解説

パリ協定というのは、京都議定書に代わる地球温暖化対策の国際ルールのことで、2015年12月に採択、194か国が署名、2016年11月に発効しました。産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く抑えることが目標。すべての国が削減目標を作り、目標達成義務はないが達成に向けた国内対策を取る必要があります。
協定の規定では、正式な離脱は発効3年後の2019年11月4日から可能で、手続きは、さらに1年かかります。このため、アメリカの離脱は、次期大統領選挙後の2020年11月以降となります。

・前FBI長官証言、ロシアゲート捜査中止要請を指示―2017.6.8

アメリカのトランプ大統領に解任されたFBI=連邦捜査局のコミー前長官は、8日上院情報特別委員会の公聴会で、ロシアによる昨年のアメリカ大統領選挙介入疑惑のいわゆるロシアゲートについて初めて証言しました。
コミー氏は、FBIがアメリカ大統領選挙をめぐるトランプ陣営とロシアとの関係を捜査している最中に解任されたもので、証言で、捜査対象だったフリン前大統領補佐官について、大統領がフリン氏への捜査を「やり過ごしてほし」と求めたと明かし、「大統領の指示」と受け止めたと語りました。
また、コミー氏は、ロシアが大統領選挙に介入したのは疑いがないとし、トランプ政権は、コミー氏自身の解任の理由についてウソをついていると批判しました。
トランプ大統領による圧力が司法妨害にあたるのかについては、コミー氏は、「自分がいうことではない」と述べ、ロシア疑惑を捜査する特別検察官にゆだねる考えを示しました。

これに対して、トランプ大統領は、9日記者会見し、コミー氏の証言について「事実ではないことを証言した」と批判し、自身も宣誓した上で証言する用意があると述べました。コミー氏がトランプ氏との会話を記録したメモをメディアに伝えるよう友人に頼んだと証言したことに絡んで、トランプ氏は、コミー氏を「情報漏えい者だ」と非難しました。
コミー氏がトランプ大統領による捜査への圧力を強く示唆したことで、野党民主党が追及を強めており、司法妨害があったかどうか、疑惑の解明をめぐる動きが注目されます。

・ニュースの用語解説

今後の最大の焦点は、トランプ大統領の言動が司法妨害にあたるかどうかです。連邦法では、不正に捜査など司法の活動に影響を与えたり、妨害したりする行為を司法妨害と規定しています。意図が明白にあることが立証される必要があります。この点で、司法省が任命したマラー特別検察官の調査が大いに注目されています。
特別検察官というのは、ニクソン元大統領が1974年に辞任に追い込まれたウォーターゲート事件をきっかけに、大統領や政府高官を捜査、訴追するのに設けられ、現行では、司法省が任命しますが、独立性の高い立場で捜査に当たることになっています。
今回は、昨年のアメリカの大統領選挙にロシアが介入したという疑惑について捜査するため、今年5月FBI元長官のロバート・マラー氏が特別検察官に任命されています。

・英総選挙で、保守党過半数割れー2017.6.9

イギリスの総選挙で、メイ首相の率いる与党の保守党が下院で第1党を維持したものの、過半数を割り込むことになりました。
8日行われたイギリス議会の総選挙で、下院650議席のうち、メイ首相の率いる与党の保守党が318議席、最大野党の労働党が262議席、スコットランド民族党が35議席、自由民主党が12議席、民主統一党が10議席などとなり、保守党はこれまでの330議席から議席を減らし、過半数の326議席を維持できないことが決まりました。
イギリスの議会で、2大政党のいずれも過半数の議席を獲得できない状態に陥るのは第2次世界大戦後3回目のことです。
メイ首相は、9日声明を発表して、引き続き首相の座に留まる方針を明らかにし、北アイルランドの地域政党、民主統一党の協力を得て組閣する意向を表明しました。
今回の総選挙は、メイ首相が、イギリスのEU=欧州連合との離脱交渉に向けて政権基盤を固め、自らの交渉方針への信任を得るために、予定を前倒しして実施したため、メイ首相の責任を問う声が高まるのは必至で、今月中旬に始まる予定のイギリスのEUからの離脱に向けた交渉にも影響が及ぶのは避けられない情勢です。

・東京五輪、新種目に14競技26種目―2017.6.9

IOC=国際オリンピック委員会は、9日スイスで臨時理事会を開き、2020年の東京オリンピックの新種目として14競技26種目を採用することを決めました。
日本のメダル獲得が有望な柔道の男女3人づつで戦う団体や卓球の混合ダブルスが含まれています。
東京オリンピックでは、新たに14競技で26種目が採用される一方、11種目がなくなり、合計の種目数は、追加種目の野球・ソフトボールなど5つの競技の種目を含めて合わせて339種目となり、これまでで最も種目が多い大会になります。






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29. 時事問題の基礎入門講座(2017.5.13の講座のテキスト) [2017.5.13の講座のテキスト]

29. 時事問題の基礎入門講座(2017.5.13の講座のテキスト)

(a) 日本の政治・外交・防衛

・安倍首相、憲法改正2020年施行目指すー2017.5.4

・日本のメディア、

『読売』
・見出しー首相改憲案 自衛隊明記、公明が理解、維新歓迎、民進反発
・リードー日本国憲法は3日、1947年の施行から70周年を迎えた。安倍首相(自民党総裁)が読売新聞のインタビューで戦争放棄などを定めた9条1項、2項を維持した上で、自衛隊の根拠規定を追加するよう訴えたことについて、公明党から理解を示す声が上がった。憲法改正に積極的な日本維新の会も首相の発言を歓迎している。自公両党と維新を中心に、改憲に向けた調整が進むことになる。
首相はインタビューで、9条に自衛隊の根拠規定を追加する案に言及した。3日には東京都内で開かれた東京都内で開かれた改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、改めて20年の施行を目指す方針を打ち出した。
・解説―スキャナー 自衛隊明記首相案に賛同、自・公・維 改憲論議へ、賛否割れる民進 苦慮
・社説―5/3 憲法施行70年 自公維で3年後の改正を目指せ

『朝日』
・見出しー首相「9条に自衛隊明記」、改憲・2020年施行に意欲
・リードー安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。改憲項目として、戦争の放棄を定めた9条に自衛隊の存在を明記した条文を追加することと、高等教育の無償化を定めた条文の新設を挙げた。
・解説―編集委員・国分高史 持論抑え改憲優先
・社説―5/4 憲法70年 9条の理想を使いこなす

『日本経済』
・見出しー首相「改憲、20年に施行」、9条に自衛隊明記
・リードー安倍晋三首相(自民党総裁)は3日、憲法改正を推進する民間団体が都内で開いたフォーラムにビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。具体的な改憲項目では、戦力の不保持などを掲げた憲法9条の1項と2項を残しつつ、新たに自衛隊の存在を明記する案を挙げた。現行憲法の施行から70年の節目をとらえ、自身が主導して国会での議論を促していく姿勢を鮮明にした。
・解説―島田学 自衛隊明文化、世論動向カギ
・社説―5/4 自衛隊明記の議論を真剣に

『産経』
・見出しー「2020年 新憲法施行」、首相、9条に自衛隊明記 明言
・リードー安倍晋三首相は3日、改憲派が都内で開いた集会にビデオメッセージを寄せ、9条に自衛隊の存在を明記した条文を追加した憲法改正を行い、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年(平成32年)を「新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。首相が9条の具体的な改正と施行時期に言及したのは初めて。首相の強い意欲表明を受け、今後国会の改憲議論が活発化するとみられる。
・解説―酒井充 2020年新憲法施行を明言、首相「ダブル選挙」念頭 国政 18年秋の衆院選・19年夏の参院選 国民投票、4野党結束強調も民新に火種
・主張―5/4 首相の9条発言 最大の政治課題に邁進を

『共同通信』
・見出しー首相、改憲2020年施行目指す、「9条に自衛隊明記」提案
・リードー安倍晋三首相(自民党総裁)は3日、東京都内で開かれた憲法改正を訴える会合にビデオメッセージを寄せ、「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。戦争放棄などを定めた9条に自衛隊の存在を明記する文言を追加するよう提案。教育無償化を巡る議論の進展も促した。憲法施行70年の同日に自らの「悲願」である改憲実現への決意を改めて示し、衆参両院の憲法審査会での論議促進を呼び掛けた形だ。

『NHK』
・見出しー安倍首相、憲法改正し2020年施行を目指す意向表明
・リードー安倍総理大臣は、東京都内で開かれた憲法改正を目指す市民らの会合に寄せたビデオメッセージの中で、憲法を改正し、2020年の施行を目指す意向を表明しました。また具体的な改正項目として、戦争の放棄などを定めた憲法9条に、自衛隊に関する条文を追加するほか、高等教育の無償化などを例示しました。

・外国のメディア

アメリカの『CNN(=Cable News Network)』放送
・見出しーJapanese leader sets 2020 deadline for changing pacifist constitution(日本のリーダー、平和憲法の改正期限2020年に設定)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe said Wednesday he aims to have his country’s pacifist constitution revised and a new version in effect by 2020. It’s the first time Abe has put a clear time frame on revising the constitution, which contains language that bans Japan from maintaining armed forces (日本の安倍首相は、日本の平和憲法を改正し、新憲法を施行させるのに2020年を目標とすると述べた。安倍首相が、憲法改正についてはっきりとした期限を設定したのは初めてである。日本の平和憲法は、日本が軍隊を持つことを禁ずる文言が含まれている)

アメリカの『The New York Times』紙
・見出しーShinzo Abe Announces Plan to Revise Japan’s Pacifist Constitution (安倍首相、日本の平和憲法の改正計画を発表)
・リードーPrime Minister Shinzo Abe of Japan announced on Wednesday a plan to revise a pacifist Constitution that has been in place since it was enacted by American occupiers in 1947. In a video message delivered at a celebration of the 70th anniversary of the Constitution, Mr. Abe said he wanted to make “explicit the status” of the country’s self-defense forces, as Japan’s military is known, by amending the Constitution by 2020. (日本の安倍首相は、1947年にアメリカの占領軍によって施行され、それ以降ずっとそのまま続いている平和憲法を改正する計画を発表した。安倍首相は、憲法施行70周年の記念日に送ったビデオメッセージの中で、2020年までに憲法を改正することによって、日本の自衛隊の地位をはっきりさせたいのだと述べた)


(b) 日本の経済・貿易

・アジア開発銀行総会閉幕―2017.5.7

横浜市で開かれていたアジア開発銀行の50回目の年次総会は、7日、インフラ投資や貧困削減を進める方針を確認して閉幕しました。
総会には、67の国と地域の財務相や中央銀行総裁などおよそ4000人が」参加して2日間にわたって討議が行われ、アジア各国から、インフラ投資や貧困削減などの対策で一層の支援を求める声が相次ぎました。
アジア開発銀行の中尾武彦総裁は、閉幕の挨拶で、「経済発展を遂げたいアジア各国のニーズの変化に対応しながら、依然として残る貧困対策にも取り組んでいく」と述べました。
そのうえで、アジア開発銀行の試算で年間1.7兆ドル、日本円にして190兆円に上るインフラ投資などの需要を賄うために、今後、中国が主導するAIIS=アジアインフラ投資銀行を含め、ほかの国際機関や民間の金融機関との連携を強化する方針を示しました。
中尾総裁は、閉幕後の記者会見で、自国第一主義を掲げるアメリカのトランプ政権に対し、「アジアに目を向け、引き続き支援してもらえると期待する」と述べ、積極的な関与を要請しました。
アジア開発銀行は、日米が最大の出資国として運営を主導しており、トランプ政権が国際機関への出資削減方針を打ち出し、国際協調よりも保護主義的な路線に傾くことが懸念されています。

これより先、麻生太郎財務相は、6日の演説で、アジアでなどの高度な技術を使ったインフラ整備を促進するため、アジア開発銀行の新設の基金に2年間で4000万ドル、およそ45億円を拠出すると表明しました。この高度技術支援基金を通じて、鉄道や再生可能エネルギー事業で高度な環境技術を導入する際などの追加費用を賄うことになります。

アジア開発銀行の総会に出席していた日本と中国の財務相や事務当局は、6日、およそ2年ぶりに日中財務対話を開き、金融市場の整備や構造改革など日中それぞれにとって重要な課題について共同研究を進め、来年、中国で開かれる次回の対話に報告することで合意しました。

・ニュースの用語解説

アジア開発銀行(ADB=Asian Development Bank)
アジア太平洋地域における経済成長および経済協力を助長し、開発途上加盟国の経済発展に貢献することを目的として設立された国際金融機関で、1966年に発足しました。現在加盟しているのは、67の国と地域で、中華人民共和国と中国台北(=中華民国、台湾)は別々に加盟しています。日本(15.6%)とアメリカ(15.5%)が最大の出資国ですが、トランプ政権になってから、出資額や理事派遣は未定。本部はマニラ、総裁は中尾武彦氏で、日本の元財務相財務官。歴代総裁はすべて日本人。

アジアインフラ投資銀行(AIIB=Asian Infrastructure Investment Bank)
中国主導の国際金融機関で、アジアでのインフラ投資によって持続的な経済発展、富の創造や地域間インフラの連結性の向上を目的として、2015年に設立されました。現在加盟国は70か国で、アメリカや日本は参加していません。中国は、設立メンバー57か国のうち、議決権比率26.06%を持ち、重要事項を否決する拒否権をもっています。設立当時の資本金は1000億ドル。本部は北京、総裁は金立群(Jin Liqun)氏で、中国の元財務次官。


(c) 日本の社会


(d) 国際情勢

・韓国大統領にムン・ジェイン(文在寅)氏―2017.5.9

9日に行われた韓国の大統領選挙で当選した最大野党「共に民主党」のムン・ジェイン(文在寅)氏64歳が10日第19代大統領に正式に就任し、9年ぶりに革新政権が誕生しました。
今回の大統領選挙は、パク・クネ(朴 恵)前大統領の罷免を受けて前倒しで実施され、前任の大統領が不在のため、政権移行に伴う引継ぎ期間はなく、投票結果が発表されるとすぐに新大統領が就任する形になり、5年間の任期がスタートしました。
ムン氏は、10日国会で就任の宣誓を行った後、国民向けのメッセージを発表し、「国民すべての大統領になり、機会は平等、過程も公正な国をつくる」と表明し、国民が求める政経癒着問題などの解消に取り組む考えを示しました。
外交面では、北朝鮮を念頭に「安全保障の危機を速やかに解決する」と強調し、アメリカ、中国、日本の訪問に意欲を示した上で、「条件が整えばピョンヤン(平城)も訪れる」と語り、朝鮮半島の平和のために「私にできることはすべてやる」と訴えました。
この後、記者会見で、ムン氏は、大統領職を補佐する首相に全羅南道知事のイ・ナギョン(李洛淵)氏をあてると発表した。イ氏は、64歳で、2012年の大統領選挙でムン陣営の選挙対策委員長をつとめ、ムン氏と近い関係にあり、東亜日報の東京特派員や国会議員をつとめ、韓日議員連盟の副会長をつとめた知日派でもあります。

ムン・ジェイン大統領は、トランプ大統領と10日電話による米韓首脳会談を行い、両国の同盟関係を引き続き強化し、北朝鮮問題などでは緊密に協力することで一致したということです。
安倍首相は、11日ムン・ジェイン大統領と電話で会談しました。日本政府の発表によりますと、両首脳は、北朝鮮への対応で緊密に連携する方針を確認し、早期に日韓首脳会談を開くことを確認しました。また、安倍首相は、旧日本軍による従軍慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意の着実な実施を求めたのに対し、ムン大統領は、「韓国国内では慎重な意見がある」と指摘した上で、「両国の発展のために歴史問題を賢く解決していく必要がある」と述べました。

9日の大統領選挙結果について、中央選挙管理委員会が10日発表したところによりますと得票率は、革新系の最大野党「共に民主党」のムン・ジェイン(文在寅)氏が41.08%、保守系の旧与党の「自由韓国党」のホン・ジュンピョ(洪準杓)氏が24.03%、中道系の「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)氏が21.41%でした。投票率は77.2%で、前回2012年の75.8%を上回りました。
ムン氏は、2012年の大統領選挙で、パク・クネ氏に敗れたものの、今回の選挙では、パク政権の汚職体質をきびしく非難し、一貫して40%前後の支持率を維持しトップを走って、当選しました。
ムン氏は、北朝鮮には融和的な姿勢を示しており、アメリカや日本とは温度差があり、アメリカ軍のTHAAD(サード)=高高度迎撃ミサイルシステムの韓国配備についても慎重な姿勢をとるものとみられています。また、慰安婦問題をめぐる日韓合意については、「無効化と再交渉」を求めており、合意の着実な実施を求める日本政府とは相いれない立場をとっており、今後日韓関係がぎくしゃくする懸念もあります。国内問題では、分配重視の経済政策を進めるとしており、公共部門中心に81万人の雇用創出を公約に掲げるなど、まずは国民が求める格差是正と雇用創出を最優先課題として取り組む方針を示しています。

・ニュースの用語解説

ムン・ジェイン(文在寅)
1953年韓国南東部・慶尚南道巨済生まれ、高校まで釜山で貧しい生活を送り、1972年ソウルにある慶煕大学に入学、当時のパク・チョンヒ(朴正熙)政権に対抗するデモを主導して逮捕されたことがあります。その後弁護士になり、後に大統領になるノ・ムヒョン(廬武鉉)氏と共同で弁護士事務所を開き、人権弁護士として活躍しました。
ノ・ムヒョン氏が大統領に立候補した時応援し、政権が発足すると大統領秘書室長をつとめました。南北首脳会談推進委員長もつとめ、2007年に実現したキム・ジョンイル(金正日)総書記との南北首脳会談にも携わりました。

・フランス大統領にマクロン氏―2017.5.7

フランスの大統領に中道で無所属のマクロン氏39歳が当選し、フランス史上最年少の大統領に就任することになりました。
フランス大統領選挙の決選投票が7日行われ、内務省の発表によりますと、中道で無所属のマクロン候補の有効投票での得票率が66.10%、極右政党のルペン候補が33.90%で、マクロン氏がルペン氏を破って勝利しました。投票率は74.56%でした。
大統領の権限が強化された1956年から始まった第5共和政で、左右2大政党以外からの大統領は初めてで、フランス史上最年少の大統領になります。
マクロン氏は、パリのルーブル美術館の中庭に集まった支持者を前に演説し、「選挙を通じて怒りや不安を表明したすべての国民の声を尊重していく」と述べ、経済の立て直しや社会の格差の解消に取り組む姿勢を強調したうえで、「世界はフランスが自由を守ることを期待している。EU=欧州連合を立て直すために大きな役割を果たさなければならない」と述べ、EUとの関係を強化していく考えを示しました。
マクロン氏は、14日にオランド大統領の後を継ぎ大統領に就任する予定です。大統領の任期は、5年です。
マクロン氏は、6月に行われる下院の国民議会の選挙で、みずから設立した政治運動からすべての選挙区で候補者を擁立し、過半数の議席の獲得を目指す方針です。
今後、EUとの関係強化や経済の立て直しなどを公約に掲げるマクロン氏が、議会選挙で多数派を形成し、安定した政権基盤を築けるかどうかが最大の焦点になります。

・ニュースの用語解説
マクロン氏(中道・無所属、前経済相)とルペン氏(右翼・国民戦線(FN)の
主な政策の違い
・EU―マクロン氏は、EU重視、ルペン氏は反EU、自国第一主義
・移民―マクロン氏は、移民受け入れ、ルペン氏は、移民受け入れ制限
・外交・安全保障―マクロン氏は、NATO重視、ルペン氏は、NATOから脱退、親ロシア
・経済政策―マクロン氏は法人税減税、労使交渉での企業の権限強化、職業訓練などへの公共支出拡大、公務員削減など歳出改革、ルペン氏は、反自由貿易、輸入制限・関税復活、年金支給年齢を62歳から60歳、フランス国民の雇用優先

エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)
1977年ソンム県アミアンの医師の家庭に生まれる。パリ5区の名門アンリ4世高校で学び、バカロレアに合格。パリ第10大学に入学。ヘーゲルに関する論文で学位取得。その後、パリ政治学院、国立行政学院(ENA)を卒業。
2004年からフランス財務省の財務監察官として勤務。2006年社会党入党。
2008年ロスチャイルド家の中核銀行であるロチルド&Cielに入行。2010年副社長格に昇格。2012年オランド政権の大統領府に入る、2014年経済相に就任。2016年経済相を辞任し、大統領選への出馬表明。
妻は高校時代の教師だった25歳年上のブリジッドさん。64歳。2人の間には子どもはいませんが、ブリジッドさんには3人の子どもと7人の孫がいます。

フランスの議会下院・国民議会(Assemblee Nationale)
定数は577。 選挙制度は、1区1人選出の小選挙区制です。有効得票の50%超かつ登録有権者の25%以上の得票を得た候補がいない場合は、登録有権者の12.5%以上の得票を得た候補による決戦を行う2回投票制になっています。今回は、6月11日に1回目の投票、6月18日に2回目の投票が行われます。

・米大統領、FBI=連邦捜査局長官を解任―2017.5.9

アメリカのトランプ大統領は、9日、FBI=連邦捜査局のコミー長官を解任しました。
スパイサー大統領報道官は、9日の声明で、トランプ大統領は、セッションズ司法長官らの助言に従って解任を決めたと発表しました。
解任を提案した司法省の幹部は、大統領選挙でトランプ大統領に敗れたクリントン元国務長官が私用のメールアドレスを公務に使っていた問題で、コミー長官が昨年7月に訴追を求めないとする捜査結果を記者会見を開いて発表したことについて、不適切だったとして、メール問題をめぐる対応を問題視しています。
一方、コミー長官は、ロシアがサイバー攻撃を通じてアメリカの大統領選挙に干渉したとされる問題で、トランプ陣営とロシア側の連携があったかどうかについても、捜査していました。
野党の民主党は、上院トップのシューマー院内総務が記者会見を開いて、「なぜ今、解任したのか疑問だ。FBIがトランプ陣営とロシア側との連携の有無を捜査している時にだ」と述べるなど、解任は捜査を逃れるのが目的ではないかとして批判を強めています。
トランプ大統領は、12日、コミーFBI長官と交わした会話の録音記録があることを示唆し、コミー氏がメディアの取材に応じることをけん制しました。これについて、スパイサー大統領報道官は、定例記者会見で、脅迫の意図はないと述べましたが、録音記録の有無は明言しませんでした。
コミー氏解任への批判報道に不満を強めているトランプ大統領は、ツィターで、ホワイトハウスの定例記者会見の中止をちらつかせましたが、ホワイトハウスの記者会は、中止に反対する声明を発表し、大統領とメディアは、きびしく対立しています。

・ニュースの用語解説
FBI(=Federal Bureau of Investigation)
米連邦捜査局(FBI)は、米司法省の部局の一つで、テロ、スパイなど国家の安全保障に関わる公安事件、連邦政府の汚職に関わる事件、複数の州にわたる広域事件など重大な事件を捜査します。訴追の有無は司法省が判断します。長官は大統領が指名しますが、上院の承認が必要です。政治的中立性を保つため、任期は10年。
ジェームズ・コミー氏は、2013年オバマ大統領によって、FBI長官に任命されました。2016年の大統領選挙の際、投票日の11日前に、コミー長官は、民主党候補のクリントン氏の私用メール問題で再捜査を開始したことを明らかにしました。この際、共和党候補だったトランプ氏は、「いい仕事だ」と称賛していました。しかし、投票日の2日前に、コミー長官は、再捜査の結果、訴追に相当しないと表明し、共和党が反発しました。こうした動きは、大統領選挙になんらかの影響をおよぼしたものとみられています。トランプ氏は、2017年1月大統領に就任した際には、コミー氏をFBI長官として続投させていました。そして、コミー長官は、最近下院の公聴会で、トランプ氏陣営とロシアとの関係に関する捜査を公式に認めていました。こうした中で、解任の発表になったものです。

・中国、米産牛肉の輸入解禁など市場一部開放―2017.5.11

米中両政府は、11日、4月の米中首脳会談で合意した貿易不均衡是正に向けた「100日計画」の合意内容を公表しました。
これによりますと、中国がアメリカ産牛肉の輸入を認めること、アメリカがLNG=液化天然ガスの輸出先として中国を公平に扱うこと、中国はアメリカの金融機関に債券の引き受け・決済業務の免許を付与すること、中国が主導するシルクロード経済圏構想である「一帯一路」について、アメリカはその重要性を認め、14日から北京で開かれる「一帯一路」首脳会議にアメリカ政府の代表団を派遣することなど10項目で合意しています。
米中両政府は、今回、100日間だけでなく、1年間の長期計画をつくることでも一致し、今年夏にアメリカで包括的経済対話を開き、具体策を協議することになりました。





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28.時事問題の基礎入門講座(2017.4.8の講座のテキスト) [2017.4.8の講座のテキスト]

28. 時事問題の基礎入門講座(2017.4.8の講座のテキスト)

(a) 日本の政治・外交・防衛

。日米首脳、北朝鮮のミサイル発射で電話会談―2017.4.6

安倍首相とアメリカのトランプ大統領は、4月6日電話会談を行い、北朝鮮が5日弾道ミサイルを発射したことについて、、「危険な挑発行為であり、安全保障上の重大な脅威だ」との認識で一致し、韓国を含めた日米韓3か国で北朝鮮問題で緊密に連携していく方針を確認しました。
安倍首相は、トランプ政権が北朝鮮政策で「すべての選択肢はテーブルの上にある」との態度を対外的に示し、武力行使も排除しない姿勢を示していることを高く評価する考えを伝えました。
これに対し、トランプ大統領は、「日本に対する安全保障上の関与を確認し、同盟国日本を100%支える」と述べ、引き続き日米同盟の強化に取り組むことを確認しました。
また両首脳は、中国が北朝鮮からの石炭の輸入を今年一杯停止するなどの経済制裁を実施していることについて、「十分ではない」という認識で一致し、トランプ大統領は、6日と7日アメリカ・フロリダで行われる習近平国家主席との米中首脳会談で、中国に対し、北朝鮮問題で積極的な役割を果たすよう求める考えを示しました。

・政府、北朝鮮への独自制裁2年延長を決定―2017.4.6

政府は、7日の閣議で、北朝鮮に対する日本独自の制裁措置のうち今月13日で期限が切れる輸出入の全面禁止と北朝鮮に寄港したすべての船舶の入港禁止の措置を2年間延長することを決めました。
政府は、北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射を受けて、2006年以降、北朝鮮に対して、日本独自の制裁措置を講じています。

・ニュースの用語解説

北朝鮮は、5日東部のハムギョン南道シンポ付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射しました。
これについて、アメリカの国防総省の当局者は、詳しく分析した結果、発射されたのは、射程1000キロの中距離弾道ミサイル「スカッドER」で、発射後まもなく制御不能に陥って発射に失敗した可能性が高いとみています。
この弾道ミサイル発射は、6日から始まる米中首脳会談を前に北朝鮮のミサイル能力を誇示する狙いがあるものとみられています。
弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会決議に違反することから、日米韓3か国は一斉に非難しました。

・駐韓大使、3か月ぶりに帰任―2017.4.4

韓国・プサン(釜山)の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を設置したことへの対抗措置として、一時帰国していた韓国駐在の長嶺大使は、4日、およそ3か月ぶりにソウルに帰任しました。
長嶺氏は、近くファン・ギョアン(黄教安)大統領代行兼首相と会い、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった2015年の日韓合意の着実な履行と次期政権への引継ぎを要請したい方針です。
今のところ、少女像撤去の見通しは立っていませんが、日本政府としては、5月9日に行われる韓国大統領選挙の後の政権移行に向けた準備や対北朝鮮政策での連携を優先させる必要があると判断し、長嶺大使を帰任させたものです。

・国会、テロ等準備罪法案審議、与野党対立―2017.4.6

犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改めて、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる審議が、6日、衆議院本会議で始まりましたが、与野党が激しく対立しています。
この法案は、テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、計画に合意した全員が処罰の対象になるものです。
政府は、この法案について、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控える中、テロなどの組織犯罪を未然に防ぐために、一定の条件が満たされた場合には、犯罪の実行前の段階でも処罰できるよう、テロ等準備罪を新設することが必要だとして、法案の早期成立をめざしており、5月初めまでには衆議院を通過させたい考えです。
しかし、野党側は、「法案は日本を監視社会にするものだ」、「捜査機関の解釈や裁量に委ねられ、一般市民が対象になる恐れがある」などとして反対しており、徹底した審議を求めたうえで廃案に追い込みたい考えで、与野党の対立が鮮明になっています。

一方、この法案に反対する市民の集会が、6日、東京の日比谷公園で開かれました。集会には、主催者の発表で、およそ3700人が参加し、「この法案は、市民を監視し、内心の自由や表現の自由を踏みにじるもので、強く反対する」と訴えました。

・ニュースの用語解説

共謀罪の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案は、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」のメンバーが、資金や物品の手配、下見その他の「準備行為」を行うことを要件に、計画段階から罪に問う内容です。
同法案の処罰の対象になる重大な犯罪は、組織的な殺人やハイジャックなどテロの実行に関連する110の犯罪や覚せい剤や大麻の輸出入といった薬物に関する29の犯罪など277の犯罪が明示されていて、政府は、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるものに限定したとしています。
この法案は、小泉政権の時3回にわたって国会に提出し廃案になった共謀罪法案を衣替えしたもので、政府は、国際組織犯罪防止条約の締結とテロ対策のために必要だとして、テロ等準備罪の呼び名を使っています。
多国間で組織犯罪の捜査情報の共有などを進める国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は、187か国・地域が締結済みです。しかし、国連加盟国の中で同条約を締結していない国は、日本、イラン、ブータンなど11か国で、政府は、テロ等準備罪を新設して同条約を締結し、国際的な組織犯罪捜査の穴を埋めたいとしています。

・教育勅語教材で使用認める閣議決定―2017.3.31

政府は、3月31日の閣議で、戦前・戦中に道徳や教育の基本方針とされた教育勅語を憲法や教育基本法に反しない形で教材として使うことを認めた政府答弁書を決めました。
教育勅語は、1890年明治天皇が君主に奉仕する臣民の教えとして示したもので、戦前・戦中の教育の根本理念とされてきましたが、戦後1946年民主主義を柱とする新憲法が公布され、1948年国会で教育勅語の排除と失効の確認が決議されました。
しかし、特に2012年の第2次安倍内閣発足以降、閣僚や文部科学省当局者の発言の中で憲法などに反しない形で教育勅語を肯定的に評価する見解が表明され、野党などから追及されていました。
今回の答弁書では、教育勅語は、教育の唯一の根本とするような指導を行うのは不適切だとする一方、憲法や教育基本法などに反しないような形で用いることまでは否定されないとしています。
これについて、菅官房長官は、4月4日の記者会見で、「政府としては、積極的に学校現場での活用を推奨する考えはない」と強調しましたが、野党側は、閣議決定に反発し、「安倍政権の危険な姿勢が表れており、許されない」とか「なし崩し的に教育勅語がまた教育現場によみがえりかねない」などと非難しています。

・ニュース用語の解説

教育勅語は、公式呼称は「教育ニ関スル勅語」で、明治天皇の名で国民道徳の根源、国民教育の基本理念を示した勅語(天皇の言葉)です。1890年(明治23年)発布。ご真影とともに天皇制教育推進の主柱となり、国の祝祭日の朗読が義務付けられていました。1948年国会で排除・失効の確認が決議されました。
内容は、3つの部分からなり,肇国以来歴代天皇が道徳の形成に努め、国民が忠義、孝行の道において一致してきたことを「国体ノ精華」となし、教育の根源をこの点においています。次いで「父母ニ孝」「兄弟ニ友」「夫婦相和」・・・「学ヲ修メ業ヲ習ヒ」など「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼」すべき日本臣民の体得すべき徳目を列挙し、最後にこのような国体観、臣民観が時間と空間を超えて、妥当する絶対の真理であると宣言し、天皇と臣民が一体となってその実現に邁進すべきことを求めています。


(b) 日本の経済・貿易

・東芝の米原発子会社ウエスチングハウス経営破綻―2-17.3.29

経営再建中の東芝は、3月29日、アメリカの原子力子会社ウエスチングハウスがアメリカ連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻したと発表しました。
東芝は、その損失をかぶるため、2016年度の決算は、国内の製造業としては過去最大の1兆円を超える最終赤字に転落することになりました。
ウエスチングハウスは、設計などを手掛ける原発の世界シェアが20%を超える世界的な大手原発メーカーで、東芝が海外原発事業を推し進める狙いで2006年買収し、およそ5500億円を投じてきましたが、アメリカで手掛ける原発4基の建設で巨額の追加費用が発生し、経営に行き詰まり、ウエスチングハウスが、アメリカ連邦破産法11条の適用をニューヨーク州連邦破産裁判所に申請し、経営破綻したものです。
これによって、東芝は、海外の原発事業から撤退することになりました。

・ニュース用語の解説

アメリカ連邦破産法11条というのは、倒産の手続きを定めたアメリカの法律で、日本の民事再生法に当たります。原則として旧経営陣が事業を続けながら、負債の削減などを進める「再建型」の規定で、申請後に会社が再建計画を提出し、一定以上の債権者の賛成を得たうえで、裁判所が認可すれば、計画が実施されます。手続きが始まると、通常は親会社の連結決算から外れ、損失が出ても、親会社の決算に直接影響しなくなります。


(c) 日本の社会


(d) 国際情勢

・アメリカ、シリアにミサイル攻撃―2017.4.6

アメリカのトランプ大統領は、シリアのアサド政権軍が化学兵器を使って空爆を行い多数の死傷者を出したと断定し、その報復として、シリアの空軍基地を巡航ミサイルで攻撃したと発表しました。
アメリカがシリアのアサド政権に対して軍事攻撃を行ったのは、2011年シリアの内戦が始まって以来初めてのことです。
シリアでは、4日北西部イドリブ県の反政府勢力が支配する町で空爆があり、少なくとも72人が死亡し、多数のけが人がでたと伝えられ、住民の多くに呼吸困難やけいれんなどの症状がみられ、猛毒のサリンのような神経ガスや塩素ガスなどの化学兵器が使われた疑いが強まっています。
米中首脳会談のためフロリダ州に滞在中のトランプ大統領は、声明を発表し、「シリアの独裁者アサドが無実の市民に対して化学兵器を使って攻撃を行った。このとても残虐な攻撃でかわいい赤ちゃんたちも無慈悲に殺害された」と述べました。
そのうえで「シリアの空軍基地に対する軍事攻撃を指示した。この攻撃は、化学兵器の使用と拡散をやめさせるためアメリカの安全保障上、非常に重要な国益だ」と述べ、シリアへの攻撃に理解を求めました。

アメリカ国防総省によりますと、アメリカ軍は、地中海東部に展開する駆逐艦「ポーター」と「ロス」から巡航ミサイル「トマホーク」59発をシリア中部ホムス近郊のシュアイラート空軍基地の航空機や武器庫、防空施設、レーダーなどに向けて発射したということです。アメリカ情報当局の分析では、この基地には化学兵器が貯蔵され、この基地から飛び立った航空機が4日シリア北西部イドリブ県で化学兵器を使って攻撃したものとみられています。
アメリカ国防総省は、攻撃後に撮影した衛星写真を公表し、発射した59発のミサイルすべてが目標に命中したとして、23発しか命中しなかったとするロシア側の主張を否定しました。
そのうえで、一連の攻撃でシリア軍の軍用機20機を破壊し、そのほかの目標も破壊したか損害を与えたとして、作戦は成功だったと強調しました。
シリアの空軍機や装備などに大きな損害を与え、シリア側が化学兵器を使用する能力を減らしたとみています。また、アメリカ軍が攻撃をする前にロシア軍側に通告したということです。

これに対して、シリア政府軍は、7日国営テレビを通じて声明を発表し、アメリカのミサイル攻撃で、4人の子どもを含む民間人9人が死亡したことを明らかにしたうえで、「露骨な侵略行為だ」とアメリカの軍事行動を強く非難しました。

アサド政権を支援しているロシアの大統領府の報道官も、「プーチン大統領は、今回の攻撃について、主権国家への侵略行為で、国際法違反だと考えている」と述べ、プーチン大統領が強く反発していることを明らかにしました。

一方、安倍首相は、「化学兵器の拡散と使用は絶対許さないとのアメリカ政府の決意を日本政府は支持する」と述べるとともに、北朝鮮による核・ミサイル開発を念頭に「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増している。国際秩序の維持と世界の平和と安全に対するトランプ大統領のコミットメントを日本は評価する」と強調しました。
また、イギリス、オーストラリアは、トランプ政権の行動を支持し、ドイツとフランスは、共同で声明を発表し、これに理解を示しました。
中国は、シリアで起きた化学兵器を使った攻撃を強く非難する一方で、アメリカが国連による調査を待たずにシリアへの攻撃に踏み切ったことについて、間接的に批判しました。

・ニュースの用語解説

化学兵器(CW=Chemical Weapon)は、有毒化学剤(いわゆる毒ガス)またはこれを入れた各種砲弾・ミサイル等の総称です。毒ガスは、神経剤、びらん剤、血液剤、窒息剤に大別されます。1993年化学兵器の包括的廃絶を目指した化学兵器禁止条約が調印され、1997年に発効しました。現在192か国が批准しています。北朝鮮などのいわゆる化学兵器保有疑惑国は、調印していません。
シリアと化学兵器については、アメリカが2013年8月アサド政権が化学兵器サリンを使ったと主張し、対シリア攻撃を準備、アサド政権は同年9月化学兵器の保有を認めて全廃すると表明し、アメリカの攻撃は回避されました。化学兵器禁止機関(OPCW)の計画に基づき、2014年6月に兵器の材料となる化学物質の国外搬出が完了しました。
しかし、化学兵器禁止機関(OPCW)と国連の専門家パネルは、2016年8月、アサド政権が2014年4月と2015年3月に北西部で塩素ガスを使った攻撃をしたことを国連安全保障理事会に報告しました。

・米中首脳会談、米中関係、北朝鮮問題など協議―2017.4.6-7

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談は、6日と7日、アメリカ南部フロリダ州のトランプ大統領の別荘で行われ、北朝鮮問題や米中関係などについて討議しました。
記者会見したアメリカのティラーソン国務長官によりますと、両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応について、協力を深め、朝鮮半島の非核化に向けて努力していくことを確認しました。
そのうえで、トランプ大統領は、習主席に対して、さらなる行動を促すとともに、「中国がともに行動しないならば、アメリカは単独で対応する用意がある」と述べ、北朝鮮への制裁強化を迫ったということです。
トランプ大統領は、また、東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出の動きやサイバー空間での情報の不正な取得について、中国側に懸念を伝えるとともに、貿易や投資などの分野での公正な競争を実現するよう求めました。
中国の国営通信「新華社」によりますと、習主席は、「協力こそ唯一の正しい選択だ」と述べ、首脳レベルの交流を強化していく必要性を指摘しました。そして、両首脳は、外交・安全保障、経済全般、法の執行とサイバーセキュリティ、社会・人文の4つの分野で、ハイレベルの対話協力メカニズムを新たに設けることで合意したということです。
さらに、互いの企業が投資をしやすくするために、規制などを取り払う2国間の投資協定の交渉を前に進めることや貿易や投資を双方向で健全に発展させることを習主席が表明したと伝えています。
両首脳は、アメリカの対中貿易赤字の是正に向け、100日計画を策定することで合意しました。
習主席は、南シナ海問題などの懸案については、「敏感な問題を適切に処理しなければならない」と述べたということです。
トランプ大統領は、習主席が年内に中國を訪問するよう招請したことを受け入れたということです。

・韓国のパク・クネ前大統領、逮捕―2017.3.31

韓国の検察当局は、パク・クネ前大統領を3月31日収賄容疑などで逮捕し、4月4日から取り調べを行っています。
検察当局は、パク前大統領を、韓国最大の財閥サムソン・グループから約束分を含めて日本円で43億円余りの賄賂を受け取った収賄などの容疑で逮捕しました。
パク前大統領は、これまで全面否定しています。交流期限は来月19日ですが、検察当局は、大統領選挙の選挙運動が始まる4月17日の前に起訴する方針だといわれています。
一方、サムソン・グループの事実上のトップでサムソン電子の副会長のイ・ジェヨン被告は、7日開かれた初公判で、賄賂を渡したとする起訴内容を否定しました。

一方、5月9日に行われる韓国の大統領選挙では、パク前大統領を厳しく批判してきた革新系の最大政党「共に民主党」のムン・ジェイン氏が、世論調査での支持率で大きくリードしています。

・キム・ジョンナム氏の遺体、北朝鮮へー2017.3.30

マレーシアと北朝鮮は、3月30日、北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の異母兄のキム・ジョンナム氏の遺体を北朝鮮側に引き渡すことで合意しました。
キム・ジョンナム氏は、2月13日マレーシアのクアラルンプール空港で殺害されましたが、この事件をめぐって、マレーシアと北朝鮮は、激しく対立、お互いの国民で相手国にいる人々の出国を禁じていましたが、外交折衝の結果、マレーシアは、キム・ジョンナム氏の遺体と事件に関与した疑いのあるマレーシアの北朝鮮大使館の2等書記官と国営航空職員を北朝鮮側に引き渡した代わりに、北朝鮮にいたマレーシア大使館の職員ら9人が出国を認められ帰国しました。
しかし、これによって事件の全容解明は困難になりました。

・国連の核兵器禁止条約制定第1回交渉終わる、7月の採択目指すー2017.3.31

核兵器を法的に禁止する核兵器禁止条約の初めての制定を目指す第1回の交渉が、3月27日から31日まで、ニューヨークの国連本部で行われました。
この交渉には、オーストリアやメキシコなどの非核保有国が中心となって、115か国が参加しており、核兵器を非人道的なものとして、その使用や保有を法的に禁止する条約を制定しようというものですが、アメリカ、ロシアなどの核保有国は法的な禁止には強く反発して参加せず、日本も、オーストラリアや韓国などとともに、アメリカの「核の傘」に依存していることから交渉には反対の立場をとっていて参加していません。
第1回の交渉終了後、議長を務めているコスタリカのホワイト軍縮大使は、記者団に、核兵器を禁止するため法的枠組みや範囲、手段について生産的で建設的な議論ができたと述べ、6月15日から7月7日まで行われる次回の交渉で条約案を採択する方針を示しました。

・ニュースの用語解説

日本は、これまで唯一の被爆国として核兵器に反対の立場をとってきましたが、昨年この核兵器禁止条約制定交渉の提案が出てきた時から、日本は、アメリカの核の傘の下にあるという事情があり、交渉には核保有国が参加しない以上反対する立場をとるようになり、昨年12月決議案が採択された段階では、交渉には反対だが話し合いには参加して日本の立場を主張するといっていました。しかし、今回交渉開始にあったては、そうした立場をとる国がほとんどないうえに、1月に発足したアメリカのトランプ政権が反対する立場とっていることを考慮して、交渉にも参加しないことを決めました。

・英国、EU離脱通知―2017.3.29

イギリスのメイ首相は、3月29日、EU=欧州連合に書簡を送り、正式にイギリスがEUから離脱することを通知しました。
EUから加盟国が離脱するのは初めてです。
離脱通知は、EU基本条約(リスボン条約)で加盟国の離脱手続きを定めた第50条に基づくものです。
条約が定める交渉期間は原則2年です。延長には全加盟国の合意が必要になっています。
交渉は、貿易・経済、安全保障など多岐にわたって行われ、特にイギリスのEU拠出金の負担とEU市民の権利保障をめぐる問題で難航が予想されています。

・ロシアの地下鉄でテロ事件―2017.4.3

ロシアの捜査当局は、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で3日起きた爆破事件は、中央アジア・キルギス出身のロシア人で22歳の男による自爆テロとみて調べています。
この事件で、13人が死亡し、およそ50人がけがをしました。
捜査当局は、7日、事件に関与した疑いで男女8人を拘束したと発表し、自爆した容疑者がイスラム過激派の浸透が指摘されるキルギス出身であることなどから、過激派組織IS=イスラム国との関連を含め調べていて、全容の解明に進むのか注目されます。

・スウェーデンでトラック暴走、テロ事件かー2017.4.7

スウェーデンの首都ストックホルム中心部のショッピング街で、トラックが暴走し、デパートの入り口に突っ込み、少なくとも4人が死亡し、15人がけがをしました。
警察は、事件にかかわった可能性のある1人を拘束したと発表するとともに、、現場の状況などからテロ事件の可能性があるとみて捜査しています。









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27. 時事問題の基礎入門講座(2017.3.11の講座のテキスト) [2017.3.11の講座のテキスト]

27. 時事問題の基礎入門講座(22017.3.11の講座のテキスト)

(a) 日本の政治・外交・防衛

・南スーダン派遣の陸上自衛隊施設部隊撤収へー2017.3.10

政府は、南スーダンでの国連のPKO=平和維持活動に派遣している陸上自衛隊の施設部隊について、今の派遣期間が今月終了するのにあわせて活動を終え、5月末をめどに撤収させる方針を決めました。
これは、10日開かれたNSC=国家安全保障会議で決め、安倍首相が記者団に発表したものです。
施設部隊は、およそ350名で、南スーダンの首都ジュバとその周辺で、道路や橋などの整備にあたっていますが、今回の派遣からは、安全保障関連法に基づいて、国連の関係者などが襲われた場合、救援に向かう「駆けつけ警護」の任務が初めて付与されました。
一方、政府は、現地の司令部への要員4名の派遣は継続することにしています。

・国会で国有地売却問題論議―2017.3.8

国会では2月中旬から3月中旬にかけて国有地の売却に関連した問題が主要議題になり、鑑定価格より低く売却された事案で、政治家による関与の疑いが提示されました。
これは、大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格より低く売却した小学校建設用地の問題で、鑑定では9億5600万円でしたが、売却価格は1億3400万円でした。大幅に低くなったのは、「ゴミの撤去費用」として8億円余りが差し引かれたからだと説明されています。
これについて、野党側は、政治家など外部からの不当な働きかけがあったのではないか、安倍首相夫人の昭恵氏は「森友学園」の小学校の名誉校長をつとめていたが関係はないのか(問題化した後辞任)などとただしましたが、安倍首相は、「私も妻も売却あるいは認可に一切関わっていない。関わっていれば職を辞するということは明確に申し上げている通りだ」と強調しました。また、「今回の売却は、法令などに基づき、適正な手続きと適切な算定によって行われたものだと財務省と国土交通省が説明している」としたうえで、「政治家から不当な働きかけがあったかどうかは、財務省理財局長が『一切ない』と何度も答弁しているところだ」と述べました。しかし、野党側は、納得せず、「森友学園」の理事長の参考人招致を重ねて要求しています。与党側は、これに応じていません。
なお、「森友学園」の籠池泰典理事長は、10日、記者会見し、小学校の設置申請を取り下げるとともに、理事長を退任すると発表しました。

(b) 日本の経済・貿易

・2017年度予算案、年度内成立へー2017.2.27

過去最大規模の2017年度予算案は、2月27日、衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。
予算案は、憲法で定められた衆議院の優越で、仮に参議院で採決が行われない場合でも、参議院に送られてから30日後の3月28日に自然成立します。
予算案の一般会計の歳出額は、97兆4547億円と前年度の当初予算に比べると7329億円増え、5年連続で過去最高を更新しました。
高齢化で医療や介護などに使う社会保障費が4997億円増え、32兆4735億円と歳出の3割超を占めています。北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対応するため、防衛関係費も710億円増やし、過去最大の5兆1251億円となっています。
このほか、国から地方自治体に配分する地方交付金も増えて15兆5671億円、公共事業費は5兆9763億円、ODA=政府開発援助は5527億円と前年度の当初予算よりわずかながら増えました。
国債の償還や利払いに充てる国債費は、日銀のマイナス金利政策で金利が下がっていることから、前年度より減って23兆5285億円となりました。
一方、歳入では、税収が57兆7120億円で、前年度の当初予算より1080億円増える見込みです。
新たな借金にあたる国債の新規発行額は、34兆3698億円と、当初予算としては7年連続で前の年度を下回りますが、歳入の35%に上っています。。

(c) 日本の社会

・東日本大震災から6年―2017.3.11

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から、きょう3月11日で丸6年を迎えました。
6年前の2011年3月11日午後2時46分頃、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北や関東の沿岸に高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。津波と地震で宮城県、岩手県、福島県を中心に各地に大きな被害をもたらしました。
警察庁のまとめによりますと、震災の死者は1万5893人、行方不明者は2553人となっています。
また、復興庁によりますと、避難生活による体調の悪化などで亡くなったいわゆる震災関連死は3523人となっています。
東日本大震災による死者と行方不明者は、震災関連死を含めて少なくとも合わせて2万1969人に上っています。
復興庁によりますと、避難生活を余儀なくされている人は12万3168人に上っています。
福島県では、住民の帰還が難しい帰還困難区域を除く、多くの地域で避難指示が解除されていますが、放射線への不安や生活基盤の整備の遅れなどから、帰還しない意向を示す住民も多くいて、地域再生への課題が山積しています。

(d) 国際情勢

・韓国のパク・クネ大統領罷免―2017.3.10

韓国のパク・クネ(朴 恵)大統領が罷免され、60日以内に大統領選挙が行われることになりました。
韓国の憲法裁判所は、10日、8人の裁判官が全員一致で、国会が可決したパク・クネ大統領の弾劾訴追を妥当だとする決定を言い渡し、パク大統領は直ちに失職しました。大統領の罷免は、韓国の憲政史上初めてのことです。
憲法裁判所は、パク氏が秘書官を通じて職務上の秘密に該当する文書を友人のチェ・スンシル(崔順実)被告に流出させた行為は国家公務員法の守秘義務違反にあたり、チェ被告が実質支配した財団の資金集めにパク氏が協力し、パク氏がチェ被告の利益のために大統領の地位と権限を乱用したと認定し、「大統領の違憲・違法行為は、国民の信任に対する裏切り行為だ」と述べました。
罷免されたパク氏は、検察がパク氏とチェ被告がからんだ一連の事件を捜査してきていますので、逮捕・起訴される可能性があるといわれています。
パク氏が大統領を罷免されたことによって、60日以内に大統領選挙が行われることになりました。
すでに立候補を表明した、あるいは立候補の可能性のある政治家について、最新の各種世論調査によりますと、革新系の最大野党「共に民主党」のムン・ジェイン(文在寅)前代表が35%前後で断然トップに立っています。

・北朝鮮、弾道ミサイル4発同時発射―2017.3.6

北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル4発を同時発射し、在日アメリカ軍への攻撃を担う部隊の訓練だったと発表しました。これに対し、日本など関係国は強く反発しています。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、7日、北朝鮮が6日弾道ミサイルを発射したことについて、「有事に際に在日アメリカ軍基地への攻撃を担う朝鮮人民軍戦略軍火星砲兵部隊の訓練だった。訓練は、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が指導し、成功だった」と報じました。
日本政府の発表によりますと、弾道ミサイル4発はほぼ同時に発射され、いずれもおよそ1000キロを飛び、秋田県男鹿半島から西におよそ300キロから350キロの海上に落下したということです。3発は、日本のEEZ=排他的経済水域内に、もう1発はEEZ付近に落下したということです。
これについて、安倍首相は、6日国会で、「北朝鮮が新たな段階の脅威であることを明確に示すものだ。国連安全保障理事会の決議に明確に違反するもので断じて容認できない。厳重に抗議し、強く非難した」と述べました。
安倍首相は、7日、アメリカのトランプ大統領と電話で協議し、日米や日米韓で緊密に連携していくことを確認したということです。
韓国の大統領の権限を代行しているファン・ギョアン(黄教安)首相も、トランプ大統領と電話で協議し、引き続き連携して対処していく方針を確認したと伝えられています。
アメリカ政府と韓国政府は、7日THAAD=高高度迎撃ミサイルシステムの一部装備が韓国に搬入されたと発表しました。

一方、中国の王毅外相は、8日北京で記者会見し、北朝鮮の核・ミサイル開発を非難する一方、アメリカと韓国が大規模な軍事演習を行っていることに懸念を示し、「赤信号をともして、同時にブレーキをかけることが急務だ」と述べ、関係するすべての国に自制を強く求めました。
また、王外相は、アメリカの最新の迎撃ミサイルシステムTHAADの韓国への配備について、懸念を表明し、韓国に配備の動きを止めるよう促しました。

国連安全保障理事会は、7日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を「地域をさらに不安定化させるもので、安保理に対する挑戦だ」として、北朝鮮を「強く非難する」報道機関向けの声明を発表しました。この声明は、ミサイル発射は、安保理決議に対する「重大な違反」だとして、北朝鮮に核実験を含むさらなる挑発行為をやめるよう訴えています。この声明は、法的拘束力はありませんが、国連加盟国に、北朝鮮に対する制裁措置の履行に向けて努力を倍増するよう求めています。

・北朝鮮、マレーシア対立激化、互いに滞在者の出国禁止―2017.3.7

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の異母兄のキム・ジョンナム氏がマレーシアの首都クアラルンプールで殺害された事件をめぐって、北朝鮮とマレーシアが激しく対立し、お互いの国の駐在大使を国外退去処分にし、さらに相手国にいる滞在者の出国を認めない措置をとっています。
マレーシア政府から「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として国外退去を命じられた北朝鮮のカン・チョル・マレーシア駐在大使は、6日クアラルンプールから出国し、北京経由で帰国の途に就きました。
一方、朝鮮中央通信が6日伝えたところによりますと、北朝鮮外務省は、マレーシアの北朝鮮駐在大使を国外退去処分にすると発表しました。ただし、同大使は、北朝鮮のカン大使の事件後のマレーシア当局に対する批判の発言を受けてマレーシア政府がすでに本国に召還し帰国しています。
北朝鮮外務省は、7日、北朝鮮の滞在するマレーシア人の出国を一時的に禁止すると発表しました。これは、カン大使のマレーシア追放に抗議の意を示したものとみられています。一方、マレーシア政府もマレーシアにいるすべての北朝鮮国民の出国禁止を発表しました。これは、北朝鮮の措置に対応したものだと述べています。

一方、マレーシア警察は、10日、記者会見で、殺害されたのは、キム・ジョンナム氏であることを確認したと発表しました。しかし、その確認方法などについては明らかにしませんでした。

キム・ジョンナム(金正男)氏殺害事件をめぐって、動向が注目されている息子のキム・ハンソル氏を名乗る男性の動画が、7日、動画サイト「ユーチューブ」で公開されました。
動画は40秒で、男性が、「私の名前はキム・ハンソル。北朝鮮籍で、キム一族の一人です。私の父は、数日前に殺されました。私は、今母と妹(あるいは姉)と一緒にいます。もうすぐ状況が良くなることを望んでいます」と話しています。
動画を公開したのは、「チョンリマ民間防衛」と称する団体で脱北者を支援する団体ではないかとみられていますが、詳しいことはわかっていません。

・中国の全人代開くー2017.3.5

中国の全人代=全国人民代表大会が5日始まり、李克強首相が政治活動報告を行い、焦点の今年の経済成長率の目標を6.5%前後とし、6.5%から7%としていた昨年の目標を引き下げることを明らかにしました。目標を引き下げるのは3年連続のことです。これは、引き続き成長の速度よりも質と効率性を重視し、今年秋に最高指導部が入れ替わる5年に1度の共産党大会を控え、「安定重視」を強調したものとみられています。
また、李首相は、貧困人口の削減や環境汚染対策など国民の生活の向上に取り組む決意を改めて強調しました。
さらに、李首相は、「脱グローバリズムや保護主義の傾向が強まり、不安定な要素が明らかに増している」と指摘したうえで、「中国は、揺ぎなくグローバルな経済協力を推し進める。RCEP=東アジア地域包括的経済連携の交渉を早期に妥結させたい」と述べ、アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権を暗に牽制しました。

中国の財務省が6日明らかにしたところによりますと、今年の予算案では、国防費は昨年より7%増加し、総額1兆443億9700万人民元、日本円にして17兆円が計上されているということです。
中国の国防費が1兆人民元の大台を突破したのは初めてで、10年間で3倍に膨らんでいます。
これは、アメリカに次ぐ世界で第2位の規模を維持していることになります。

・トランプ米大統領、入国制限の新大統領令に署名―2017.3.6

アメリカのトランプ大統領は、6日、新たに中東やアフリカの6か国の人の入国を制限する大統領令に署名しました。
トランプ大統領は、1月にテロ対策を強化するためとして、中東やアフリカの7か国のシリア、イラク、イラン、リビア、スーダン、イエメンの人の入国を一時的に禁止する大統領令に署名しましたが、これについては、一部の州などで差別的だとして法廷での争いに発展しています。今回の大統領令は、イラクを対象国から除き、6か国の人の入国を90日間に制限しています。前回の大統領令は、直ちに執行され、ビザや永住権を得ている人も入国できず、混乱がおきましたが、今回は、10日間の準備期間を設けているほか、入国制限の対象を新たなビザの申請者のみにしています。このため、今回は前回に比較して影響を受ける人は少ないものとみられますが、一部の州では、法的な手段をとることを検討していると伝えられ、今後の動きが注目されます。

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26.時事問題の基礎入門講座(2017.2.4の講座のテキスト) [2017.2.4の講座のテキスト]

2017.2.4の時事問題の基礎入門講座

(a) 日本の政治・外交・防衛

・マティス米国防長官来日、安倍首相らと会談―2017.2.3~4

安倍首相は、アメリカのトランプ政権の閣僚として初めて日本を訪れたマティス国防長官と会談し、トランプ政権との間でも強固な日米同盟を堅持していきたいという考えを伝えました。
これに対し、マティス国防長官は、中国が領有権を主張している沖縄県・尖閣諸島がアメリカの日本に対する防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲だという考えを示し、安全保障上の課題に取り組んでいくことを確認しました。
マティス国防長官は、トランプ政権の閣僚として初めて韓国と日本を訪れ、アメリカの両国との同盟関係は、これまでと変わらないことを強調するのが目的で、3日韓国から日本に到着し、安倍首相、稲田防衛相、岸田外相と会談しました。

・安倍首相、トランプ大統領と電話会談―2017.1.28

日本のメディアの報道

『読売』
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳会談10日で合意、電話会談、「同盟の重要性確認」
・リードー安倍首相は28日夜、トランプ米大統領と電話で会談し、ワシントンで2月10日に初めての首脳会談を行うことで合意した。首相は電話会談後、首相官邸で記者団に「日米同盟の重要性を確認した」と述べた上で、「2月の首脳会談では、経済や安全保障全般にわたり、率直で有意義な意見交換をしたい」と語った。首相の訪米には、麻生副総理兼財務相、岸田外相、世耕経済産業相も同行する方向だ。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(記名なし)首脳会談来月10日、日本 米の貿易圧力警戒、安保と「取引」懸念
・社説―日米電話会談、肝心なのは同盟強化の各論だ

『朝日』
29日(日)朝刊
・見出しー日米同盟の重要性確認、両首脳が電話会談、来月10日会談合意
・リードー安倍晋三首相とトランプ米大統領は28日深夜(米東部時間28日朝)、トランプ氏の就任後、初めての電話会談を行った。両首脳は、首相が訪米して2月10日にワシントンで初の首脳会談を開くことで合意。日米同盟の重要性を改めて確認したうえで、通商政策や安全保障の課題について意見を交わした。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(小室浩幸、ワシントン=佐藤武嗣)10日の会談は「真剣勝負」、日米首脳 通商交渉、焦点に/ 読めぬトランプ外交
・社説―(別のテーマ・核燃料サイクル 再処理工場を動かすな)
『日本経済』
29日(日)朝刊
・見出しー日米首脳、来月10日会談、「経済関係や同盟重要」、電話協議、トランプ氏 日本との関係重視
・リードー安倍晋三首相は28日夜、トランプ米大統領と電話で42分協議し、2月10日にワシントンで日米首脳会談を開くことで合意した。日本側によると、両首脳は日米同盟の重要性を確認、日米の経済関係の重要性でも一致した。環太平洋経済連携協定(TPP)や自由貿易協定(FTA)は話題にならなかった。首相は、自動車など日本企業の米経済への貢献を説明した。
30日(月)朝刊
・解説または関連記事―(記名なし) 日本の車産業に雇用要請、対北朝鮮では協力/日本、対米貢献強調へ 経済連携、かじ取り難しく
・社説―日米自動車摩擦の再燃を回避したい

『共同通信』
29日(日)配信
・見出しートランプ氏、雇用創出要求
・リードー安倍晋三首相は、28日深夜、トランプ米大統領と電話会談し、米ワシントンで2月10日(現地時間)に直接会談することで合意した。トランプ氏は。「日本との関係を重視している」「(米国の)雇用をつくってほしい」と述べたのに対し、首相は、自動車産業など日本企業の米国への貢献を説明した。両首脳は、同盟の重要性も確認した。首相は、電話会談後、来月の首脳会談に関し、「経済、安全保障全般において有意義で、率直な意見交換をしたい」」と官邸で記者団に語った。トランプ氏は「日本の安全確保に対する米国の確固たる責任」を確認。

『NHK』
29日(日)放送
・見出しー日米首脳会談来月10日にワシントンで開催を確認
・リードー安倍総理大臣は28日夜、アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、来月10日にワシントンで、大統領就任後初めてとなる日米首脳会談を行うことを確認しました。また、安倍総理大臣は、トランプ大統領が自動車メーカーにアメリカ国内への投資を求めていることを踏まえ、日本企業がアメリカ経済に貢献していることを説明し、理解を求めました。


外国のメディアの報道

アメリカ

『The Wall Street Journal』紙(東京発)
・見出しーShinzo Abe Discusses Importance of Japan-U.S. Alliance With Donald Trump (安倍首相、トランプ大統領と日米同盟の重要性を討議)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe said Saturday that U.S.
President Donald Trump has acknowledged the importance of an alliance between their countries for defense and economic growth. (日本の安倍首相は、アメリカのトランプ大統領が防衛と経済成長のための両国間の同盟の重要性を認めたと述べた)

『CNN(=Cable News Network)』放送(ワシントン発)
見出しーJapan PM Abe to visit US, meet with Trump (日本の安倍首相、訪米し、トランプ大統領と会談へ)
リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe accepted an invitation Saturday to visit President Donald Trump at the White House next month. White House press secretary Sean Spicer confirmed the news on Twitter shortly after the two leaders had their first phone call since Trump was inaugurated earlier this month. (日本の安倍首相は、来月ホワイトハウスでトランプ大統領を訪ねるようにという招待を受け入れた。ホワイトハウスのスパイサー報道官は、両首脳が、トランプ氏が今月大統領に就任して以来、初めて電話会談を行った後、ツィッターでこのニュースを確認した)

(b) 日本の経済・貿易

864. 昨年の貿易収支 6年ぶりに黒字―2017.1.25

輸出から輸入を差し引いた昨年1年間の日本の貿易収支は、4兆円741億円の黒字で、2010年以来6年ぶりの黒字になりました。
財務省が25日発表したところによりますと、昨年1年間の輸出額は、おととしより7.4%減って70兆392億円、一方輸入額は、おととしより15.9%減って65兆9651億円でした。輸入額が大幅に減った主な要因は、原油価格の下落と円高の影響で、原油やLNG=液化天然ガスの輸入額が減ったためです。
この結果、輸出から輸入を差し引いた昨年1年間の貿易収支は、4兆741億円の黒字で、東日本大震災前の2010年以来6年ぶりの黒字になりました。
アメリカのトランプ大統領は、日本や中国に対するアメリカの貿易赤字が大きいことを問題視していますが、昨年1年間の日本のアメリカに対する貿易収支は、6兆8347億円の黒字で、2年ぶりに減少しています。

・ニュースの用語解説

貿易の全体を表す統計に国際収支表があります。
これによりますと、国際収支(International Balance of Payments)は、モノに関する取引、サービス・所得に関する取引、資金に関する取引の3つに分類されます。
このうち、モノに関する取引は、輸出と輸入からなり、輸出額から輸入額を差し引いた金額を貿易収支(Trade Balance)といいます。貿易収支がプラスであれば貿易収支は黒字、逆にマイナスであれば赤字になります。
次に、サービスに関する取引は、輸送収支、旅行収支、その他のサービス収支の通信・建設・保険・金融・情報などの分野におけるサービス収支、さらに特許使用料、文化・興行サービスなどが含まれます。
さらに、所得収支(債券の保有によって発生する金利、あるいは株式の保有に伴って生ずる配当金の受け払いなど)や経常移転収支(援助など対価の支払いが伴わず、一方的な支払いを行う取引を移転収支といいますが、そのなかで相手国へモノ・サービスを提供する取引、さらに国際機関への拠出金など)があります。
これまで説明してきた貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支を合わせると、経常収支(Current Account)になります。
最後に、資本に関する取引は、外国から資本が入ってくる資本取引と、逆に国外に資本が出ていく資本流出があります。
経常収支と資本収支を合わせたものが、国際収支です。

・昨年の有効求人倍率1.36倍、25年ぶりの高水準―2017.1.31

仕事を求めている人ひとりに対し、企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、昨年は、1.36倍で、25年ぶりの高水準になりました。
厚生労働省が31日発表したところによりますと、2016年平均の有効求人倍率は、前年を0.16ポイント上回る1.36倍となり、1991年以来25年ぶりの高水準になりました。友好求人倍率の改善は、7年連続です。
一方、総務省が同日発表した2016年平均の完全失業率は、前の年より0.3ポイント低い3.1%となり、1994年以来22年ぶりの低さでした。
雇用情勢が改善されたのは、景気の穏やかな回復に加え、今まで働いていなかった高齢者や女性が働き始めたためとみられています。

・ニュースの用語解説

有効求人倍率というのは、全国の公共職業安定所に申し込まれている求職者1人に対する求人数の割合を示します。1倍未満であれば求職が求人を上回り、人余りの状態を示しています。
完全失業率というのは、労働人口(15歳以上の働く意欲のある人)のうち、完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)が占める割合で、雇用情勢を示す重要な指標の一つです。完全失業者数を労働力人口で割って算出し、数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示しています。

(c) 日本の社会


(d)国際情勢

・アメリカのトランプ大統領の就任―2017.1.20

・日本のメディアの報道

『読売』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、「米国第一」宣言、TPP離脱表明、抗議デモ217人逮捕
・リードー米国の実業家ドナルド・トランプ氏(70)は20日、第45代大統領に就任した。連邦議会議事堂前での就任演説では「今日この日から米国第一だ」と述べ、外交・経済両面で国益を何よりも優先する姿勢を鮮明にした。トランプ氏は就任初日に大統領令に署名し、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱方針を明示するなどした基本政策を発表するなど政権を始動させた。就任式場は8年前より空席が目立ち、ワシントン市内では全米から集まったトランプ氏の支持者と抗議デモ参加者が衝突した。米社会の分断、国際秩序の先行きに懸念が集まる船出となった。
・解説―アメリカ総局長 小川聡 分断深める危うさ
22日朝刊
・社説―トランプ新政権、価値観と現実を無視した演説、「米国第一」では安定と繁栄を失う

『朝日』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領始動、米、TPP離脱表明、NAFTAは「再交渉」、デモ過激化200人超逮捕
・リードー米共和党のドナルド・トランプ氏(70)は20日正午(日本時間21日午前2時)、連邦議会議事堂前での就任式で宣誓し、第45代大統領に就任した。就任直後に主要政策を公表し、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱する方針を発表。就任演説では米国益を最優先する「米国第一主義」を全面に打ち出した。全米で抗議デモが行われ、首都ワシントンでは一部が過激化して200人以上の逮捕者が出た。トランプ大統領の時代は「分断」を色濃く映し出した幕開けとなった。
・解説―ワシントン=佐藤武嗣 内向き「米国第一」、国際協調の理念 強く否定
22日朝刊
社説―トランプ政権、内向き超大国を憂う

『日本経済』
21日夕刊
・見出しートランプ大統領就任、米、TPP離脱表明、NAFTA再交渉、オバマケア見直し指示
・リードー米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が20日就任した。大統領就任式では「米国製品を買い、米労働者を雇って、米国を再び偉大な国にする」と演説し、式典直後には公約通り環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する方針を発表した。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も表明し、政権発足と同時に通商政策の抜本転換を打ち出した。また医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しに関する大統領令にも署名した。
・解説―米、TPP離脱表明、日本通商戦略見直し、翻意へ有効策乏しく
22日朝刊
・社説―「米国第一」を世界に拡散させるな

『共同通信』
21日配信
・見出しー米新政権、「米国第一」主義を宣言
・リードー昨年11月の米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏(70)20日(日本時間21日未明)首都ワシントンの連邦議会議事堂前で宣誓し、第45代大統領に就任した。共和党政権は8年ぶり。トランプ氏は、演説で「米国第一」主義を宣言し、雇用創出などを通して「米国を再び誇り高く、安全で医大な国にする」と強調。国民に結束を促し、米国の再建を誓った。

『NHK』
21日放送
・見出しートランプ新大統領が就任「米第一主義」掲げる
・リードーアメリカの第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任しました。トランプ新大統領は就任演説でアメリカ第一主義を掲げ、アメリカの国益を最優先にする姿勢を鮮明にしました。


・外国のメディアの報道

アメリカ

『The New York Times』紙は、”Donald Trump Is Sworn In as President, Capping His Swift Ascent”(ドナルド・トランプ氏大統領に就任、スピード出世)という見出しで、”Donald John Trump was inaugurated as the 45th president of the United States on Friday, ushering in a new era that he vowed would shatter the established order and reverse a national decline that he called “this American carnage.” In a ceremony that capped a remarkable rise to power, Mr. Trump presented himself as the leader of a populist uprising to restore lost greatness. He outlined a dark vision of an America afflicted by “the ravages” of economic dislocation and foreign exploitation, requiring his can-do approach to turn around”(ドナルド・トランプ氏は、アメリカの第45代大統領に就任した。新しい時代を先導し、確立された秩序を破壊し、彼が“このアメリカの大虐殺”と呼んでいるアメリカの衰退をひっくり返すことを誓った。トランプ氏は、権力への顕著な出世を表わした式典で、失われた偉大さを取り戻すために国民勃興のリーダーになるといった。彼は、経済の流出や外国の搾取といった”破壊“のよってもたらされたアメリカの暗いビジョンを概観し、それらをひっくり返す大胆なアプローチを求めた)と報じました。

『The Wall Street Journal』紙は、”Donald Trump Strikes Nationalistic Tone in Inaugural Speech – Historians and speechwriters call the address one of the most ominous entrances ever, reinforcing familiar campaign themes of American decline –“(ドナルド・トランプ氏、就任演説で、ナショナリスティックな調子を打ち出す - 歴史家やスピーチライターは、その就任演説をこれまでで最も不吉なスタートの一つだとし、アメリカの衰退という大統領選挙運動期間中の慣れ親しんできたテーマを強化したものだったといっている)という見出しで、”President Donald Trump delivered what historians and speechwriters said was one of the most inaugural addresses ever, reinforcing familiar campaign themes of American decline while positioning himself as the protector of the country’s “forgotten men and women”(トランプ大統領は、歴史家やスピーチライターたちがこれまでで最も不吉な就任演説の1つだといっている就任演説を行い、アメリカの衰退という大統領選挙運動期間中慣れ親しんだテーマを強化し、自らをアメリカの“忘れられた男女”の擁護者だと位置づけた)と報じました。

863. トランプ大統領、TPP離脱の大統領令に署名―2017.1.23

アメリカのトランプ大統領は、23日、アメリカがTPP=環太平洋経済連携協定から離脱する大統領令に署名し、TPPは発効が不可能になりました。
大統領令は、貿易交渉を担当するUSTR=アメリカ通商代表部に対して、「TPPの署名国から離脱し、TPP交渉からアメリカが永久に離脱するよう指示する」と明記しています。
トランプ大統領は、「TPP離脱は、アメリカの労働者にとってよいことだ」と述べました。
TPP協定をめぐっては、昨年2月、日本やアメリカなど12か国が署名し、各国で、国内の承認手続きが進められており、日本は、承認手続きを終え、批准しています。しかし、TPPの発効には、アメリカの承認が欠かせない仕組みになっていて、アメリカの離脱の決定によって、TPP協定の発効は不可能になりました。
トランプ大統領は、「私の政権の意図は、個別の国と直接1対1で将来の貿易交渉を進めることだ」と述べて、2国間協定を重視する姿勢を強調しています。

トランプ大統領は、同じ23日、大統領令の署名に先だって、アメリカの企業経営者と会談し、日本や中国は、それぞれの国内でアメリカの製品を販売するのを難しくさせていて、公平な貿易を行っていないと批判しました。
このうち日本については、「われわれが日本で自動車を販売する場合、日本は販売を難しくさせている。しかし、日本の数十万台の車が大きな船でアメリカに入ってくる。これは公平ではない。この問題は協議しなければならない」と述べ、2国間協議を通じて、日本に何らかの是正を求めることを明らかにしました。

・ニュースの用語解説

アメリカの大統領令
アメリカの大統領が、連邦議会の承認や立法を経ずに直接、連邦政府や軍に発令する命令のことで、法律と同じ効力を持ちます。一方で、連邦議会は、反対する法律を作ることで大統領令に対抗できるほか、最高裁判所も違憲判断を示すことができます。

・米メキシコ首脳会談中止―2017.1.26

アメリカのトランプ大統領は、25日、大統領選挙期間中から公約していたメキシコ国境への壁建設や不法移民対策を強化する大統領令に署名し、壁建設費用をメキシコが払うよう要求しました。そして、トランプ氏は、費用をメキシコ側が負担しなければ、31日に予定していた首脳会談を中止した方がよいと述べていました。
これに対して、メキシコ側が猛反発、、メキシコのベニャニエト大統領は、26日、予定していたトランプ大統領との首脳会談を中止するとアメリカ側に伝えました。

・トランプ大統領、テロ対策強化のため、難民受け入れ一時停止へ-2017.1.27

アメリカのトランプ大統領は、27日、テロ対策を強化するため、すべての国からの難民の受け入れについて一時的に中止する大統領令に署名しました。
大統領令では、すべての国から120日間、難民の受け入れを停止し、受け入れ審査について追加の措置を撮るよう命じています。
また、シリアからの難民の受け入れについては、トランプ大統領が審査の手続きに十分な変更が行われたと判断するまで停止するとしています。
また、大統領令では、シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの7か国の人たちを対象とした入国を一時的に停止する措置も含まれています。これらの国には、イスラム教徒が多く暮らしています。
この大統領令について、アメリカ国内だけでなく、世界各国から反発する声が上がっています。
アメリカのイェイツ司法長官代理が大統領令の合法性に異論を唱え、解任されたほか、ニューヨークやカリフォルニアなど15の州と首都ワシントンの司法長官が大統領令を「違憲で違法だ」と非難する連名の声明を発表、オバマ前大統領も非難の声明を発表、ワシントン、ニューヨークなどアメリカ各地で抗議行動が広がっています。
一方、国連のグテーレス事務総長は、記者会見し、トランプ大統領の大統領令を批判し、「テロを防ぐ効果的な方法ではない。速やかに撤回されるべきだ」と述べ、措置を解除するよう求めました。
また、イギリスのメイ首相、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領などヨーロッパ各国の首脳のほか、アラブ連盟、イランなどの外相なども一斉にこの大統領令を批判しています。

・トランプ大統領、日本の為替政策を批判、安倍首相、反論―2017.1.31~2.1

アメリカのトランプ大統領は、31日、アメリカの試薬会社の経営トップを集めた会合で、中国と日本の為替政策を批判し、「中国が何をしているか、そして、日本が何年も何をしてきたか見てみろ。かれらは、為替を操作して、通貨安に誘導している」と述べ、中国と日本を名指しして非難しました。
これについて、安倍首相は、1日の衆議院予算委員会で、「円安誘導という批判はあたらない」と反論しました。
安倍首相は、その中で、「リーマン・ショック以降、アメリカもわれわれがやったと政策と同じ政策をやり、経済を引き上げ、リーマン・ショックを乗り越えた」と指摘し、金融緩和策の目的は、2%の物価安定目標だとの認識を示しました。

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25. 時事問題の基礎入門講座(2017.1.14の講座のテキスト) [2017.1.14の講座のテキスト]

2017.1.14の「時事問題の基礎入門講座」のテキスト

(a) 日本の政治、外交、防衛

・韓国・プサン(釜山)の少女像をめぐって日韓対立―2017.1.6

韓国南部のプサン(釜山)の日本総領事館の前に、慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことをめぐって、日本と韓国が対立しています。
日本政府は、像の設置は「きわめて遺憾」だとして、韓国駐在大使を一時帰国させるなど対抗措置をとると発表し、一方韓国外務省は、日本の対抗措置を「強く遺憾」とする意向を伝えました。
菅官房長官は、6日、閣議の後の記者会見で、「2015年の日韓合意で、慰安婦問題が最終的で不可逆的に解決されることを確認している。にもかかわらず、少女像が設置されたことは、日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに、ウィーン条約に規定する領事機関の威厳等を侵害するもので、きわめて遺憾だ」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は、当面の措置として、韓国に駐在する長嶺大使と森本プサン(釜山)総領事の一時帰国、緊急時に通貨を融通しあう通貨スワップ協定の再開に向けた協議の中断、日韓ハイレベル経済協議の延期、それにプサン総領事館の職員によるプサン市関連行事への参加見合わせを発表しました。
これに対して、韓国のユン・ビョンセ(尹炳世)外相は、6日、日本の韓国駐在の長峰大使を呼び、日本の対抗措置に遺憾の意を伝えました。
そのうえで、両氏は、日韓合意の履行の重要性を確認し、日韓関係を発展させていくべきだという認識では一致したということです。
9日一時帰国した長嶺大使と森本総領事は、10日首相官邸を訪ね、安倍首相に状況報告を行いました。

一方、アメリカ政府は、日韓関係の悪化を憂慮し、6日バイデン副大統領が、安倍首相と韓国の大統領の権限代行をつとめるファン・ギョアン(黄教安)首相と個別に電話会談し、話し合いによる解決を促しました。


・ニュースの用語解説

2015年12月の慰安婦問題に関する日韓合意
日本政府は、慰安婦問題で責任を痛感しているとして、安倍首相が、おわびと反省の気持ちを表明し、元慰安婦を支援するために韓国政府が新たに設立する財団に、日本政府の予算で10億円を拠出し、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」ことを確認したものです。ソウルの日本大使館前の少女像については、韓国政府が、「適切に解決されるよう努力する」としています。
しかし、ソウルの少女像は、撤去されないままですし、プサン(釜山)の少女像もいったんは撤去されたものの、世論の猛反発を受けて、再設置されています。この背景には、パク・クネ(朴槿恵)大統領が現在汚職事件に関連して国会による弾劾決議で職務執行停止処分を受け、韓国の政治状況が不安定になっていることが挙げられ、与野党の中に、パク・クネ政権のおこなってきた内政・外交政策にきびしい目が向けられ、2015年の日韓合意についても反対する意見がでてきています。
こうしたことから、韓国の国内事情もあって、今後日韓関係は、さらに悪化していくことが予想されています。
なお、日本政府は、すでに10億円を韓国側に振り込み、元従軍慰安婦の7割が給付を受けていると報じられています。

・安倍首相、4か国訪問へー2017.1.12~17

安倍首相は、12日から17日までフィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムの4か国を訪問し、各国の首脳と会談を行っています。
安倍首相は、12日はフィリピンの首都マニラで、ドゥテルテ大統領と会談し、フィリピンのインフラ整備などを支援するため、今後5年間でODA=政府開発援助と民間投資のあわせて1兆円規模の官民支援をすると表明しました。
日本政府筋によりますと、フィリピンと中国が領有権を主張する南シナ海の問題をめぐり、連携を強化することで一致したということです。
安倍首相は、13日2番目の訪問国オーストラリアのシドニーに到着し、14日オーストラリアのターンブル首相と会談します。


(b) 日本の経済、貿易


(c) 日本の社会

・日本老年学会、高齢者の定義を75歳以上にと提言―2017.1.5

日本老年学会は、5日、現在65歳以上とされている高齢者の定義を75歳以上に引き上げることを提案しました。
日本老年学会は、2013年高齢者の定義を再検討するワーキンググループを立ち上げ、近年の高齢者の心身の健康に関するいろいろなデータを検討してきた結果、現在の高齢者では、10~20年前に比較して、加齢に伴う身体的機能の変化の出現が、5~10年遅延しており、若返りの現象がみられるとしています。特に65~74歳の高齢者においては、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数いると指摘しています。
そうしたことを踏まえて、日本老年学会は、75~89歳を高齢者、65~74歳を準高齢者、90歳以上を超高齢者と区分するよう提言しています。
提言は、健康な間は、仕事を続けたり、経験を生かしてボランティアに参加するなどして、活力のある社会をつくっていく必要性を強調しています。
その一方で、この提言を年金の支給年齢の引き上げなど、今の社会保障の枠組みに直接結び付けず、慎重に議論するよう求めています。

・ニュースの用語解説

高齢者の年齢に関する法律上の定義はありませんが、1956年国連の報告書が当時の欧米の平均寿命などをもとに、65歳以上を高齢と表現したことを受けて、日本でも事実上65歳以上の人を高齢者と
位置づけてきました。当時日本人の平均寿命は、男性が63.59歳、女性が67.54歳でしたが、その後、食生活の改善や医療の進歩などで延び続け、2015年は、男性が80.79歳、女性が87.05歳になりました。
日本老年学会というのは、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年精神医学会、日本老年看護学会の7つの学会から形成され、日本老年学会としてIAGG=International Association of Gerontology and Geriatrics国際老年学会に加盟しています。


(d) 国際情勢

・トランプ米次期大統領、初の記者会見―2017.1.11

アメリカのトランプ次期大統領は、11日、昨年11月の大統領選挙後初の記者会見をニューヨーク・マンハッタンのトランプ・タワーで行い、雇用、通商問題、サイバー攻撃などについての見解を表明しました。
トランプ氏は、最重要課題の雇用について、「最も多くの雇用を作り出す大統領になる」と述べるとともに、アメリカ国外の工場で商品を製造し、アメリカへ輸出を行う企業に対しては、「国境で高い関税を払うことになる」と警告しました。
トランプ氏は、また、貿易赤字の問題について、「アメリカの通商協定は完全な失敗だ。中国、日本、メキシコなどとの貿易赤字は数千億ドルにのぼっている」と述べ、新政権の下でアメリカはアメリカに有利になる対外交渉を進める意向を示唆しました。
トランプ氏は、ロシアがアメリカ大統領選挙にサイバー攻撃で介入したされる問題について、「ロシアがやったと思う」と述べ、ロシアの関与を認めました。
そして、アメリカの民主党陣営のハッキング対策の弱さにも触れ、アメリカのサイバー防衛力を引き上げる必要性を訴えました。
トランプ氏は、オバマ政権下で冷え込んだロシアとの関係について、「プーチン大統領が私に好意を持っているとしたら、それは財産だ」と述べ、ロシアとの関係改善を目指す姿勢を示しました。
一方、ロシア情報当局がトランプ氏の「不名誉な個人的、財政的情報」を入手しているとされる疑惑について報じたアメリカのメディアを激しく非難し、その記者の質問を受け付けませんでした。

・トランプ米次期大統領、トヨタ批判―2017.1.5

アメリカの次期大統領トランプ氏が、5日、ツィッターで、トヨタ自動車がメキシコで新工場を建てる計画を批判し、「トヨタ自動車がアメリカ向けカローラを生産するために、新工場をメキシコに建てると言っている。とんでもないことだ。アメリカに工場を建てるか、そうでなければ、高い関税を払え」と述べました。
トランプ氏は、大統領選挙期間中から、アメリカ国内の雇用を守るためだとして、メキシコ、カナダと結んでいるNAFTA=北米自由貿易協定を見直すべきだと主張しているほか、アメリカの企業が国外に移転した工場から輸入する製品には、35%の関税をかけると警告しています。
これについて、トヨタ自動車は、すぐ声明を発表し、「メキシコでの新工場建設で、アメリカでの生産台数や雇用が減ることではない」と述べ、アメリカでは10の工場と13万6000人の従業員を抱えていると指摘して、トランプ政権とも協力していく姿勢を占めてしています。

また、トヨタ自動車の豊田章男社長は、アメリカのデトロイトでの北米国際自動車ショーに9日登壇し、アメリカに今後5年で100億ドル(およそ1兆1500億円)を投資するとに述べました。
しかし、今のところ、トヨタ自動車としては、トランプ次期大統領に批判されたメキシコでの新工場の建設は撤回しない方針だといわれています。

・ニュースの用語解説

トランプ氏による“アメリカの雇用を守るため”の企業批判
NAFTA=北米自由貿易協定は、1994年アメリカ、カナダ、メキシコの3か国で締結された自由貿易協定で、特に、メキシコは、賃金が安いうえに、アメリカやカナダとの間で関税が撤廃されているため、アメリカ向けの自動車などの生産拠点になっています。トランプ氏は、大統領選挙期間中から、アメリカの雇用を奪っているとして、メキシコを標的に批判してきました。
トランプ氏は、昨年2月アメリカの空調大手のキャリアに対して、メキシコに工場を移転するなら、高い関税をかけると発言、キャリアは、11月に移転計画を事実上撤回しました。
昨年4月フォード・モーターは、メキシコの新工場建設計画を発表しましたが、トランプ氏は、ただちに、これを「まったくの恥知らずだ」と批判、フォード・モーターは、今年1月建設計画を撤回し、アメリカの工場に7億ドルを投じ、700人を新規雇用すると発表しました。
欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)は、8日、アメリカの工場に10億ドルを投資し、およそ2000人を新たに雇用すると発表しました。
トランプ氏は、また今年1月GM=ゼネラル・モーターズに対して、「メキシコでつくるクルマには高い関税をかける」と発言したほか、昨年12月には、ロッキード・マーチンに対しては、「最新鋭戦闘機が高すぎる、コストは制御不能だ」、ボーイングに対しては、「大統領専用機が高すぎる、発注はキャンセルだ」と述べ、値下げを要求しています。
トランプ氏のトヨタ自動車批判によって、メキシコに工場を抱えている日産自動車、マツダ、ホンダなどにも影響が及ぶ可能性があります。メキシコでの日系メーカーの2016年1月から11月期の生産台数は、およそ130万台で、そのうち半分がアメリカに輸出されているということです。

・米国務長官候補、尖閣諸島防衛で証言―2017.1.11

アメリカのトランプ次期大統領が国務長官に指名したアメリカ石油メジャー最大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン前CEO=最高経営責任者は、11日、アメリカ上院外交委員会の公聴会で、中国が領有権を主張している尖閣諸島について、日米安全保障条約の適用対象になるとの認識を示しました。
ティラーソン氏は、中国が尖閣諸島を武力攻撃で奪取しようとした場合のアメリカの防衛義務について問われたのに対して、「防衛の保証に関し、われわれは、日本と約束した合意に従って対応する」と述べました。

・米国防長官候補、同盟国の負担望むー2017.1.12

アメリカのトランプ次期大統領が国防長官に指名したジェームズ・マティス元海兵隊大将は、12日、アメリカ上院軍事委員会の公聴会で、ロシアや中国、テロ組織によって「世界秩序が戦後最大の危機にさらされている」と危機感を示し、同盟国との連携を強めていく考えを示しました。
マティス氏は、「アジア太平洋地域における軍事態勢を維持すべきだ」と述べるとともに、アメリカの軍事力によって守られる同盟国に、「応分の負担」をするよう求めました。

・オバマ米大統領、最後の演説―2017.1.10

アメリカのオバマ大統領は、10日、地元イリノイ州シカゴで最後の演説を行い、2期8年の任期を振り返り、キューバとの国交回復やイランの核合意などの歴史的成果を訴えました。
そして、2期8年の間に、リーマンショックで悪化した失業率の改善や事実上の国民皆保険を目指す医療保険制度改革、いわゆるオバマケアに取り組んだほか、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」などを実現したとして成果を強調しました。
オバマ大統領は、今後も多様性を尊重し、民主主義を機能させるよう呼びかけ、自らの実績に基づいて、さらなる前進を図るよう訴えました。

・中国の2016年の貿易総額3兆6000億ドル、2年連続で減少―2017.1.13

中国の昨年1年間の貿易総額は、3兆6000億ドル余りで、2年連続で前の年を下回り、中国経済が外需の面で弱さが続いていることを示しています。
中国の税関総署が13日発表した貿易統計によりますと、昨年1年間の輸出額は、2兆974億ドル余りで、ヨーロッパや東南アジア向けを中心に衣類や携帯電話、それに半導体の輸出が落ち込んだことなどから、前の年より7.7%減少しました。また、輸入額は、工作機械や液晶パネルの取引が振るわなかったことなどから、1兆5874億ドル余りと前の年より5.5%減少しました。
この結果、貿易総額は、3兆6849億ドルで前の年よりも6.8%減少し、2年連続で前の年を下回り、中国経済が外需の面で弱さが続いていることが浮き彫りになりました。


857. 安倍首相の真珠湾訪問のニュースに関する日本と外国の報道の比較
―2016.12.28

・日本のメディアの報道

『読売』
・見出しー「寛容と和解 世界へ」、首相 真珠湾慰霊で演説、オバマ氏と最後の会談
・リードー安倍首相とオバマ米大統領は27日午前(日本時間28日朝)、米ハワイ・・オアフ島の真珠湾(パールハーバー)を訪れ、75年前の旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。首相は、慰霊後の演説で「不戦の誓い」を表明し、激しく戦った日米両国を同盟国として結びつけたのは、「寛容の心がもたらした『和解の力』」だと訴えた。オバマ氏も演説し、首相による訪問を「歴史的行動だ」と称賛。両首脳は、それぞれ、世界の平和と安定のために日米同盟が果たしている役割なども強調した。
・解説―政治部長 前木理一郎 強固な同盟 継続願う
・社説―首相真珠湾訪問 日米は「和解の力」を実践せよ 同盟の国際秩序貢献が問われる

『朝日』
・見出しー真珠湾「和解の象徴」、首相が慰霊 大統領と演説、歴史認識は明示せず
・リードー安倍晋三首相は27日(日本時間28日)、オバマ米大統領とともに米ハワイの真珠湾を訪問した。米国への謝罪や歴史認識には触れず、日米同盟の深化を打ち出すことで、真珠湾を「和解の象徴」に位置づけようとした。来年1月のトランプ政権への移行を前に、日米同盟の重要性を改めて強調した。
・解説―視点 首相官邸取材キャップ・内田晃 アジア・憲法 終わらぬ「戦後」
・社説―真珠湾訪問 「戦後」は終わらない

『日本経済』
・見出しー真珠湾の和解 同盟深化、 首相、オバマ氏と慰霊、日米、歴史に区切り
・リードー安倍晋三首相は27日(日本時間28日)、オバマ米大統領とともに旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するアリゾナ記念館を訪れた。両首脳はその後にそろって演説し、日米が戦争を乗り越えて強固な同盟を築いた「和解の力」を強調。首相は不戦の誓いも新たにした。過去の歴史に区切りをつけ、トランプ次期大統領に深化した日米同盟を引き継ぐ狙いがある。
・解説―論説主幹 芹川洋一 揺らぐ価値 問い直す
・社説―「真珠湾の和解」を世界安定の礎に

『共同』通信
・見出しー日米首脳、米ハワイ真珠湾で慰霊、首相「和解の力」の意義訴え
・リードー安倍晋三首相は27日午前(日本時間28日朝)、米ハワイ・真珠湾のアリゾナ記念館をオバマ大統領と訪問した。75年前の旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者に献花し、慰霊。この後、近くの埠頭でそろって演説し、首相は太平洋戦争で戦火を交えた日米が歴史を克服し、同盟関係を築くに至った「和解の力」の意義をアピールした。「不戦の誓い」を堅持する一方、先の大戦への謝罪の表現は盛り込まなかった。オバマ氏は「戦争が残した傷は友情に変わった」と述べ、日米関係を称えた。

『NHK』
・見出しー安倍首相 所感発表 不戦の誓いと和解の意義強調
・リードーハワイを訪れている安倍総理大臣は、オバマ大統領とともに、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を追悼する施設を訪れ、献花し黙とうをささげました。このあと安倍総理大臣は所感を発表し、不戦の誓いを堅持していく決意を表明したうえで、日米の和解の意義を強調し、世界の平和と安定にアメリカと協力して取り組んでいく考えを示しました。
・見出しーオバマ大統領「総理の所感は和解の力示す歴史的行為」
・リードーアメリカのオバマ大統領は、日本時間の28日朝、ハワイの真珠湾で安倍総理大臣とともに、旧日本軍による攻撃の犠牲者を慰霊したあと、所感を述べ、「安倍総理大臣の所感は和解の力を示す歴史的な行為だ」と述べて日米同盟がアジア太平洋と世界の発展を推進してきたと強調しました。

外国のメディアの報道

『The New York Times』紙
・見出しーWithout Obama, Shinzo Abe’s Approach to U.S.-Japan Ties May Be Tested(オバマ大統領が退任した後、安倍首相の日米関係へのアプローチが試されるかもしれない)
・リードーSince becoming prime minister for the second time in 2012, Shinzo Abe has made it a centerpiece of his foreign policy to steer Japan closer to the United States.
Even as Washington has lost ground in the region, with China expanding its presence in the South China Sea and North Korea defying efforts to restrain its nuclear development, Mr. Abe has stood by the Obama administration, holding it close.
Yet as Mr. Abe visits Pearl Harbor on Tuesday with President Obama, in a symbolic capstone to the relationship between the two leaders, that approach may be tested more than ever. (安倍晋三氏が、2012年に2度目に首相になって以来、彼の外交政策の中心は、日本をアメリカにより近いところで運営することであった。中国が南シナ海で存在を拡大し、北朝鮮が核開発を自制する努力を拒否し、アメリカがアジア地域で立場がなくなった時でさえ、安倍首相は、オバマ政権に付き、緊密な関係を保っていた。両首脳の関係が象徴的に絶頂にある中で、安倍首相は、オバマ大統領と一緒に真珠湾を訪問したが、そうしたアプローチは、これからこれまで以上に試されることになるかもしれない)、

『CNN(=Cable News Network)』放送
・見出しーAbe, Obama affirm alliance in ceremony at Pearl Harbor(安倍首相、オバマ大統領、真珠湾の式典で同盟を確認)
・リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe made a historic visit to Pearl Harbor Tuesday, offering condolences to the thousands killed in the Japanese sneak attack 75 years ago. Abe’s visit comes seven months after President Barack Obama traveled to Hiroshima to pay his respects to the thousands who died there. The two leaders used the ceremony to affirm their nations’ alliance, with Obama calling for people to “resist the urge to turn inward,”
perhaps a reference to President-elect Donald Trump and calls around the globe for nations to reconsider their international dependencies.(日本の安倍首相は、歴史的な真珠湾訪問を行い、75年前の日本の奇襲攻撃で殺された何千人もの人たちに哀悼の意を捧げた。安倍首相の訪問は、オバマ大統領が、広島を訪れ、そこで亡くなった人たちに哀悼の意を捧げてから7か月後のことであった。両首脳は、その式典で、日米同盟を確認し、オバマ大統領は、人々に”内向きになろうとする欲望に抵抗する“よう呼び掛けた。これは、おそらくトランプ次期大統領の世界中に各国が国際的依存関係を再考するよう呼び掛けたことに言及したものとみられる)

中国『Xinhua(新華社)』通信(Washington発)
・見出しーAbe offers no apology during Pearl Harbor visit(安倍首相、真珠湾訪問中、謝罪せず)
・リードーHawkish Japanese Prime Minister Shinzo Abe on Tuesday offered no apology during his visit to Pearl Harbor for a sneak attack in World War II that claimed more than 2,400 American lives.
Though the Japanese government billed Abe’s visit as a tour of reconciliation, the no-apology tour also served no more than a political show from Abe that aims to strengthen Japanese-U.S. alliance amid uncertainty in the upcoming Donald Trump administration.(タカ派の日本の安倍首相は、真珠湾を訪問したが、2,400人以上のアメリカ人の命を奪った奇襲攻撃について、謝罪をしなかった。日本政府は、安倍首相の訪問は和解の旅だとしているが、まもなく発足するトランプ政権が不確実性がある中で、日米同盟を強化する目的の彼の政治的ショー以外の何ものでもない)

韓国の『KBS(=Korean Broadcasting System)』放送
見出しーJapanese PM Offers Condolences at Pearl Harbor (日本の首相、真珠湾で哀悼の意を表わす)
リードーJapanese Prime Minister Shinzo Abe visited Pearl Harbor and paid tribute to the victims of Japan’s surprise attack during World War II. The visit has drawn criticism in Asia as calls mount for the Japanese leader to
issue a sincere apology for its wartime crimes including the sexual enslavement of women. (日本の安倍首相は、真珠湾を訪問し、第2次世界大戦中の日本の奇襲攻撃の犠牲者に哀悼の意を表わした。この訪問は、アジアにおいては、批判を呼び起こし、日本の指導者(安倍首相)が、女性を性の奴隷化したことを含む、戦争犯罪について心から謝罪をしてほしいという声が起こっている)

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24.時事問題の基礎入門講座(2016.12.10の講座のテキスト) [2016.12.10の講座のテキスト]

2016.12.10の時事問題の基礎入門講座のテキスト

(a) 日本の政治、外交、防衛

・安倍首相、真珠湾訪問へー2016.12.5

安倍首相は、今月26日と27日ハワイを訪れ、オバマ大統領とともに真珠湾を訪問し、太平洋戦争の発端となった真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊することになりました。
これは、安倍首相が、5日首相官邸で記者団に明らかにしてもので、日本の現職の首相が、真珠湾を訪れるのは、初めてのことです。
安倍首相は、「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないという未来に向けた決意を示したい。同時に日米の和解の価値を発信する機会にもしたい」と述べました。
安倍首相としては、今年5月のオバマ大統領の広島訪問に続いて、自らが真珠湾を訪問することで、日米両国の信頼関係を確かなものにしたい考えです。
さらに、アメリカのトランプ次期大統領が、大統領選挙の期間中、日本を含む同盟国との関係を見直すことを示唆する発言をしてきたことも念頭に置いて、オバマ大統領との首脳会談で、地域の平和と安定に貢献する日米同盟の重要性を確認することにしています。
一方、ホワイトハウスは、5日、安倍首相の真珠湾訪問を歓迎する声明を発表し、「2人の指導者のハワイ訪問は、過去の敵国を共通の利益と価値の共有によって、最も親密な同盟関係に転換させる和解の力を示すことになる」と述べました。

・ニュースの用語解説

真珠湾攻撃
1941年12月7日(日本時間8日)、山本五十六・連合艦隊司令長官指揮下の日本海軍機動部隊が空母6隻、航空機およそ350機などでアメリカ・ハワイ・真珠湾のアメリカ太平洋艦隊に奇襲攻撃をかけ、太平洋戦争が始まりました。アメリカ側は、戦艦アリゾナなど21隻が沈没し、200機近い航空機が破壊され、およそ2400人の死者を出しました。

この4年間の日米関係
2012年12月  第2次安倍政権発足
    1月  オバマ米大統領就任
    2月  安倍首相、訪米、ワシントンでオバマ大統領と初の首脳会談
   12月  安倍首相、靖国神社参拝、在日アメリカ大使館、「失望している」
と異例の声明 
2014年4月  オバマ大統領来日、安倍首相と首脳会談
2015年4月  安倍首相が訪米、ワシントンで首脳会談、安倍首相、アメリカ議会の上下両院合同会議で演説
    8月  安倍内閣が戦後70年の首相談話を閣議決定、「痛切な反省」「心からのお詫び」などの文言を盛り込む
2016年5月  G7サミット=主要7か国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催
        サミット終了後、オバマ大統領が広島訪問
    11月 アメリカ大統領選挙で、共和党のトランプ候補勝つ
        安倍首相、ニューヨーク訪問し。トランプ次期大統領と主要
首脳としては初めて会談

・TPPと関連法承認・成立―2016.12.9

TPP=環太平洋経済連携協定は、9日の参議院本会議で可決、承認され、TPP関連法も可決、成立しました。
TPP協定は、日本やアメリカなどアジア太平洋地域の12か国が参加する広域的な経済連携協定で、発効には、域内の実質GDP=国内総生産の合計額の85%以上を占める6か国以上の承認が条件で、日本とアメリカがそろって承認することが必要になっています。
国会の承認を受けて、安倍首相は、早期批准を引き続きアメリカに働きかけていく方針だと言明しています。
しかし、アメリカのトランプ次期大統領は、TPP協定でアメリカ国内の産業が不利益を受けると主張し、1月20日の就任早々TPP協定から離脱するといっています。そして、代わりに2国間交渉に軸足を移す意向を示しています。
こうした情勢から、TPP協定の発効は難しいという見方が一般的です。

・ニュースの用語解説

TPP協定は、日本やアメリカなど参加12か国は、2月協定文書に署名し、協定の発効に向けて、それぞれの国が国内手続きを進めることになりました。
TPP協定には、参加国は、95%から100%の品目の関税を撤廃するほか、ビジネスや投資に規制も緩和することになっています。日本は、日本が輸入する農林水産品や工業製品など9321品目のうち、95%に当たる8862品目の関税を撤廃することになっています。
TPPの関連法案は、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめたもので、関税が下がって輸入が急増した時の緊急輸入制限(セーフガード)の手続きを定める関税暫定措置法の改正などが盛り込まれています。


(b) 日本の経済、貿易

・与党、来年度の税制改正大綱を正式決定―2016.12.8

自民党と公明党の与党は、8日、税の仕組みを見直す来年度の税制改正大綱を正式に決めました。
それによりますと、38万円の控除が受けられる所得税の配偶者控除を見直し、2018年1月から妻の年収要件を緩和し、年収103万円以下を150万円以下に引き上げる、150万円以上201万円以下では控除額を段階的に減らす、夫の年収が1120万円を超えると控除額を段階的に減らし、1220万円を超えると控除が受けられなくなります。
酒税については、2020年10月から2026年10月にかけて税額を3段階かけて統一する、ビールの税額を減らし、一方第三のビールや発泡酒は段階的に上げていく、日本酒を減税し、一方ワインの税額を引き上げ、税額の統一をはかることにしています。
高層マンションの固定資産税見直しでは、2018年度から高さ60メートルを超える新築マンションの固定資産税の税額を1階に比べて、40階は10%、50階は12.6%などと高くなるよう見直しています。
燃費が良い車の自動車重量税を安くするエコカー減税を2017年度から2年間延長する、一方で、販売される新車の9割程度が減税対象となっている今の燃費基準を厳しくして、2017年度の1年間は8割程度、2018年度からは7割程度に絞り込むとしています。

・ニュースの用語解説

・税と税制改正
国民が国に治める税金には様々な種類があり、今年度の税収は55兆円を超え得る見通しです。最も多いのは、個人が収める所得税で、全体のおよそ3割を占めています。モノやサービスを買う際にかかる消費税と企業が納める法人税の3税でおよそ8割を占め、「基幹税」を呼ばれています。個別の品目にかかる税としては、酒税、たばこ税、揮発油税などがあります。
税収は、大幅に不足しているのが現状です。今年度予算は、一般会計で96.7兆円で、3分の1強を国の借金にあたる国債に頼っています。消費税率10%への引き上げは、消費低迷などを理由に再三延期され、現在2019年10月から実施することになっています。
国と地方税のあり方は毎年見直されています。安倍政権では、与党である自民党と公明党が、各省庁や経済団体などからの要望を受け付け、9月頃から議論を始め、年末をめどに翌年度以降に見直す税制の内容を「税制改正大綱」としてまとめます。政府は、与党の決定に基づいて所得税法や法人税法などの改正作業に入り、年明けの通常国会に税制改正関連法案として国会に提出します。

・ソフトバンクの孫社長、トランプ氏と会談―2016.12.8

ソフトバンクグループの孫正義社長は、6日ニューヨークで、アメリカの次期大統領のトランプ氏と会談し、アメリカで今後4年間で500億ドル、日本円にして5兆7000億円規模の投資をすると伝えました。孫氏は、この投資は、IT関連の有望なベンチャー企業などが対象で、5万人の雇用を生み出すと述べています。
投資は、ソフトバンクがサウジアラビアの政府系ファンドと共同で作ると発表した「10兆円ファンド」を活用するということです。


(c) 日本の社会

・最高裁、厚木基地訴訟で自衛隊機飛行差し止め認めずー2016.12.8

アメリカ軍と自衛隊が共同で使用する神奈川県にある厚木基地の周辺の住民が騒音の被害を訴えた裁判で、最高裁判所は、8日、2審で認められた自衛隊機の飛行差し止めと将来の被害の賠償を認めない判決を言い渡しました。一方、過去の被害に対するおよそ82億円の賠償は確定しました。
最高裁は、判決で、「自衛隊機の運航には高度の公共性や公益性があり、住民の被害は軽視できないものの、飛行の自主規制や防音工事への助成が行われていることなどを総合的に考慮すれば、自衛隊機の運航が著しく妥当性を欠くと認めるのは困難だ」として、飛行の差し止めは認めませんでした。
また、騒音被害については、将来の被害の分まで賠償を認めるのは、過去の判例に違反するとして、2審で認められた賠償のうち、将来の被害の分が取り消され、2審が終結した時までの分としておよそ82億円の賠償が確定しました。この分については、国がすでに支払っています、
今回の訴訟では、住民は、アメリカ軍機の飛行差し止めも求めましたが、最高裁は、審理の対象とせず、訴えを退けた二審の判決が確定しました。
厚木基地周辺の住民およそ7000人が原告となった今回の訴訟では、一審の判決が夜間・早朝の午後10時から午前6時までの自衛隊機の飛行差し止めを初めて認め、二審も「騒音被害は深刻」だとして差し止めを維持していました。
今回の判決は、5人の裁判官全員一致の意見で、各地の同様の基地騒音訴訟にも影響するものとみられています。

・ニュースの用語解説

アメリカ軍機や自衛隊機の騒音被害をめぐっては、1975年に石川県の小松基地の周辺住民が訴訟を起こして以来、東京の横田基地、沖縄県の嘉手納基地、同県の普天間基地、山口県の岩国基地、そして今回の神奈川県の厚木基地で集団訴訟が相次いでいます。いずれも過去分の損害賠償は認められていますが、飛行差し止め命令が確定した判決は一つもありません。
今回の訴訟では、住民側が求めたアメリカ軍機の飛行差し止めについては、最高裁は、審理の対象とせず、訴えを退けた二審の判決が確定しました。
アメリカ軍機をめぐっては、日米両国は、午後10時から午前6時までの飛行を制限することで合意していますが、「アメリカ軍の運用上必要なもの」は、例外とされ、実態としては夜間飛行が繰り返されてきています。
現在日米両政府は、2017年ころ厚木基地の艦載機59機を岩国基地に移す計画を進めています。

・宇宙輸送船「こうのとり」打ち上げ成功―2016.12.9

国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の宇宙輸送船「こうのとり」を乗せたH2Bロケットが鹿児島県の種子島宇宙センターから、打ち上げられ、高度およそ290キロで予定の軌道に乗せ、打ち上げは成功しました。
「こうのとり」は、4日かけて高度400キロまで上昇を続け、国際宇宙ステーションとドッキングする予定です。
「こうのとり」は、およそ5.9キロの物資を搭載し、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士のための飲料水600リットルや食料品、衣料、さらに国際宇宙ステーションの新たな主電源に採用された日本製のリチウムイオン電池を送り届けるほか、深刻化する宇宙ごみを取り除くために、日本が開発中の新たな技術の実験も行われます。

・ユネスコの無形文化遺産に「山・鉾・屋台行事」-2016.12.1

ユネスコ=国連教育科学文化機関は、11月30日、日本が無形文化遺産に提案していた「山・鉾・屋台行事」を登録することを決定しました。
これは、エチオピアの首都アジスアベバで開かれたユネスコの政府間委員会で決定されたもので、日本の東北から九州まで18府県の33行事です。
33の行事は、地域社会の安泰や災厄よけを願って、文化の粋を凝らした飾りつけが特徴で「山・鉾・屋台行事」を巡行させる祭礼です。
無形文化遺産は、芸能や祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などが対象です。これまで世界で、すでに336件が登録され、日本からは歌舞伎や能楽、和紙、和食などが登録されており、今回の登録で、21件になります。

・ニュースの用語解説

世界遺産(World Heritage)は、1972年のユネスコ=国連教育科学文化機関の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて世界遺産リストに登録された世界の文化遺産と自然遺産、および無形文化遺産の総称です。
今回無形文化遺産に登録が決まった33行事の中には、福岡県の「博多祇園山笠行事」、岐阜県の「高山祭の屋台行事」、青森県の「八戸三社大祭の山車行事」などがあります。


(d) 国際情勢

・韓国のパク・クネ大統領の弾劾訴追案可決―2016.12.9

韓国の国会は、9日の本会議で、パク・クネ大統領に対する弾劾訴追案を賛成多数で可決しました。
パク大統領の職務権限は、即日停止され、ファン・ギョアン首相が職務を代行することになりました。
韓国の検察は、パク大統領の長年の友人であるチェ・スンシル被告や大統領の前秘書官らを大統領と共謀して財閥企業などに資金拠出を強要したなどとして起訴しました。これを受けて、野党3党は、パク大統領の行為は、憲法や法律に違反したとして、弾劾訴追案を国会に提出していました。
訴追案は、国会議員300人の3分の2の200人以上の賛成で可決されますが、賛成は234票でした。野党3党と無所属議員は会わせて172人で、与党の128人のうち半数近い62人が賛成したことになります。
こうした国会が弾劾に動いた背景には、パク大統領弾劾要求の大規模なデモが毎週繰り返されてきたことが挙げられます。
今後は、」憲法裁判所が弾劾するかどうかを180日以内に決めることになります。

一方、日本政府が19日と20日で調整していた日中韓首脳会談の東京開催が難しくなってきました。日中韓首脳会談は、3か国が毎年持ち回りで議長国になって開催しています。今年は日本が議長国ですが、韓国の情勢から年内開催は可能性がなくなったとみられています。

・ニュースの用語解説

韓国の憲法裁判所は、最高裁判所と同格に位置づけられています。弾劾審判だけでなく、法律の違憲審判、政党解散審判などを行います。裁判官は9人で、判事、検事、弁護士などで一定の基準を満たした人から、大統領と国会、最高裁判所が3人ずつ指名します。弾劾決定には6人以上の賛成が必要です。憲法裁判所の判断が最終決定になります。
しかし、180日の審理期間中に9人の裁判官のうち2人が任期を終えることになっており、残り7人のうち6人の賛成が必要になります。こうしたことから、憲法裁判所の判断が注目されます。

・欧州情勢(2016年6月~12月)

欧州の反エスタブリッシュメントの勢力=反既成政治勢力は、6月のイギリスの国民投票におけるEU=欧州連合離脱決定や11月のアメリカ大統領選挙におけるトランプ氏の勝利を受けて、勢いづいています。
6月イギリスでは、EU=欧州連合からの離脱か残留かを問う国民投票が行われ、ジョンソン前ロンドン市長らの離脱派が勝ち、残留を主張していたキャメロン首相は退陣に追い込まれました。
11月アメリカの大統領選挙では、政治経歴がない、反エスタブリッシュメントを強く打ち出していた共和党のトランプ氏が国務長官や上院議員の経験のある民主党のクリントン氏を破って当選しました。トランプ氏は、選挙期間中、民主党だけでなく、共和党の首脳部も非難していました。
イギリスの場合もアメリカの場合も、ポピュリズム(大衆迎合主義)の旋風が吹き荒れ、既成政治を破壊したといえるでしょう。

12月4日、イタリアで国民投票が、オーストリアで大統領選挙が行われました。
イタリアの国民投票は、レンツィ首相が提案した議会上院の権限を縮小し、原則として下院の承認だけで法案を可決できるようにして、政府の権限強化を目指す憲法改正をめぐるもので、レンツィ首相の信任投票だともいわれていました。
開票の結果は、反対が59.11%、賛成が40.89%で、反対が賛成を大きく上回りました。レンツィ首相は、辞意を表明しました。
レンツィ首相は、憲法改正をてこに経済をはじめとするさらなる改革を進めようとしていました。しかし、労働市場の改革や金融機関の救済を優先するレンツィ首相に対して、国民の反発が強まっていました。特に新興政党の「五つ星運動」が既存の政治に対する国民の不満の受け皿になり、今後さらに影響力を強める可能性がでてきました。
オーストリアの大統領選挙では、「緑の党」の元党首のファンダーベレン氏が、右翼・自由党のホファー氏を破って当選しました。得票率は、ファンダーベレン氏が51.68%、ホファー氏が48.32%で、移民規制を掲げ、EUの統合深化に反対する右翼ポピュリストの大統領が誕生するか注目されていましたが、リベラル派が国際的な協議を訴えて振り切った形になりました。しかし、敗れたとはいえ、右翼・自由党の基盤はむしろ強まったという見方が強いといわれています。最新の世論調査では、自由党は、大連立を組む2大政党を大きく引き離してトップを走り続けているからです。

今後の主な政治日程は、3月のオランダの議会選挙、4~5月のフランスの大統領選挙、9月のドイツの議会選挙とメルケル首相の4選が可能かどうかです。
3月行われるオランダの下院選挙(定数150)で注目されているのは、反イスラムを掲げる極右・自由党で、ウィルダース党首は、ヘイトスピーチ(差別的な憎悪表現)を行ったとして公判が行われていますが、それがかえって支持拡大につながっており、最新の世論調査によりますと、自由党が、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党を抜いて第1党になることが確実になっているということです。
フランスの大統領選挙は、第1回目の投票が4月23日行われ、過半数を獲得した候補がいない場合は、第2回目の投票が5月7日に行われることになっていますが、これまではおおむね過半数を獲得する候補がでなかったため、上位2人で決選投票が行われています。
与党の社会党は、パルス元首相、モントブール元経済相が出馬の意向を表明していますが、いずれも苦戦を強いられており、いまのところ、最大野党共和党の中道右派フィヨン元首相と右翼・国民戦線(FN)のルペン党首が決戦に進むものとみられています。
ドイツでは、9月に連邦議会選挙が行われますが、与党キリスト民主同盟(CDU)の党首であるメルケル首相が4期目に再選されるかどうかが注目されています。
キリスト教民主同盟は、西部エッセンで開いていた党大会で12月6日メルケル首相が代議員の89.5%の支持を集め党首に再選され、連邦議会選挙で勝利を収め、4期目をめざすことになりました。
メルケル首相が率いる中道右派のキリスト教民主同盟は、現在連邦議会(630議席)で第1党であり、姉妹政党キリスト教社会同盟と合わせて310議席を占め、第2党の社会民主党(193議席)と大連立を組んでいます。
しかし、中東などからの難民を積極的に受け入れる政策を進めてきたメルケル首相に対しては難民の過剰な流入を招いたとして国民の批判が高まっていて、難民の受け入れに反対しEU=欧州連合に懐疑的な新興政党「ドイツのための選択肢」が支持をのばしているのが注目されてます。

・ニュースの用語解説

EU=欧州連合加盟国28か国とEURO加盟国19か国(国名の前に*)

*ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、*ドイツ、*エストニア、*アイルランド、*ギリシャ、*スペイン、*フランス、クロアチア、*イタリア、*キプロス、*ラトビア、*リトアニア、*ルクセンブルク、ハンガリー、*マルタ、*オランダ、*オーストリア、ポーランド、*ポルトガル、ルーマニア、*スロヴェニア、*スロヴァキア、*フィンランド、スウェーデン、英国
以上 EU駐日代表部のHPによる

・国際学力調査PISAの結果公表―2016.12.6

OECD=経済協力開発機構は、6日、72の国と地域の15歳合わせておよそ54万人を対象に2015年に実施した「PISA=国際学習到達度調査」の結果を公表しました。
調査は、「科学的応用力」、「読解力」、「数学的応用力」の3つの分野で行われ、シンガポールがいずれの分野でもトップに立ちました。
日本は、「科学的応用力」で2位、「数学的応用力」で5位、「読解力」では8位でした。
文部科学省は、「読解力」の調査結果について、「読書量の減少などで、長文に接する機会が減ったことが原因の可能性がある」と分析し、来年度から文章を読む学習の充実や語彙力の強化などの対策に乗り出すことにしています。

・ニュースの用語解説

国際的な学力調査には、PISAとTIMSSがあります。
PISA=Programme for International Student Assessmentは、「学習到達度調査」のことで、、OECD=Organization for Economic Cooperation and Development 経済協力開発機構(本部 パリ)が、2000年から3年に1度行っている国際的な学力調査のことです。15歳を対象に読解力、数学的応用力、科学的応用力の3分野で実施しています。
今回の調査結果で、1位から10位までの順位は以下の通りです。
「数学的応用力」-シンガポール、香港、マカオ、台湾、日本、北京・上海・江蘇・広東、韓国、スイス、エストニア、カナダ
「読解力」-シンガポール、香港、カナダ、フィンランド、アイルランド、エストニア、韓国、日本、ノルウェー、ニュージーランド
「科学的応用力」-シンガポール、日本、エストニア、台湾、フィンランド、マカオ、カナダ、ベトナム、香港、北京・上海・江蘇・広東
TIMSS= Trends in International Mathematics and Science Study は、国際数学・理科教育調査のことで、IEA=International Association for the Evaluation of Educational Achievement 国際教育到達度評価学会(非営利の国際学術研究団体で、本部は、オランダのアムステルダム)が、1964年から開始し、1995年から4年に1度調査を行い、日本では小学校4年生と中学校2年生が対象、分野は、算数・数学、理科です。
さる11月29日公表されたTIMSSの結果でも、シンガポールが4分野でトップでした。これは、小学校が50の国と地域の27万人、中学校が40の国と地域の25万人が参加、小学校の算数、中学校の数学、小学校の理科、中学校の理科の4分野で行われ、シンガポールが4分野でいずれもトップ、日本は、小学校の算数と中学校の数学でいずれも5位、小学校の理科で3位、中学校の理科で2位でした。

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23.時事問題の基礎入門講座(2016.11.12の講座のテキスト) [2016.11.12の講座のテキスト]

2016.11.12の講座のテキスト

(a) 日本の政治、外交、防衛

・日印首脳会談、日印原子力協定署名(2016.11.11)

安倍首相は、11日、日本を訪れているインドのモディ首相と会談し、この後、日本の原子力関連技術のインドへの輸出を可能にする原子力協定に署名しました。
協定は、平和利用の目的に限って、日本から原子力関連技術などをインドに輸出できるようにするもので、あわせて核物質や原子力設備などに関する情報も交換することができます。
日本が、原子力の平和利用を定めたNPT=核拡散防止条約を締結していない国と原子力協定を締結するのは初めてです。

ニュース用語の解説

今回の日印原子力協定締結の背景には、高い経済成長が続き、深刻な電力不足を原子力による発電で賄いたいインド側と日本企業の海外への原発輸出を後押ししたい日本側の思惑の一致があるとみられるほか、日本として中国を念頭にインドとの協力関係の強化を図りたい安全保障上のねらいがあるものとみられています。
しかし、過去に核実験を行い、核兵器を保有しているとみられているインドに対して、唯一の被爆国である日本が、原子力分野での協力を進めることには、被爆地・広島、長崎を中心に国内には根強い反対があり、野党からも批判の声がでており、政府としては、インドが2008年に出した「核実験を凍結する」という内容の声明を順守するよう求めています。

・日本、パリ協定を締結―2016.11.8

日本が、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を締結しました。
これは、「パリ協定」の承認案が、8日、衆議院本会議で可決され、参議院でもすでに可決されていることから、協定の締結に必要な国内手続きを完了し、関係文書を国連に提出したためです。
「パリ協定」は、アメリカ、中国、ヨーロッパの国々などが締結したため、予想より大幅に早く11月4日に発効し、7日現在100を超える国と地域が締結しています。
COP22=第22回国連気候変動締約国会議は、7日からモロッコのマラケシュで始まっていますが、日本は、10月19日までの期限内に締結できなかったため、COP22の「パリ協定」第1回締約国会議には、正式参加はできず、議決権のないオブザーバーとして参加します。

ニュースの用語解説

「パリ協定」は、2020年から始まる地球温暖化対策国際的な枠組みで、昨年12月世界190か国以上が参加して、パリ郊外で開かれたCOP21=第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議で採択されたものです。2005年に発効した京都議定書に続く地球温暖化対策の国際合意で、先進国に加え、新興国、発展途上国を含む初めての枠組みです。
「パリ協定」は、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、今世紀後半には実質的にゼロにすることを目指していて、すべての国がそれぞれ5年ごとに削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられています。
協定では、締約国が55か国以上になり、それらの国の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると30日後に発効すると定めていますが、10月5日にこの2つの条件が満たされ、11月4日に発効したものです。

(b)日本の経済、貿易

(c)日本の社会

・福岡市の博多駅前で大規模陥没事故―2-16.11.9

8日福岡市の博多駅前で大規模な陥没事故が起こった現場では、、福岡市は、穴を埋め戻し、影響を受けた水道などのライフラインの復旧工事を加速させています。
8日午前5時すぎ、福岡市の博多駅前の道路が縦横およそ30メートルにわたって大規模に陥落し、付近の4つのビルに避難勧告が出たほか、一部で断水や停電があるなどライフラインに影響がでました。
陥没は、市営地下鉄の延伸工事が原因とみられ、掘り進めていた岩盤の上部が少しずつ崩れ地下水があふれ出し、急激に陥没したということです。
福岡市は、夜を徹してセメントなどをまぜた特殊な土砂を投入し、穴を埋め戻す作業を続けています。
福岡市では、14日までには、陥没した箇所を埋め戻し、現場の通行を再開したいとしています。
この事故で、現場近くの停電したビルの中にいた70代の女性が階段で足を踏み外し、足に軽いけがをし、病院に運ばれたということです。

ニュースの用語解説

道路の陥没事故は、全国各地で起きていますが、福岡市営地下鉄の工事では、過去にも陥没事故が2件発生しています。2000年6月福岡市中央区で道路が幅約5メートル、長さ約10メートル、深さ7~8メートルにわたって陥没し、2014年10月には今回の現場から約400メートル西で車道の幅・長さ各約3メートルにわたって約3メートル陥没しました。
今回の事故で、国土交通省は、事故原因の調査に乗り出しています。


(d) 国際情勢

・アメリカの大統領選挙でトランプ氏勝利―2016.11.9

アメリカの次期大統領に共和党のトランプ氏が選ばれました。
アメリカの大統領選挙は、8日全米で投開票が行われ、過激な発言で物議をかもしてきた共和党のドナルド・トランプ氏が、優勢を伝えられていた民主党のヒラリー・クリントン氏を破って当選しました。
トランプ氏は、70歳、実業家で不動産王と呼ばれており、公職や軍幹部の経験がない「アウトサイダー」がアメリカの大統領になるのは、初めてで、史上最高齢の大統領になります。また、これによって、共和党が、民主党から政権を8年ぶりに奪還することになります。トランプ氏は、来年1月20日に第45代アメリカ大統領に就任することになっています。
トランプ氏は、8日ニューヨークで勝利宣言し、「歴史的な勝利だ。私は、全ての国民の大統領になる」と述べ、国民の結束を呼びかけました。そして、「アメリカの国益が常に最優先だが、どの国とも公平に付き合うと国際社会に伝えたい」と表明しました。また、「アメリカン・ドリームを復活させる。経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」と強調しました。
一方、敗北したクリントン氏は、一夜あけた9日、ニューヨークで演説し、「選挙で敗れれば悲しいが、われわれは、1つのチームであることを忘れてはならない」と述べ、選挙で分断された国が融和に向かうことに希望を表明しました。

10日、トランプ氏は、オバマ大統領の招きでホワイトハウスを訪れ、外交、内政の重要事項について話し合いました。これから2か月間政権移行について円滑に進めることで意見が一致したということです。トランプ氏は、また、連邦議会を訪れ、上下両院議長とも会談しました。
一方、トランプ氏の大統領就任に反対するデモが、連日ニューヨーク、ロスアンゼルスなど全米各地で行われています。
大統領選挙と同時に行われた議会の選挙で、共和党が上下両院で過半数を維持しました。共和党がホワイトハウスと上下両院の支配を取り戻すのは、ブッシュ政権以来、10年ぶりのことです。
ロシアのプーチン大統領は、トランプ氏の勝利を祝う電報をおくり、米ロ関係を現在の危機的な状況から抜け出させるとともに、直面する国際問題の解決や世界規模の安全保障上の懸念に対する効果的な対策を見出すため、互いに協力していくことに期待を示しました。
中国の習近平国家主席は、トランプ氏に祝意を示すメッセージを送り、「私は、米中関係を非常に重視しており、衝突も対抗もせず、ウィンウィンの原則の下、あなたとともに両国の協力を進めていくことを期待している」と述べ、米中関係の安定が重要だという認識を強調しました。
安倍首相は、トランプ氏に宛てた祝辞の中で、「日米両国は、普遍的な価値の絆で固く結ばれたゆるぎない同盟国だ」として、「トランプ氏と手を携えて、世界の直面する諸課題に取り組んでいきたい」と述べました。
安倍首相は、17日ニューヨークでトランプ氏と会談する予定です。

ニュースの用語解説

・アメリカの大統領になる資格と権限、任期

資格―アメリカ生まれ、14年以上アメリカに在住、35歳以上のアメリカの市民
権限―行政のトップ(各省庁、ホワイトハウス(NSC=国家安全保障会議、USTR=米通商代表部)など)、外交のトップ(首脳会談、首脳会議に出席)、軍のトップ(最高司令官、文民の大統領として最終判断)このほか、アメリカ国民の「統合の象徴」、政権党の党首、
任期―1期4年で2期8年までつとめることができます。

・アメリカの大統領選挙の仕組み

アメリカの大統領選挙は、4年に1度行われます。(偶然の一致ですが、夏季オリンピックの開催と同じ年です)
アメリカの大統領選挙では、1月か2月から6月にかけて、民主党と共和党は、それぞれ全米50州と首都のワシントンで、予備選挙または党員集会を開き、どの大統領候補を支持するかをあらかじめ表明している代議員を選びます。
7月か8月に民主党と共和党は、それぞれ党大会を開き、その党の大統領候補と副大統領候補を指名します。過半数の代議員を確保した候補がその党の大統領候補として指名されます。
各党の候補は、ここから11月の本選挙までテレビ討論会や各地での遊説を通じて激しい選挙戦を展開します。
本選挙の投票は、11月の第1月曜の次の火曜に行われます。投票できるのは、18歳以上の有権者で投票登録を行った者だけに限られています。
大統領選挙人は、全米で計538人で、各州と首都ワシントンの大統領選挙人の数は、人口に応じて割り当てられています。大半の州は、最多得票の候補者が選挙人全員を獲得する「勝者総取り方式(winner-take-all)」をとっています。過半数の270人以上を獲得した候補者が大統領に当選したことになります。この段階で、実質的に次期大統領が決まることになります。
あとは、形式的なことになりますが、選ばれた大統領選挙人は、12月に各州の州都に集まり、大統領を選ぶ投票を行い、それらの票が、首都ワシントンの連邦議会に送られ、来年1月に開票され、過半数の270票以上を獲得した大統領候補が正式に選ばれ、1月20日に大統領に就任します。

アメリカでは、大統領選挙と同時に、下院議員全員(任期2年で435人)、上院議員(任期6年で100人、2年ごとに3分の1改選)の3分の1(今年は34人)、知事(今年は12州、任期2年)の選挙も行われます。

・選挙結果(日本時間 きょう12日正午現在、Real Clear Politicsによる)

トランプ  大統領選挙人 290人   得票率 47.4%
クリントン 大統領選挙人 228人   得票率 47.7%

上院    共和党 52人   民主党 48人
下院    共和党 238人  民主党  193人

次期大統領―ドナルド・トランプ(Donald Trump)1946年6月14日生まれ、70歳。主な経歴は、不動産開発、カジノの会社経営、テレビ番組の司会者、議員、知事、閣僚など公職未経験者の大統領。
共和党の予備選・党員集会では、トランプ候補は、主流派に不満を持つ所得の低い白人層を中心とする支持層を取り込み、主流派候補を撤退に追い込み、党大会で圧勝。.
次期副大統領―マイク・ペンス(Mike(Michael Richard) Pence)1959年6月7日生まれ、57歳、インディアナ州知事。

トランプ氏は、大統領選挙戦を通じて、女性蔑視発言、メキシコとの国境に巨大な壁を建設し、不法移民を強制送還、イスラム教徒の一時入国禁止など暴言をはいてきましたが、「エスタブリッシュメント(既存の支配層)」の政治を徹底的に批判し、雇用を拡大し、経済を活性化し、アメリカを再び大国にするとアメリカ第一主義をアピールしました。これが、アメリカの現状に不満をいだいている白人の中間層や無党派層からの支持を集めたとみられています。特に“隠れトランプ”と言われる人たちの多くが投票し、それが今回の勝利につながったと分析されています。
一方、クリントン氏は、女性初の大統領をめざし、国務長官、上院議員などの経験と実績を強調し、万全の組織力と資金力で臨みましたが、国務長官時代に私用メールを使っていたことと選挙終盤にFBI=連邦捜査局がメール問題で再捜査を始めたという発表も敗北に影響を与えたものとみられています。
トランプ氏もクリントン氏も“不人気”候補といわれ、両方とも支持率が50%を切るような状態でした。これまで、アメリカ人はテレビ討論をみて誰に投票するかを決めるといわれてきましたが、3回行われたテレビ討論でも双方が相手候補を誹謗中傷し、泥仕合のような状態で“史上最低“のテレビ討論といわれました。
トランプ氏は、“トランプ旋風”といわれる、短いフレーズで刺激的な言葉を使い、アピールするやり方で、人々の心をつかむ“ポピュリズム”(大衆迎合主義)で、選挙で勝利を収めましたが、今度大統領の職に就いて、実際の政策の中でどうやって実行に移していくか、さらに、今度の選挙で分断されたアメリカの国民をどうやって融和をはかっていくのか、そして、アメリカを再び大国にできるかが問われています。

・韓国のパク大統領の退陣を求める大規模なデモ―2016.11.12

きょう12日午後、韓国の首都ソウルで、パク・クネ大統領の退陣を求める大規模な抗議集会が開かれます。
土曜日の大規模抗議集会は、3週連続で、革新系の労働組合や市民団体などが主催するもので、野党3党の代表も参加します。
警察では、パク大統領が関連したとみられる一連の疑惑が発覚した後では、最も多いおよそ17万人が参加するものと見込んでいます。
(13日のソウルからの報道によりますと、参加者数は、警察発表で26万人、主催者発表で100万人でした)
韓国の検察は、これまでにパク・クネ大統領の40年来の友人の女性実業家チェ・スンシル容疑者や大統領府の首席秘書官ら側近を逮捕したほか、11日にはチェ容疑者と親しいかった映画監督のチャ・ウンテク容疑者を逮捕しました。さらにサムソン電子など大手企業にも捜査の手が及んでいると伝えられています。
検察は、今月中にパク大統領本人から事情聴取を行うものとみられています。

ニュースの用語解説

パク・クネ氏とチェ・スンシル容疑者は、1974年パク氏の母親が父親パク・チョンヒ大統領をねらった凶弾に倒れたましたが、翌1975年に宗教家だったチェ容疑者の父親に相談したことから親しくなったといわれています。父親のパク大統領も在任中の1979年に暗殺され、両親を亡くし、妹や弟とも不仲だったパク氏を支えたのがチェ容疑者だったということです。
チェ容疑者は、1998年国会議員に初当選したパク氏の選挙を応援し、2006年パク氏が暴漢に切り付けられた時も、チェ容疑者の家族が看病したといわれています。
パク氏は、2013年大統領に就任した後も孤独で、公務がない時の食事は1人で済ませることが多く、公務の相談は、大統領府秘書官の「3人組」と言われる側近に、個人的な相談はチェ容疑者に持ちかけたといわれています。
チェ容疑者は、「影の実力者」と呼ばれ、パク氏を支援し、国政のことで助言していたといわれていますが、今回の事件に関する捜査の最大の焦点は、「大統領記録物管理法」で禁じられている大統領府の文書流出に関する疑惑です。
大統領の任期は、1期5年のみで、パク氏の任期は2018年までとなっており、憲法の規定で在職中は刑事訴追はされないことになっていますが、検察の捜査がどこまで及ぶかが注目されています。

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22. 時事問題の基礎入門講座(2016.10.8の講座のテキスト) [2016.10.8の講座のテキスト]

22. 時事問題の基礎入門講座(2016.10.8の講座のテキスト)ほかに「ハイチでハリケーン、800人以上死亡」資料席上配布。

(a) 日本の政治、外交、防衛

・802. 安倍首相、所信表明演説、野党代表質問―2016.9.26-27

臨時国会が26日召集され、安倍首相が、所信表明演説を行って経済政策最優先の姿勢を改めて打ち出したのに対し、野党側は、27日代表質問で安倍政権の政策を批判しました。
憲法改正をすべきだとする改憲勢力が衆参両院で3分の2を占めて以来初めての国会で、会期は11月30日までの66日間で、安倍政権は、会期中に、第2次補正予算案の早期成立をめざすとともに、TPP=環太平洋経済連携協定の承認と関連法案の成立をはかる方針です。
今年度の第2次補正予算案は、3兆2800億円で当初予算(4月スタート時点の予算)と合わせるとちょうど100兆円になります。これは、来週11日に成立の予定です。そして、TPP承認と関連法案をめぐる審議は、14日から始まります。

・ニュースの用語解説

TPP(=Trans-Pacific Partnership free trade agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定などといわれています。
TPP参加国は、アメリカ、日本、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダの12か国です。

日本政府は、2016年3月、TPP=環太平洋経済連携協定の批准に向け、国会の承認を求める議案と関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。
TPP協定には、参加国は、95%から100%の品目の関税を撤廃するほか、ビジネスや投資に規制も緩和することになっています。日本は、日本が輸入する農林水産品や工業製品など9321品目のうち、95%に当たる8862品目の関税を撤廃することになっています。
TPPの関連法案は、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめたもので、関税が下がって輸入が急増した時の緊急輸入制限(セーフガード)の手続きを定める関税暫定措置法の改正や著作権の保護期間をいまの「作者の死後50年」から「死後70年」に延ばす著作権法の改正などが盛り込まれています。
また、TPP協定の発効には、日本に加えてアメリカの批准が不可欠ですが、アメリカでは、11月に大統領選挙があり、民主党のクリントン候補も共和党のトランプ候補もTPP協定に反対という立場をとっており、議会でも、上下両院で過半数を占める共和党や民主党の一部の議員も反対しており、議会で批准承認が得られるかどうかは不透明な情勢です。

(b) 日本の経済、貿易

(c) 日本の社会

・阿蘇山が爆発的噴火、36年ぶり―2016.10.8

熊本県の阿蘇山で8日未明36年ぶりに爆発的噴火が発生しました。
これは、気象庁が8日発表したもので、噴火警戒レベル2の火口周辺規制から3の入山規制に引き上げました。
気象庁は、火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼び掛けています。
気象衛星による観測では、噴煙は高さ1万1000メートルに達したことが確認されたということです。

・ニュースの用語解説

阿蘇山は、九州の中央部の熊本県阿蘇地方に位置する活火山で、外輪山と数個の中央火口丘からなり、外輪山は南北25km、東西18kmに及び世界最大級の面積380km2の広大なカルデラ地形(鍋型)を形成しています。

爆発的噴火というのは、火山用語で、噴火の一形式で、地下の高温や高圧源での内圧が増大して起こり、音響とともにガス、水蒸気、岩石などを放出し、空振(火山の爆発などによる空気の振動のこと)を伴う現象のことです。時には火口や山体を破壊することがあるということです。

・リオオリンピック・パラリンピックのパレードに80万人―2016.10.7

リオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピックの選手らによるパレードが、7日東京・都心で行われ、主催者の発表では、およそ80万人が沿道に詰めかけました。
パレードには、オリンピックのメダリスト58人中50人、パラリンピックのメダリスト38人中37人合わせて87人が屋根のない2階建てのバスやトレーラー合わせて6台に乗り込んで、沿道からの祝福の声に手を振ったり、笑顔で応えていました。
沿道には、4年前のロンドン・オリンピック直後のパレードをおよそ30万人上回るおよそ80万人が詰めかけました。

・ニュースの用語解説

南米で初めて開催された第31回夏季オリンピック・リオデジャネイロ大会は、8月21日リオ市内のマラカナン競技場で閉会式が行われ、17日間にわたるスポーツの祭典が閉幕しました。
今回の大会は、史上最多の205の国と地域から1万人を超える選手が参加し、28競技306種目でメダル争いを繰り広げました。
障碍者のスポーツの祭典・パラリンピックのリオデジャネイロ大会は、9月18日、12日間にわたった大会の幕を閉じました。
大会では、159の国と地域と難民選手団から過去最大の4,300人余りの選手が、22競技528種目で熱戦を繰り広げました。
2020年の夏季オリンピックとパラリンピックは、東京で開催されます。

(d) 国際情勢

・805. ノーベル医学・生理学賞に大隅良典東工大栄誉教授―2016.10.3

今年のノーベル医学・生理学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に贈られることになりました。
これは、スウェーデンのカロリンスカ研究所が3日発表したもので、受賞の理由は、植物や動物などの生物が不要なたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」の仕組みを解明したことによるものです。この仕組みは、パーキンソン病やがんなどの病気にかかわっており、予防法や治療法の開発につながるのではないかと期待されています。
日本人のノーベル賞受賞は3年連続、アメリカの国籍を取得した人を含めて25人目、医学・生理学賞の受賞は4人目です。
授賞式は、12月10日スウェーデンの首都ストックホルムで行われることになっています。

・ノーベル平和賞に南米コロンビアのサントス大統領―2016.10.7

今年のノーベル平和賞は、南米コロンビアで半世紀以上の内戦の終結に向けて尽力したサントス大統領に贈られることになりました。
これは、ノルウェーの首都オスロにある選考委員会が、7日発表したもので、9月政府と反政府ゲリラ組織、FARC=コロンビア革命軍が和平合意に達し、署名式が行われました。しかし、今月2日に行われた和平合意の賛否を問う国民投票では、合意の内容がFARCに譲歩しすぎているなどとして反対が賛成を上回りました。このため、サントス大統領は、FARC側との再交渉を余儀なくされています。
ノルウェーの選考委員会は、「投票した人の過半数が和平合意に反対したとはいえ、それが必ずしも和平交渉の終わりを意味するわけではない」と述べて、すべての当事者に対して、国民が受け入れられる和平を目指して力を尽くすよう促しました。

・ニュースの用語解説

ノーベル賞(Nobel Prize)は、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンのアルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言によって1901年から始まった世界的な賞のことです。物理学、化学、医学・生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
授賞者の選考は、物理学、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学・生理学賞はカロリンスカ研究所が、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会が、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

「オートファジー(自食作用)」は、ギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」という言葉からなっていて、細胞に核のあるすべての生物に備わる生命の基本的な仕組みのことです。細胞は、栄養が足りない状態になると、生き残るためにみずからの中にあるたんぱく質などをアミノ酸に分解し、新しいたんぱく質の材料やエネルギー源として利用します。古くなったり、傷つぃたりしていらなくなったたんぱく質も同じように分解して、再利用していて、こうした「オートファジー」の仕組みは、細胞の働きを正常に保つ上で、欠かせないものになっています。
「オートファジー」は、細胞をきれいにする作用や病原菌を排除する免疫の働きにも拘わっており、パーキンソン病やがんなどの病気との関連でも研究が進んでいるということです。


・803. アメリカ大統領選挙、初のテレビ討論は非難の応酬―2016.9.26

11月8日のアメリカの大統領選挙に向けて初めてのテレビ討論会が、26日ニューヨーク州の大学で1時間半にわたって行われ、民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補が、経済政策、外交・安全保障政策などをめぐって、激しい論戦を繰り広げ、非難の応酬になりました。
経済政策について、クリントン氏は、「良質の雇用を創出し、連邦最低賃金を引き上げる。男女平等の賃金を実現する」と力説し、富裕層や巨大銀行の課税強化を訴えました。
これに対して、トランプ氏は、クリントン氏の経済政策を「聞こえは良いが、機能しない」と非難し、中国やメキシコを名指ししながら、「盗まれたアメリカの雇用を取り戻す」と表明し、締結した貿易・通商協定について「再交渉する」と言明し、法人税や個人所得税の最高税率を「大幅に引き下げる」と述べました。
トランプ氏は、クリントン氏が現在反対しているTPP=環太平洋経済連携協定を国務長官時代に推進していたと批判し、大統領に当選したら再び態度を変えるだろうと指摘しましたが、クリントン氏は、トランプ氏の発言は正確ではないと反論しました。
テロ対策について、トランプ氏が、オバマ大統領と国務長官をつとめたクリントン氏が過激派組織「IS=イスラム国」の台頭を招くなど中東をかつてない混乱に陥れたと厳しく批判しました。
これに対し、クリントン氏は、トランプ氏がISを打倒する秘密の計画があるといっているが、実際は計画などないのだと反論しました。
外交・安全保障の問題について、クリントン氏は、「トランプ氏は何度も日本や韓国などが核武装しても構わないと繰り返してきた。これは共和党の政策とも食い違う。アメリカの最高司令官にふさわしくない」と批判しました。
これに対し、トランプ氏は、「われわれは、日本や韓国などを守っているが、彼らは、公平な負担をしていない」と述べ、在日アメリカ軍駐留経費などの負担増を主張しました。
クリントン氏は、「日本や韓国や他の相互防衛協定を結んでいる国々と同盟を再確認し、高く評価したい」と述べました。
また、トランプ氏ハ、クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールを使った問題を取り上げ「違法だ」と批判しました。
クリントン氏は、私用メールは「過ちだった」と認めた上で、トランプ氏が、近年の大統領候補が行ってきた納税申告書の公開を拒んでいる点について「何かを隠している」と切り返しました。

10月4日アメリカ大統領選挙の副大統領候補による討論会が行われ、民主党の上院議員のティム・ケーン氏(58)と共和党のインディアナ州知事のマイク・ペンス氏(57)が互いに相手の大統領候補の弱点を突きながら非難合戦を繰り広げました。

・ニュースの用語解説

アメリカ大統領選挙の今後の日程

① 9月26日 第1回大統領候補テレビ討論会(ニューヨーク州ヘンプステッド 司会役=NBCキャスター)
② 10月4日 副大統領候補テレビ討論会(バージニア州ファームビル 司会役=CBSキャスター)
③ 10月9日 第2回大統領候補テレビ討論会(ミズリー州セントルイス 司会役=ABC、CNNキャスター)
④ 10月19日 第3回大統領候補テレビ討論会(ネバタ州ラスベガス 司会役=FOXニュースキャスター)
⑤ 11月8日 大統領選挙投票日
⑥ 2017年1月20日 新大統領就任式(首都ワシントン)

アメリカ大統領候補テレビ討論会は、大統領選挙終盤の重要なイベントで、国民の関心事や候補自身の政策などについて、公開の場で候補者が直接、意見を戦わせます。テレビやインターネットで生中継されます。今回大統領候補は、3回実施、1回目と3回目は、司会役がすべての質問をしますが、2回目は、会場からの質問も受け付けます。

・808. パリ協定、11月4日に発効―2016.10.5

国連は、5日、地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」が11月4日に発効すると発表しました。
「パリ協定」は、締約国が55か国以上になり、それらの国々の温室効果ガスの排出量が世界全体の55%以上に達すると30日後に発効することになっています。
国連は、5日、フランスやドイツなどヨーロッパ7か国が当初の予定を前倒しして締結するなど、締約国は合わせて73か国になり、排出量の合計が全体の56.87%に達したと発表しました。これによって、協定は、発効の要件がすべて整い、30日後の11月4日に発効することになりました。
「パリ協定」をめぐっては、温室効果ガスの2大排出国のアメリカと中国がそろって締結に踏み切ったあと、温暖化対策を主導してきたEU各国なども締結を急いだことなどから、早期の発効につながったとみられています。
日本は、ほかの温室効果ガスの主要排出国に比べて締結の手続きが遅れており、政府は、締結の国会承認を求める議案を11日に閣議決定し、国会に提出し、早期の承認を目指す方針です。
協定の発効を受けて、11月7日からモロッコのマラケシュで開かれる国連の会議COP22では、締約国による会合が開かれる見通しですが、日本は締約国としては参加できない可能性が高くなっています。

・ニュースの用語解説

2015年12月パリ郊外で地球温暖化対策を討議していた国連の会議は、開発途上国を含むすべての国が協調して2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新しい枠組みパリ協定を採択しました。
パリ協定は、地球温暖化対策の国際的枠組みとしては、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた1997年の京都議定書以来18年ぶりのことで、史上初めて開発途上国を含むすべての国が協調して削減に取り組む枠組みとなり、地球温暖化阻止へ向けて歴史的な一歩を踏み出したことになります。
パリ協定は、法的拘束力のある2020年以降の国際的な枠組みで、気温上昇を18世紀後半から19世紀前半に行われた産業革命の前に比べて、1.5度に抑えるよう努力するとし、世界全体の温室効果ガスの排出量を21世紀後半には実質的にゼロにするよう削減に取り組むとしています。
また、開発途上国も含めたすべての国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を国連に提出し対策を進めることが義務付けられ、削減目標は提出するたびに改善されるべきだとしています。


・807. 次期国連事務総長に元ポルトガル首相のグテーレス氏―2016.10.5

今年いっぱいで任期を終える国連のバン・ギムン事務総長の後任に、ポルトガルの元首相で前の国連難民高等弁務官のアントニオ・グテーレス氏が任命されることが確実になりました。
これは、国連安全保障理事会が、5日、次期国連事務総長を選ぶための6回目の予備投票を実施し、拒否権を持つ安保理の常任理事国5か国を含む13か国がグテーレス氏に賛成し、6回連続で首位にたったためです.
国連安保理は、6日正式な投票を実施し、国連総会に勧告し、総会はこれを承認する見通しで、グテーレス氏が次期国連事務総長に任命されることが確実になっています。
グテーレス氏は、67歳、1949年ポルトガルの首都リスボンに生まれ、リスボン工科大学を卒業、ポルトガル社会党書記長を経て、1995年ポルトガル首相に就任し、2005年から2015年まで国連難民高等弁務官をつとめました。
グテーレス氏の任期は、来年1月から5年ですが、国連のトップとして、世界をゆるがせている難民危機をはじめ世界が当面している数々の課題にどう取り組むか注目されています。

・ニュースの用語解説

国連事務総長(United Nations Secretary General)は、任期5年で、安全保障理事会の推薦により、総会で任命されます。
現在の事務総長は、バン・ギムン(潘基文 韓国)。2007年1月第8代事務総長に就任、2006年10月国連総会で全会一致で任命、2011年6月に再選、2016年12月末で退任予定。
国連事務総長には、リー(ノルウェー)、ハマーショルド(スウェーデン)、ウ・タント(ビルマ)、ワルトハイム(オーストリア)、デクエヤル(ペルー)、ガリ(エジプト)、アナン(ガーナ)がつとめてきました。
国連(加盟193か国)のトップの役割を果たしています

グテーレス(Antonio Manuel de Oliveira Guterres)は、1949年4月30日ポルトガルの首都リスボンで生まれ、リスボンの高等工科大学で物理学と電気工学を学び、1971年に終了。
助教として学術の世界に入りましたが、1974年社会党に入党、1976年から1995年まで国会議員、その間、社会党の書記長、社会主義インターナショナルの副議長(のちに議長)をつとめました。1995年総選挙で社会党勝利、首相に就任。2001年地方選挙、そして総選挙でも社会党大敗、グテーレス氏、首相を辞任。
2005年グテーレス氏は、国連難民高等弁務官に任命され、2015年までつとめました。

・806. シリア内戦激化、ロシア、シリアにミサイル配備―2016.10.4

シリアの内戦をめぐって、アメリカが停戦に向けたロシアとの協議を打ち切る中、ロシアがシリア国内の基地に地対空ミサイルを配備すると発表しました。
これは、ロシア国防省が4日発表したもので、シリア国内でロシア海軍の拠点となっている西部タルトゥース基地にあらたに高性能の地対空ミサイル「S300」を配備することを明らかにしました。ロシア国防省は、「防衛目的の配備だ」としていますが、シリアの反政府勢力は航空戦力を保持しておらず、ロシアが今回軍事力を強化したことで、アメリカとの関係が一層悪化することが懸念されています。
一方、シリアの北部最大の都市アレッポをめぐって、アサド政権の政府軍と反政府勢力の戦闘がさらに激しさを増しています。
アメリカとロシアが調停したシリア内戦の停戦は、9月12日に入りましたが、長くは続かず、戦闘が再燃した19日から2週間で、死者が420人余り、けが人も1,000人を超えているということです。
停戦が守られなかったことについては、アメリカとロシアは、お互いに相手を非難し、アメリカ政府は、3日停戦に向けたロシアとの協議を打ち切ると通告し、事態はさらに悪化しています。

・ニュースの用語解説

シリアでは、アサド父子による政権が1970年から45年以上も続いています。アサド家の宗教は、イスラム教シーア派から分かれたアラウィ派で、政権中枢も同じアラウィ派で固めています。シリア国内では、スンニ派が多数を占めていますが、アサド政権は、厳しい言論統制や弾圧によって反対勢力を抑え込み、国民を統治してきました。
2010年北アフリカのチュニジアで発生した「アラブの春」という民主化要求運動は、瞬く間にエジプト、リビア、イエメンなど中東諸国に広がり、シリアでも2011年から各地で民主化を要求する反政府デモが行われました。アサド政権は、これらのデモを徹底的に弾圧しましたが、デモは収まらず、やがて、武装した反政府勢力(自由シリア軍)と政府軍の内戦に発展していきました。
アサド政権も反政府勢力も、それぞれ国外から支援を受けています。アサド政権は、ロシア、シーア派を国教とするイラン、レバノンを拠点とするシーア派の武装組織ヒズボラなどから支援を受けています。一方反政府勢力は、アメリカなど欧米諸国やスンニ派に属するアラブ諸国が支援しています。
こうした混乱に乗じて、スンニ派の過激派組織IS=イスラム国が、シリアでも
勢力を伸ばしています。さらにアルカイダ系のヌスラ戦線、現在レバント征服戦線といっている過激派が加わり、内戦は複雑化しています。
シリアの内戦は、アサド政権と反政府勢力の間で6年も続いており、これまでの死者は30万人以上、国外に逃れた難民も480万人にものぼり、「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれています。

・809. アフガニスタン支援会合、152億ドル支援表明―2016.10.5

アフガニスタンの復興に向けた支援策を話し合うアフガニスタン支援会合が、5日ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、国際社会が2017年から2020年の4年間で152億ドル、日本円で1兆5000億円余りを援助することで合意しました。
会合は、アフガニスタン政府とEU=欧州連合が共催し、アフガニスタンのガニ大統領やアメリカのケリー国務長官ら75か国と26の機関の代表が参加し、日本からは園浦外務副大臣が出席しました。
園浦外務副大臣は、最大で16億ドル、日本円で1600億円の拠出を表明しました。
アフガニスタンでは、反政府勢力タリバンに加え、過激派組織IS=イスラム国の地域組織も活動を活発化させていて、国家予算の7割を援助に頼っているアフガニスタン政府は、治安と内政の安定、汚職の撲滅、財政の健全化など多くの難題を抱えており、今回の支援をもとに、国の復興をどう軌道に乗せられるかが問われています。



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