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16.時事問題の基礎入門講座(2016.4.9の講座のテキスト) [2016.4.9の講座のテキスト]

*2016.4.9の講座のテキスト*

(a) 日本の政治・外交・防衛

・衆議院選挙制度改革の自民党案成立へー2016.4.8

「1票の格差」を是正するために衆議院選挙制度を改革する自民党案が、今の国会で成立する見通しになりました。
衆議院議員の定数は、現在475人で、そのうち295人が1選挙区で1人を選出する小選挙区選挙ですが、選挙区によっては有権者の数に大きな開きがあり、2倍を超えるところもでています。選挙権は有権者に平等に与えられる権利ですが、1票の格差が2倍以上になると、裁判では、「違憲状態」とみなされます。過去3回の衆議院選挙が連続で最高裁に「違憲状態」と判断され、「1票の格差」の是正が課題になっています。
衆議院選挙制度の改革については、人口比に応じて定数を配分する、いわゆるアダムズ方式を導入することでは与野党は一致していますが、自民党は、2020年の国勢調査後にする案を、野党の民進党は、2010年の国勢調査にさかのぼって即時導入する案をそれぞれ来週国会に提出することを決めました。
これは、与野党の調整役をしていた大島衆議院議長が、7日自民、民進両党に改革案をそれぞれ国会に提出するよう要請し、多数決で決める方針を正式に表明したためです。
自民党案は、アダムズ方式の導入時期を2020年の国勢調査以降に導入し、小選挙区の「0増6減」と比例区の「0増4減」を先行実施するもので、公明党も7日これに同意しました。これによって自民党案は、賛成多数で可決される見通しです。

・ニュースの用語解説

アダムズ方式というのは、人口に比例して議員定数を配分する方法の1つで、アメリカの第6代大統領のアダムズが提唱したとされています。
これによりますと、国勢調査で出た都道府県の人口をある定数で割って得られた商の小数点以下を切り上げ1議席を加えたものをその自治体の議席数とする方式です。この方式によれば、各都道府県の人口比を反映しやすいし、「1票の格差」の是正にもつながるといわれています。
衆議院選挙制度改革に関する自民党案というのは、2020年の国勢調査を基準とするアダムズ方式の導入する、先行させる定数削減については、2015年の簡易調査結果に基づいてアダムズ方式を部分的に使い、議員1人あたりの人口が少ない順に削減する県や比例ブロックを選ぶとし、小選挙区では、青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で定数を各1減の「0増6減」、比例区では、東北、北陸信越、近畿、九州の4ブロックでそれぞれ1減の「0増4減」というものです。


(b) 日本の経済・貿易

・TPP関連法、国会で審議入りー2016.4.5

TPP=環太平洋経済連携協定の承認案と関連法案が、5日衆議院本会議で審議入りし、政府与党は、いまの国会の会期中の成立を目指していますが、野党は、政府与党をきびしく追及しています。
TPPは、日米など12か国が参加している関税撤廃や投資などのルールを決めた自由貿易協定です。これら12か国は、2月協定に署名し、協定の発効に向けて、それぞれの国が国内手続きを進めることになっています。
安倍首相は、5日の衆議院本会議で、「TPPは、8億人の市場、世界の4割の経済圏を生み出す。日本経済が力強く成長していく基礎となる。成長戦略の切り札としていく」と述べ、協定の意義を強調しました。
一方、野党は、自民党が政権交代を果たした2012年12月の衆議院選挙で「聖域なき関税撤廃を前提とするTPP参加に反対」と公約していたことを指摘し、公約違反などと追及しました。
また、野党は、今回の協定では、国会で関税を守る「聖域」として決議した「重要5項目」のコメ、麦、砂糖、牛・豚肉、乳製品のおよそ3割の品目で関税が撤廃されていると指摘し、「明白な国会決議違反」だと非難しました。
TPP承認案と関連法案は、後半国会の最大の対決法案となっています。

・ニュースの用語解説

TPP協定では、参加国は、95%から100%の品目の関税を撤廃するほか、ビジネスや投資に規制も緩和することになっています。日本は、日本が輸入する農林水産品や工業製品など9321品目のうち、95%に当たる8862品目の関税を撤廃することになっています。
TPPの関連法案は、関連する11本の法律の改正事項を1本の法案に取りまとめたもので、関税が下がって輸入が急増した時の緊急輸入制限(セーフガード)の手続きを定める関税暫定措置法の改正や著作権の保護期間をいまの「作者の死後50年」から「死後70年」に延ばす著作権法の改正などが盛り込まれています。
政府としては、世界経済のおよそ4割を占める自由経済圏の貿易協定であるTPP協定の発効に向け、今国会の会期中の承認、成立をめざす方針です。
しかし、民主党、共産党など野党は、TPP協定に反対しており、政府による協定の経済効果の試算には疑問がある、関税撤廃が国内の農家に与える影響は大きいなどと主張して、政府を追及する構えです。
また、TPP協定の発効には、日本に加えてアメリカの批准が不可欠ですが、アメリカでは、11月に大統領選挙が予定されており、有力候補である民主党のクリントン前国務長官も共和党のトランプ氏もTPP協定に反対という立場をとっており、議会での批准承認には難航が予想されています。いずれにせよ、アメリカの批准は、大統領選挙後になるものとみられています。


(c)日本の社会

・福岡高裁、川内原発運転停止の申し立て認めずー2016.4.6

鹿児島県にある川内(せんだい)原子力発電所の運転停止を求めていた住民の申し立てについて、福岡高等裁判所は、6日これを退ける決定を下しました。
鹿児島県にある九州電力川内原発の1号機と2号機について、鹿児島県などの住民12人は、運転の停止を求める仮処分を申し立てましたが、昨年4月鹿児島地方裁判所が退けたため、福岡高等裁判所に抗告していました。
6日の決定で、裁判長は、地震への備えを定めた新規制基準や原子力規制委員会の審査に「不合理な点はない」という判断を示し、鹿児島地裁の決定を支持し、住民側の抗告を棄却しました。
住民側は、決定を不服として、最高裁への特別抗告などを検討することにしています。
川内原発は、2011年の東京電力福島原発の事故の後作られた新規制基準の下で、全国で初めて1号機が昨年8月に再稼働し、2号機も昨年10月に再稼働しています。
原発をめぐる裁判では、先月大津地裁が稼働中の原発としては初めて、福井県にある高浜原発の3号機と4号機の運転停止を命じており、裁判所の判断が分かれることになりました。

・ニュースの用語解説

今回の福岡高裁と先月の大津地裁の判断の違いは、原発の安全性をどうみるかにあります。
大津地裁は、「高浜原発の周辺で関西電力が行った断層の調査は、海底を含む周辺領域すべてで徹底的に行われたわけでなく、断層が連動して動く可能性を否定できない」としています。福島の事故原因が解明されていない中で、同様の事故を2度と起こさないための、電力会社の安全対策が不十分だとし、新規制基準に向かう原子力規制委員会の姿勢にも不安を表明しています。
一方。福岡高裁は、九州電力が行った断層の調査について、「徹底した調査の結果、敷地周辺で確認された断層は、長期間活動がないと判断され、将来活動する可能性のある断層の存在は否定されている」としています。差し止めの判断基準となる社会通念は、最新の科学的知見を超える絶対的安全性までは求めておらず、合理的に予測される災害を想定している新規制基準は妥当だという見解を示しています。
今後さまざまな原発をめぐる裁判の中で、司法がどういう判断を示すか注目されますが、この問題をめぐっては、司法だけでなく、行政、立法、科学者、市民などを交えた広範な議論が必要だと思われます。


(d)国際情勢

・パナマ文書公表で各国に衝撃―2016.4,8

各国の首脳やその関係者が租税回避地、いわゆるタックスヘブンを利用していたと指摘したパナマ文書が公表され、各国に衝撃を与えています。
ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合による調査報道で、中米パナマにある法律事務所の文書が流出し、各国の首脳やその関係者が、カリブ海のイギリス領バージン諸島などの租税回避地いわゆるタックスヘブンにある企業を通じて金融取引を行っていたことなどが明らかになったもので、この中には、アイスランドのグンロイグソン首相、イギリスのキャメロン首相、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、ウクライナのポロシェンコ大統領なども含まれています。
アイスランドのグンロイグソン首相は、2007年にタックスヘブンのイギリス領バージン諸島に夫婦で購入した会社を通じて、自国の3つの銀行の債券に日本円にして数億円の投資をしていながら、これを公表してこなかったと指摘されていましたが、7日正式に辞任しました。
イギリスのキャメロン首相は、過去にこうした企業の株式を保有していたことを認めており、これまでタックスヘブンを通じた課税逃れに厳しく対処する姿勢を示していただけに、批判が高まりそうです。
ロシアのプーチン大統領は、古くからの友人の音楽家がタックスヘブンにある企業を通じて、およそ2200億円の金融取り引きを行っていたとされ、ロシアでは、大統領への賄賂を工面していたのではないかとして、疑惑の声が上がっていましたが、大統領は、7日「いかなる汚職もなく、ロシアに対するゆさぶりだ」と欧米がしかけた、いわゆる「情報戦」だとして、強く反発しました。
中国の最高指導部7人のうち、習近平国家主席を含む3人の親族についても、パナマ文書で、名前が挙がっていますが、中国国内では報道が厳しく規制されていて報道されていません。
来日中のウクライナのポロシェンコ大統領は、「何も隠しておらず、透明性を確保した手続きの下で行っている」と述べ、疑惑を否定しました。

・ニュースの用語解説

租税回避地、いわゆるタックスヘブン(tax haven)というのは、法人税や所得税などの税率がゼロかきわめて低い国・地域のことで、カリブ海のイギリス領バージン諸島やケイマン諸島などがあります。
これらの国・地域で資産を保有したり、金融取り引きをしたりすること自体は、違法ではありませんが、法人情報がほとんど公開されないため、税務当局の目が届きにくく、脱税や粉飾決算、資金洗浄の温床という批判もあります。

パナマ文書というのは、租税回避地、いわゆるタックスヘブンの会社の設立などを手掛ける中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書のことです。1977年から2015年にかけて作られた1150万点の電子メールや文書類です。21万あまりの法人の情報の中には、10か国の現旧指導者12人、現旧指導者の親族ら61人の関係する会社も含まれています。芸能人やスポーツ選手の関係する会社もあります。

ICIJは、1989年に創設された非営利の報道機関「Center for Public Integrity」の国際報道部門です。アメリカのワシントンに事務所があります。60か国以上のジャーナリストが連携し、国際的な問題を取材し、報道しています。

・世界の軍事費4年ぶりに上昇―2016.4.5

昨年の世界の軍事費は、前の年に比べておよそ1%増えて1兆6760億ドル、日本円にして186兆円で、4年ぶりに増加に転じたことがスウェーデンの研究所の調査でわかりました。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が5日発表したところによりますと、内戦が続くシリアやイエメンを抱える中東、中国による南シナ海への海洋進出によって緊張が高まるアジア太平洋、紛争が続くロシアとウクライナの周辺国を含む東欧などで、軍事費が増えたことから、世界の軍事費は、増加に転じたということです。
国別にみますと、アメリカが軍事費が最も多く1位で前の年より2.4%減少して、5960億ドルと、全体のおよそ36%を占めています。
続く2位が中国で、前の年より7.4%増えて2150億ドル、3位は、イエメンでの空爆を主導するサウジアラビアで、5.7%増えて872億ドルとなっていす。
4位がロシア、5位がイギリス、6位がインド、7位がフランス、8位が日本、9位がドイツ、10位が韓国となっています。

・ニュースの用語解説

世界の軍事費については、ロンドンの国際戦略研究所(IISS)の「ミリタリー・バランス」とストックホルムの国際平和研究所(SIPRI)の「世界の軍事費に関する報告書」が毎年発表されて、注目されています。

・ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)2016.4.5発表、2015年の軍事費
① アメリカ     5960億ドル
② 中国       2150億ドル
③ サウジアラビア   872億ドル
④ ロシア       664億ドル
⑤ イギリス      555億ドル
⑥ インド       513億ドル
⑦ フランス      509億ドル
⑧ 日本        409億ドル
⑨ ドイツ       394億ドル
⑩ 韓国        364億ドル



・ロンドンの国際戦略研究所(IISS),2016.2.9発表、「ミリタリー・バランス2016」の2015年の国防支出

① アメリカ     5975億ドル
② 中国       1458億ドル
③ サウジアラビア   819億ドル
④ ロシア       656億ドル
・・・・・

・・・・
・・・・・
⑧日本         410億ドル

注ー ・・・・の部分は、不明です。





タグ:時事問題
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