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18.時事問題の基礎入門講座(2016.6.11の講座のテキスト)改訂版 [2016.6.11の講座のテキスト]

18. 時事問題の基礎入門講座(2016.6.11のテキスト)改訂版

(a) 日本の政治・外交・防衛

・政府、接続水域航行で中国に抗議―2016.6.9

政府は、6月9日、中国海軍のフリゲート艦1隻が沖縄県の尖閣諸島の接続水域に入ったと発表し、ただちに中国政府に抗議しました。
接続水域というのは、領海の外側に離接する12カイリの海域のことで、中国海軍の艦船がこの水域を航行するのを確認したのは、初めてのことです。
政府の発表によりますと、中国海軍の軍艦は、9日午前0時50分ころ接続水域に入り、午前3時10分頃同水域を離れたのを海上自衛隊の護衛艦が確認したということです。
外務省は、午前2時頃中国の駐日大使を呼んで、今回の行為を「一方的に緊張を高める行為だ」として、同水域から直ちに出るよう抗議しました。
また、8日午後9時50分頃には、ロシア海軍の駆逐艦など3隻が、同水域に入り、9日午前3時5分頃離れたということですが、防衛省は、「ロシアは、尖閣諸島の領有を主張していない。中国と区別して対応していく」としています。
一方、中国国防省は、9日「釣魚島(尖閣諸島の中国名)と付属の島しょは、中国固有の領土であり、中国軍艦が自国の管轄海域で航行するのは合法だ」と述べています。
アメリカ国防総省は、9日、「日本政府から情報提供を受け、緊密に連絡を取り合っている」と述べています。

・ニュースの用語解説

接続水域(contiguous zone)というのは、沿岸から12カイリ(約22キロ)までが領海で、そのさらに外側12カイリ、沿岸から24カイリを接続水域といいます。領海は、領土や領海のように沿岸国の主権が及び、接続水域では、沿岸国が通関や出入国管理、衛生上の規制をすることが認められています。これらは、いずれも国連海洋条約で定められています。接続水域では、沿岸国の主権は及ばず、他国にも航行の自由が確保されています。沖縄県の尖閣諸島周辺では、2012年に日本が同諸島を国有化した直後から、中国の公船が接続水域を超え、領海侵入を繰り返しています。しかし、中国海軍の軍艦が接続水域を航行したのは、今回が初めてです。

・沖縄の米軍属の男、殺人などの疑いで再逮捕―2016.6.9

沖縄のアメリカ軍の軍属の男が日本人女性の遺体を遺棄したとして逮捕された事件で、沖縄県警は、6月9日、殺人と強姦致死の疑いで、その男を再逮捕しました。
再逮捕されたのは、アメリカ海兵隊の元隊員で嘉手納基地で働く軍属のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者32歳です。
沖縄県警によりますと、シンザト容疑者は、4月下旬、会社員の女性20歳に対し、頭を棒で殴って叢に連れ込み、刃物で刺すなどして殺害したとして、殺人の疑いに加え、乱暴しようとして死なせた疑いがもたれています。シンザト容疑者は、5月19日、女性の遺体を雑木林に遺棄した疑いで逮捕され、当初は、殺害をほのめかす供述をしていましたが、その後は、黙秘しているということです。

・日米首脳会談、沖縄の事件中心に協議―2016.5.25

安倍首相は、5月25日、G7=主要7か国主相会議=伊勢志摩サミットの開幕を前にオバマ大統領と日米首脳会談を行いました。
両首脳が、会談のあと、共同記者会見で明らかにしたところによると、安倍首相は、沖縄県でアメリカ国籍の軍属の男が日本人女性の死体を遺棄したとして逮捕された事件について、強く抗議し、実効性のある再発防止策を講じるよう求めたのに対し、オバマ大統領は、哀悼と遺憾の意を表し、日本側の捜査に全面的に協力する意向を表明しました。
そして、両首脳は、事件の全容解明と日米地位協定の運用の改善などに協力して取り組み、信頼回復に努めていくことで一致しました。
また、両首脳は、伊勢志摩サミットの成功に向けて、世界経済などの主要なテーマをめぐって緊密に協力していくことを確認しました。
沖縄県の翁長知事は、25日、今回の日米首脳会談について、記者団に、「安倍首相が、オバマ大統領と直接会話したいという私の希望や日米地位協定の見直しに言及しなかったことは、大変残念だ」と述べました。
事件の軍属の男がつとめていた嘉手納基地の前では、およそ4000人の人たちが、25日集会を開き、今回の事件に抗議するとともに、すべてのアメリカ軍基地の撤去を求めました。
この後も、沖縄では、抗議行動が続いており、6月19日には、大規模な集会を開き、事件に抗議し、沖縄のアメリカ軍基地の撤去を求めることにしています。

・ニュースの用語解説

沖縄県警の発表によりますと、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者32歳は、元海兵隊員で、空軍嘉手納基地に勤務していますが、4月28日から29日未明にかけて、沖縄県うるま市の会社員島袋里奈さん20歳の遺体を雑木林に遺棄したとして、5月19日逮捕したものです。
沖縄県警は、付近の防犯カメラの映像や目撃情報から、シンザト容疑者の車がこの時間帯に付近を通っていたことをつきとめ、5月16日から任意の事情聴取を続け、使用車両の任意提出を受けて調べた結果、車から島袋さんのDNA型が検出されました。警察が、19日、雑木林で、島袋さんの白骨化した遺体を発見し、シンザト容疑者を逮捕したものです。
沖縄県警は、シンザト容疑者について、日米地位協定が定める「軍属」にあたると説明、事件は、「公務外」で起きたとし、日本の刑事手続きに従って送検するとしています。


・オバマ米大統領、広島訪問―2016.5.27

アメリカのオバマ大統領は、5月27日、アメリカの現職の大統領としては初めて被爆地・広島を訪問し、演説の中で、「核兵器のない世界」の実現に向けて取り組む決意を表明しました。
オバマ大統領は、26日と27日開かれたG7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットに出席した後、広島を訪れ、平和記念資料館を見学し、原爆慰霊碑に献花し、黙とうを捧げ、招待した広島と長崎の両市長や被爆者の人たちを前に所感を述べる演説をしました。
オバマ大統領は、この中で、広島に原爆が投下された8月6日の「記憶は消え去らない」と所感を述べ、「核兵器のない世界」への決意を表明しました。広島、長崎で亡くなった人々を含め、第2次世界大戦の全犠牲者を追悼し、戦争の惨禍を繰り返さないための誓いを新たにしました。
オバマ大統領は、「われわれは、核兵器を保有する恐怖の論理から脱する勇気を持ち、核兵器のない世界を追い求めなければならない。私が生きている間に実現しないかもしれないが、絶え間ない努力によって破滅を避けることができる」と述べ、核兵器の廃絶に向けて取り組む決意を示しました。
さらに、「われわれは、戦争についての考え方を変え、外交を通じて対立を避けるようにしなければならない」と述べ、「広島と長崎を核戦争の始まりとして記憶するのではなく、人類の道徳的な目覚めにしなければならない」と語り、被爆地の経験を伝え、核兵器が2度と使われないようにしなければならないと訴えました。
しかし、71年前にアメリカが原爆を投下したことに対する謝罪や原爆投下の是非については、言及しませんでした。

・ニュースの用語解説

アメリカのオバマ大統領は、2009年1月就任し、4月チェコのプラハで、「核兵器のない世界を目指す」と演説し、12月にはノーベル平和賞を受賞しています。
オバマ大統領は、2009年初めて日本を訪れた際、記者会見で「広島、長崎を将来訪れることができれば、非常に名誉なことだ」と述べていました。
しかし、オバマ大統領は、これまで3度日本を訪れていますが、いずれも被爆地訪問を見送っています。これは、アメリカ国内には、原爆投下によって戦争終結が早まり、多くのアメリカ人の命が救われたと正当化する主張が根強く存在し、被爆地訪問への慎重論があるためです。
オバマ政権下では、2010年当時のルース駐日大使が、アメリカ政府代表として初めて広島の平和記念式典に出席し、後任のケネディ大使も毎年式典に出席しています。今年7月には広島で開かれたG7=主要7か国外相会議に出席したケリー国務長官が、アメリカ政府の閣僚としては初めて平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、平和記念資料館(原爆資料館)を訪問しました。そして、「すべての人が広島を訪れるべきだ」と語り、オバマ大統領の広島訪問の下地を作ったといわれています。
今回は、オバマ大統領にとって、4度目の日本訪問で、ようやく広島訪問が実現しました。

・G7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミット閉幕―2016.5.27

三重県で開かれていたG7主要7か国首脳会議=伊勢志摩サミットは、5月27日、世界経済を支える金融、財政政策と構造改革の重要性をうたった首脳宣言を採択し、2日間にわたった会議を終えました。
首脳宣言は、最大のテーマだった世界経済について、「世界経済の回復は続いているが、成長は、引き続き穏やかで、ばらつきがあり、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている」と指摘した上で、「新たな危機に陥ることを回避するするため、適時にすべての政策対応を行うことによって、現在の経済状況に対応するための努力を強化する」としています。そして、持続可能な均衡ある成長の達成に貢献するための対応策をまとめた「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」を打ち出し、「財政戦略を機動的に実施し、構造政策を果断に進めることに関し、G7が協力して取り組みを強化することの重要性に合意する」としています。
また、「3本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政・金融及び構造政策の重要な役割を再確認する」として、機動的な財政出動をはじめ金融政策、構造改革など、G7各国が状況に応じて政策を総動員して世界経済を支えていく姿勢を強調しています。
会議後、議長をつとめた安倍首相は、記者会見を開き、複数の経済指標について、「リーマン・ショック時の下落幅に匹敵する」などとして、世界経済の現状が2008年のリーマン・ショック前に似ているとの認識を示し、「世界経済が危機に陥る大きなリスクに直面している。G7は、その認識を共有し、強い危機感を共有した」と述べました。しかし、この認識については、G7の首脳間では、違いがあったと伝えられています。

・ニュースの用語解説

サミット主要国首脳会議は、1975年第1回は、フランスのパリ郊外のランブイエ城で開催、フランス、アメリカ、イギリス、西ドイツ、日本、イタリアが参加。1976年第2回からカナダが参加、1994年第20回からロシアが政治討議に参加、2003年第29回からすべてに参加しました。G8になりました。しかし、2014年第40回からウクライナ問題でロシアが排除され、G7になりました。今回は、日本開催で、5月26日と27日 第42回主要国首脳会議・伊勢志摩サミットが行われました。

・安倍首相、消費増税再延期を表明―2016.6.1

安倍首相は、6月1日、通常国会の閉幕を受けて記者会見し、2017年4月に予定していた消費税率8%から10%への引き上げを2019年10月まで2年半再延期することを正式に表明しました。同時に、夏の参議院選挙を6月22日公示、7月10日投票とする方針を示し、消費増税の再延期の判断については、参議院選挙で国民の信を問うと述べました。
消費増税の延期は、当初の2015年10月から1年半延ばした2014年11月の決定に続き2回目で、安倍首相は、その際に「再延期はない」と断言していたことについて、「これまでの約束と異なる判断だ。『公約違反ではないか』との批判を真摯に受け止める」と語りました。
安倍首相は、消費増税の再延期を判断した理由について、当初から延期するケースとして挙げていたリーマン・ショック級の事態は発生していないとする一方、「新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している」と説明し、世界経済が新たな危機に陥ることを回避するため、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と述べるとともに、このため、政策総動員が必要だと強調しました。
安倍首相は、消費増税を再延期しても「財政再建の旗は降ろさない」と述べ、基礎的財政収支の赤字を2020年度に黒字化する財政健全化の目標は堅持する考えを強調しました。
消費増税の再延期については、「国政選挙である参議院選挙を通し、国民の信を問う」とし、参議院選挙に合わせて衆議院選挙を実施する衆参同日選挙については、熊本地震への配慮などを理由に見送る意向を示しました。
安倍首相は、参議院選挙について、「目指すのは、自民、公明の連立与党で改選議席の過半数を獲得ることだ」と述べました。これは、改選議席数121のうち、自民、公明両党で61議席を目標とするというもので、現有議席の自民50議席、公明9議席を2議席上回ることになります。
7月の参議院選挙では、安倍首相の消費増税再延期の判断の是非やアベノミックス=安倍首相の経済政策の成否、集団的自衛権行使を認めた安全保障関連法が主要な争点になるものとみられています。さらに、憲法改正の国会発議に必要な定数の3分の2以上の議席を改憲勢力が確保できるかどうかも注目されています。

・ニュースの用語解説

消費税というのは、モノやサービスを取引する際にかかる税金のことで、実質的な負担者は、消費者ですが、小売店やメーカーといった事業者が実際には消費税を納めています。勤労世代など特定の人に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で幅広く負担しています。法人税や所得税に比べて、税収が景気動向に左右されにくく、安定財源の側面をもっています。
日本では、1989年4月に3%の消費税が、初めて導入されました。1997年4月に税率が5%に上がり、2014年4月には8%になりました。
2016年度の消費税収は、およそ17兆2000億円の見通しで、一般会計税収のおよそ3割を占めています。税率が8%上がったことで、消費税の税収規模は、およそ18兆円ある所得税に匹敵する規模になっています。
消費税が増税する理由は、高齢化で、社会保障費が増大しているためです。消費税の税収は、年金、介護、医療などの社会保障サービスや子育て支援に充てるのがルールになっています。税収が増えれば、サービスも拡充できることになります。
海外では、売り上げ税、付加価値税などと呼ばれ、社会保障が充実しているスウェーデンやデンマークは、25%と高率です。イギリスは、金融危機後の2009年に17.5%から15%に下げた後、20%に引き上げました。食料品などの税率を低くする軽減税率もあり、増税への反発もそれほど強くないといわれています。


(b)日本の経済・貿易

・三菱東京UFJ銀行、国債入札の特別資格返上を検討―2016.6.10

日本の最大手の銀行である三菱東京UFJ銀行が、国債の入札に関する特別資格を国に返す方向で検討していることが明らかになりました。
これは、小山田隆頭取が10日大阪での記者会見で明らかにしたもので、特別資格に一定額の落札額が義務付けられていることを念頭に、「マイナス金利化が進んでいる中で、落札義務をすべて履行するのは難しい環境だ」と述べました。この資格は、国債市場特別参加者といい、大量に発効される国債の安定消化をはかろうと国が大手の銀行や証券会社を対象に付与しているもので、国債を発行する財務省と意見交換できる利点がある一方、国債の入札ごとに発行予定額の4%以上の応札が義務づけられています。
日本銀行が1月末にマイナス金利政策の導入を決めた後、債券市場では幅広い年限の国債の利回りがマイナスに転じました。マイナス金利の国債を買い増して満期まで持ち続けると、損失が発生する状況になっています。
国債の主要な買い手である三菱東京UFJ銀行のような日本のメガバンクが、こうした資格を返すとすれば、初めてのことで、その他のメガバンクが追随する可能性もあり、今後国債購入を引き受ける金融機関が減れば、財務省の安定的な国債発行や日本銀行の金融緩和政策にも影響を及ぼす恐れがあると指摘されています。

・ニュースの用語解説

国債市場特別参加者(primary dealer)というのは、国債の大量発行が今後も続く中で、国債の安定的な消化の促進、国債市場の流動性の維持・向上などを図ることを目的に、財務省が、2004年に導入した資格のことです。これは、欧米主要国におけるプライマリー・ディーラー制度を参考にしています。特別参加者の責任としては、全ての国債の入札で、相応な価格で、発行予定額の4%以上の相応の応札をすることが定められています。特別参加者の資格としては、財務省が開催する特別参加者との会合に参加し、財務省と意見交換などを行うことができることになっています。現在、国債市場特別参加者は、22社です。

(c) 日本の社会

・「ニホニウム」元素周期表にー2016.6.8

日本の理化学研究所のチームが発見し、日本が初めて命名権を得た113番元素について、化学に関する国際機関は、名称案を「ニホニウム(Nihonium)」、元素記号案を「Nh」と発表しました。
これは、新元素発見を認定する国債純正・応用化学連合(IUPAC)が6月8日発表したもので、今後5か月間の意見募集を経て正式に決定し、元素周期表に掲載されることになっています。
物質の元になる元素のうち、九州大学の森田浩介教授を中心とする理化学研究所のチームが、12年前に埼玉県和光市にある大型の実験装置を使って人工的に作り出すことに成功した113番目の元素について、この国際機関は、昨年12月正式に元素として認定し、命名権を日本に与えました。これを受けて、理化学研究所のチームは、今年3月名称と元素記号の案を提出していましたが、今回日本の案通り認められたものです。

・ニュースの用語解説

物質の元になる元素は、原子番号1番の水素から、94番のプルトニウムまでが自然界に存在していますが、95番以降は、人工的に作りだされたもので、これまで118番まで報告されています。理化学研究所が作り出した113番元素のほかは、115番元素がロシアのモスクワにちなんだ「モスコビウム」、117番アメリカ・テネシー州にちなんだ「テネシン」118番が超重元素の研究者でロシアのユーリ・オガネシアン氏の名前にちなんだ「オガネソン」になっています。

(d) 国際情勢

・アメリカの大統領選挙 クリントン氏とトランプ氏の対決へー2016.6.8

11月のアメリカ大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官と共和党の不動産王のドナルド・トランプ氏の対決が確実になりました。
これは、これまで行われてきた各州の予備選挙や党員集会で、共和党候補の指名争いでは、トランプ氏が早くも先月初めに勝利をおさめ、民主党候補の指名争いでは、クリントン氏が、6日勝利したためで、各党が7月に行う全国大会で、それぞれ代議員の投票で、その党の大統領候補に指名されることになります。
クリントン氏は、地元ニューヨーク州で演説し、「わえわれは、ついに歴史的な節目に到達した。アメリカの歴史上初めて女性が主要な政党の大統領候補になる」と述べ、勝利を宣言しました。そして、「トランプ氏の激しい気性は大統領にふさわしくない」と述べて、トランプ氏との戦いに強い意欲を示しました。
一方、共和党のトランプ氏も地元のニューヨーク州で演説し、「私は、アメリカの人々のために戦っていく。クリントン氏が大統領になれば、最悪だったオバマ政権の延長となってしまう」と述べ、共和党の候補として、8年ぶりの政権奪還に意欲を示しました。
クリントン氏もトランプ氏も知名度は高いのですが、アメリカ国民の好感度は極めて低く、それぞれの党内の分裂や反発を抱えながら、本選挙にのぞむことになります。
一方、オバマ大統領は、9日、インターネット上の動画で、次期大統領選挙で、クリントン氏を支持することを明らかにしました。

・ニュースの用語解説

アメリカの大統領選挙は、4年に1度行われます。アメリカの大統領選挙では、民主党と共和党が、それぞれ全米50州と首都のワシントンで予備選挙や党員集会を開き、どの大統領候補を支持するかをあらかじめ表明している代議員を選びます。過半数の代議員を確保した候補が7月の党大会でその党の大統領候補に指名され、11月の本選挙まで激しい選挙戦が繰り広げられます。
今年の投票は、11月8日に行われます。有権者は、実質的には、支持する候補者に投票しますが、形式的には、支持する候補者を表明した大統領選挙人を選びます。大統領選挙人は、計538人で、人口に応じて各州に割り当てられています。大半の州では、最多得票の候補者が選挙人全員を獲得する「総取り方式(winner-take-all)」をとっています。過半数の270人以上獲得した候補が大統領に当選することになります。
あとは、形式的なことになりますが、選ばれた大統領選挙人は、12月に各州の州都に集まり、大統領を選ぶ投票を行い、それらの票が、ワシントンの議会に送られ、来年1月に開票され、過半数の270人以上を獲得した候補が、1月20日に大統領に就任します。

クリントン氏とトランプ氏
民主党の大統領候補のクリントン氏は、1947年10月26日生まれ、68歳、学歴は、エール大学法科大学院修了、経歴は、弁護士、ファーストレディー、上院議員、国務長官。アメリカ史上初の女性大統領をねらっています。
共和党の大統領候補のトランプ氏は、1946年6月14日生まれ、69歳、学歴は、ペンシルベニア大学ウォートン校卒、経歴は、不動産開発・運営(ホテル、ゴルフ場、カジノなど)、「アメリカを再び偉大な国にする」と呼びかけ、過激な発言などで“トランプ旋風”を巻き起こしています。


・ペルー大統領選挙でクチンスキー元首相勝利―2016.6.10

ペルーの大統領選挙の決選投票で大接戦の末、ペドロ・クチンスキー元首相が、日系3世でフジモリ元大統領の長女のケイコ・フジモリ氏を破り、勝利を収めました。
ペルーの選挙管理当局が9日発表したところによりますと、開票率100%で、クチンスキー氏が約858万7000票で50.12%、ケイコ・フジモリ氏が約854万6000票で49.88%と、クチンスキー氏が、約4万1000票、0.24%上回っています。
クチンスキー氏は、77歳、エコノミストで、エネルギー鉱山相、経済財政相、首相をつとめ、ペルーの経済をプラス成長に導いたと評価されており、経済界や富裕層を中心に支持を得ていました。
ケイコ・フジモリ氏は、41歳で、大統領選挙は、2011年に続いて2度目の挑戦でした。父アルベルト・フジモリ氏は、1990年から10年間、大統領をつとめましたが、テロ撲滅や経済再建では功績をあげ、特に低所得層に人気がありながらも、人権侵害や汚職のイメージが根強いといわれています。決戦投票の焦点は、フジモリ政権時代の評価に絞られ、クチンスキー氏は、ケイコ・フジモリ氏を父親と重ね合わせて「民主主義への脅威」などと批判し、1回目の投票では、ケイコ・フジモリ氏の半分ほどの得票でしたが、決選投票でかろうじて当選を果たしたものです。ペルーの議会は一院制で130議席のうち、ケイコ・フジモリ氏の党が、73議席を占めているのに対し、クチンスキー氏の党は、18議席で、クチンスキー政権は、議会運営や政策の作成・実施などの面で、難しいかじ取りを迫られるものとみられています。







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