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6.過去1か月の重要なニュースのまとめ(2015.6.13) [6.重要なニュース(2015.6.13)]

*2015.6.13の講座のテキスト*(この講座には、原則として「やさしい英語サロン」で取り上げたニュースは、略しますので、同名のブログをご覧ください)

過去1か月の重要なニュース(2015.5.10~2015.6.12)

・米国防総省、新型輸送機CV22オスプレイ10機を2017年~2021年に横田基地に配備と発表(2015.5.11)
・朝鮮総連議長の次男ら、北朝鮮からのマツタケ不正輸入事件で逮捕、容疑を否認(2015.5.12)
・韓国情報機関、北朝鮮の人民武力相を処刑と国会で報告(2015.5.13)
・政府、安全保障法制の関連法案を閣議決定、安倍首相記者会見(2015.5.14)国会提出(2015.5.15)*
・米中外相会談、北京で、南シナ海問題で平行線(2015.5.16)
・米、シリアに特殊部隊投入、過激派組織「イスラム国」(IS)幹部殺害、妻拘束(2015.5.16)
・過激派組織「イスラム国」(IS)、イラクの主要都市ラマディ制圧(2015.5.17)
・米海兵隊のオスプレイ、ハワイで着陸失敗炎上、1人死亡、21人けが(2015.5.17)
・「大阪都構想」、住民投票で否決、橋下市長、政界引退を表明(2015.5.17)
・辺野古移設反対の沖縄県民大会、3万5000人参加して那覇で開催(2015.5.17)
・浅田真央選手、現役続行発表(2015.5.18)
・自動車部品大手のタカタ、エアバッグの欠陥認め、全米で約3400万台リコール(回収・無償修  理)ー米運輸省発表ー、米国市場最大のリコール(2015.5.19)
・原子力規制委、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)「新規制基準」に適合と発表、3例目(2015.5.20)
・1~3月期のGDP=国内総生産速報値、年率で2.4%増、2期連続プラス(2015.5.20)
・日本動物園水族館協会、追い込み漁で捕獲のイルカ入手禁止(2015.5.20)
・過激派組織「イスラム国」(IS)による邦人人質事件で、政府の検証委員会、政府の対応誤りな  いと報告書発表(2015.5.21)
・OECD=経済協力開発機構、所得格差で報告書発表、平均9.6倍、日本は10.7倍(2015.5.21)
・NPT=核拡散防止条約の再検討会議、決裂(2015.5.22)
・安倍首相、太平洋・島サミットで、550億円の支援表明(2015.5.23)
・中国の習近平国家主席、日本の訪中団と会見、「歴史の歪曲許さず」、日中の友好推進強調(2015.5.23)
・中国政府、国防白書発表、南シナ海などで権益防護を強調(2015.5.26)
・安全保障法制関連法案、衆議院で審議入り(2015.5.26)*
・大相撲夏場所で初優勝の照ノ富士(23)モンゴル出身、大関昇進(2015.5.27)
・原子力規制委、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の審査終了、1号機7月、
 2号機9月に再稼働へ(2015.5.27)
・米司法省、FIFA=国際サッカー連盟の副会長2人を含む14人を組織的不正などで起訴(2015.5.27)
・鹿児島県屋久島町口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳(しんだけ)噴火、噴火警戒レベル5で
 全島民137人島外に避難(2015.5.29)
・FIFA=国際サッカー連盟のゼップ・ブラッター会長(79)5選、任期は、2019年までの4年間(2015.5.29)辞意表明(2015.6.2)
・米政府、対キューバ「テロ支援国家」指定を33年ぶりに解除(2015.5.29)
・中国、韓国両政府、FTA=自由貿易協定に調印(2015.6.1)
・日本年金機構、125万件の個人情報流出と発表(2015.6.1)
・中国の長江で456人を乗せた客船転覆、生存者14人(2015.6.1)
・那覇空港で自衛隊のヘリコプターの誤認で民間機2機が絡む事故寸前のトラブル(2015.6.3)
・憲法審査会で3人の参考人の憲法学者全員が、安全保障法制は違憲と発言(2015.6.4)
・韓国でMERS=中東呼吸器症候群コロナウィルスの感染で感染者41人、うち死者4人、隔離1600人 に(2015.6.5)
・厚生労働省、2014年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)1.42で前年を0.01ポ イント下回る、9年ぶりの低下と発表 (2015.6.5)
・安倍首相、2016年の日本での主要国首脳会議(サミット)を三重県志摩市で開催、伊勢志摩サ  ミットと発表(2015.6.5)
・文部科学省、2019年度から全国の中学3年生に英語の新テストを導入と発表(2015.6.5)
・トルコの総選挙で与党過半数割れ、強い大統領制にノー、クルド系政党躍進(2015.6.7)
・G7サミット=先進7か国首脳会議閉幕、安倍首相記者会見(2015.6.8)*
・1~3月実質GDP=国内総生産改定値、年率3.9%増に上方修正(2015.6.8)*
・政府、安保法制違憲指摘に反論見解(2015.6.9)
・東京海上、米保険会社HCCを買収、9400億円で国内の保険会社の海外事業買収としては過去最大(2015.6.10)*
・米、イラク前戦へ増派(2015.6.10)*
・韓国のMERS=中東呼吸器症候群コロナウイルスの感染者138人、死者14人、隔離3400人(2015.6.13)*
・中国の前の最高幹部の周永康氏、収賄罪などで無期懲役の判決(2015.6.11)
・米下院、TPA=貿易促進権限法案、来週再投票へ(2015.6.12)*

(a)日本の政治・外交・防衛

・安保法制、衆議院で論戦(2015.5.15~)

政府は、5月15日、安全保障法制の関連法案を国会に提出しました。政府は、すでに14日閣議決定しており、この問題の焦点は、後半国会の論戦に移りました。
これらの法案は、集団的自衛権の行使などを盛り込んだ安全保障法制の関連法案で、これによって、戦後日本の安全保障政策は、大きな転換点を迎え、自衛隊の活動範囲は海外に拡大することになります。
関連法案は、自衛隊法など既存の法律10本の改正案をひとくくりにした「平和安全法制整備法案」と多国籍軍への後方支援を随時可能にする新たな恒久法の「国際平和支援法」の2本立てです。
関連法案は、焦点の集団的自衛権の行使については、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃により、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を「存立危機事態」と位置づけ、他に適当な手段がない場合に限り、自衛隊が武力行使できるようにすると定めています。
また、日本の平和と安全に影響を与える事態を「重要影響事態」と位置づけ、周辺事態法を改正して「重要影響事態法」とし、その際に行うアメリカ軍などの外国軍隊への後方支援には地理的な制約がないことを明確にするとしています。
一方、国際社会の平和と安全を脅かす事態に対処する外国軍隊への後方支援は、これまでのようにそのつど特別措置法を制定しなくても対応できるように「国際平和支援法」という新法を恒久法として定めています。
そして、新法に基づいて自衛隊を派遣する際には、例外なく国会での事前承認を義務づけ、首相が国会に承認を求めてから衆参両院はそれぞれ7日以内に議決するようつとめなければならないとしています。
政府は、また、武力攻撃に至らない、いわゆる「グレーゾーン事態」に迅速に対応するため、自衛隊出動の承認を電話での閣議で可能にすることにしました。この対象となるのは、武装集団による離島上陸、日本領海で国際法に抵触する外国軍艦の航行、公海上での日本籍の民間船舶に対する侵害行為の3つのケースです。
政府・与党としては、安全保障法制の関連法案については、6月24日までの国会の会期を大幅に延長しても今の国会での成立を目指す方針で、後半国会の最大の焦点になるものとみられています。

安倍首相は、閣議後の記者会見で、安全保障の法整備によって、日米同盟の抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくと強調するとともに、アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対にありえないと述べ、法整備に理解を求めました。

一方、戦後日本の安全保障政策の大きな転換となる安全法制の関連法案に反対する人たちが、東京の首相官邸前で抗議集会を開きました。
この抗議集会には、主催者の発表でおよそ500人が参加し、「戦争ができる法律はいらない」とか「憲法9条を守れ」などと訴えていました。

・ニュースの用語解説

・集団的自衛権の行使容認

政府は、2014年7月1日臨時閣議を開き、自分の国が攻撃されていなくても密接な関係にある国への攻撃を阻止する集団的自衛権の行使を認めるため、憲法解釈の変更を決定しました。これは、1954年の自衛隊発足以来、専守防衛を基本方針としてきた日本の安全保障政策を大きく変えるものです。
国連憲章第51条は、個別的自衛権と集団的自衛権の両方を認めています。個別的自衛権というのは、ある国家がほかの国家から武力による攻撃を受けた場合に自らを防衛する権利のことです。集団的自衛権というのは、ある国家が武力による攻撃を受けた場合、その国と同盟国が共同で防衛にあたる権利のことです。
これまで、日本政府は、日本の場合は、個別的自衛権の行使は認められているが、集団的自衛権については、法律上では、認められているが、その行使は、国の交戦権は認めないという憲法第9条の下では、認められないという見解をとってきました。この見解は、1981年の政府答弁書に記されて以来、30年以上にわたって堅持されてきました。
しかし、2014年7月の閣議決定で、政府は、日本を取り巻く安全保障の環境が変化し続けている状況を踏まえれば、今後、ほかの国に対する武力攻撃であっても、その目的や規模、態様などによっては、日本の存立を脅かすことも現実に起こり得るとして、武力行使が必要だとしました。
そのうえで、政府は、武力行使の新たな3要件に基づき、「日本と密接な関係にあるほかの国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、必要最小限度の実力を行使するのは、自衛の措置として憲法上許容されると判断するに至った」として、これまでの憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認するとしました。

・安全保障法制の関連法案

 1. 国際平和支援法案(新法)
 2. 平和安全法制整備法案(現行10法を改正する一括法)
 ①自衛隊法改正案ー在外邦人の救出や米艦防護可能に
 ②国連平和維持活動(PKO)協力法改正案ーPKO以外にも自衛隊による海外での復興支援活動を可  能に
 ③周辺事態法→重要影響事態法案ー日本のために活動する米軍や他国軍を地球規模で支援
 ④船舶検査法改正案ー重要影響事態で日本周辺以外での船舶検査可能に
 ⑤武力攻撃事態法改正案→武力攻撃・存立危機事態法ー集団的自衛権の行使要件を明記
 ⑥米軍行動円滑化法→米軍等行動円滑化法案ー存立危機事態での米軍や他国軍への役務提供を追  加
 ⑦特定公共施設利用法改正案ー武力攻撃事態で米軍以外の他国軍も港湾や飛行場などを利用可能  に
 ⑧海上輸送規制法改正案ー存立危機事態での外国軍用品の海上輸送規制を追加
 ⑨捕虜取り扱い法改正案ー存立危機事態での捕虜の取り扱いを追加
 ⑩国家安全保障会議(NSC)設置法改正案ーNSCの審議事項に存立危機事態などへの対処を追加


(b)日本の経済・貿易

・1~3月実質GDP=国内総生産改定値、3.9%増に上方修正(2015.6.8)

今年1月から3月までのGDP=国内総生産の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で、年率に換算してプラス3.9%となり、速報値のプラス2.4%より大幅に上方修正されました。
プラス成長は、2四半期連続のことです。
内閣府が8日発表したところによりますと、今年1月から3月までのGDP=国内総生産の改定値は、物価変動の影響を除いた実質の伸び率で、前の3か月に比べてプラス1.0%となりました。これを年率に換算しますと、プラス3.9%となり、先月発表された速報値のプラス2.4%から大幅に上方修正されました。
これは、企業の設備投資が卸売業、小売業、サービス業などで拡大し、速報値のプラス0.4%からプラス2.7%に上方修正されたことなどによるものです。
内閣府では、「設備投資が増えてきたのは、景気にとって良い流れだ」とみています。

・ニュースの用語解説

GDP(=Gross Domestic Product)は、国内総生産のことで、その国の経済力を示す指標になっています。GDPは、一定期間に国内で作りだされたモノやサービスの付加価値の合計額のことで、その増減率が経済成長率と呼ばれています。
GDP改定値というのは、GDPの速報値発表からおよそ1か月後に、法人企業統計などの結果を反映して数値を修正した統計で、設備投資や公共投資などが見直され、GDP全体が大きく修正されたり、過去にさかのぼって数値が変わったりする場合があります。

・東京海上、米保険会社HCCを買収(2015.6.10)

東京海上ホールディングスは、10日、アメリカの保険会社HCCインシュアランス・ホールディングスを買収すると発表しました。
買収額は、約75億ドル(約9400億円)に上り、国内の保険会社による海外事業の買収としては過去最大だということです。
東京海上は、HCC社の全株式を取得し、年内に買収を完了する予定です。
HCC社は、アメリカのテキサス州ヒュ-ストンに本拠を置き、売上高にあたる収入保険料は、2014年約30億ドル(約3750億円)で、アメリカやイギリス、スペインなどで事業を展開し、会社役員賠償責任保険や航空保険、農業保険など「スペシャルティー保険」と呼ばれる専門性の高い保険を100種類以上販売しています。東京海上が扱っている商品と重複が少ないことから、買収による相乗効果が高いと判断したためとみられています。
東京海上は、今回の買収で、全体の利益に占める海外事業の割合は、38%から46%に増える見込みだということです。

・ニュースの用語解説

東京海上は、各社に先駆けて、海外保険会社の大型買収を手掛けてきました。2008年アメリカのフィラデルフィアを4987億円で買収、2011年アメリカのデルファイを2050億円で買収、そして今回のアメリカのHCCを9400億円で買収するなどです。
この背景には、ここ数年雪害や風水害などの被害に伴う保険金の支払い、若者の車離れと高齢者の事故増で自動車保険の収支悪化などで国内市場の縮小し、海外展開が加速している現象があります。

(c)日本の社会

・ニュースの用語解説

(d)国際情勢

・G7サミット=先進7か国首脳会議閉幕、安倍首相記者会見(2015.6.8)

ドイツ南部のエルマウで開かれていたG7サミット=先進7か国首脳会議は、8日、2日間の討議を終え、中国やロシアを念頭に、力による領土の現状変更の試みを批判する首脳宣言を採択して閉幕しました。
サミットには、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、それに日本の首脳が出席して開かれていたもので、最終日に発表された首脳宣言は、中国を名指しすることは避けながらも、東シナ海や南シナ海での緊張に懸念を表明し、「大規模な埋め立てを含む、現状の変更を試みるいかなる一方的な行動にも強く反対する」と述べています。
また、ウクライナ情勢については、首脳宣言は、「ロシアによるクリミヤ半島の違法な併合への非難、ウクライナ東部における紛争の外交的解決を見出す努力への完全な支持を改めて表明する」としたうえで、「すべての当事者に停戦および重火器の撤去の完全な尊重と履行を改めて呼びかける」としています。
そして、ロシアに対する制裁について、ウクライナ危機をめぐる停戦合意の完全履行がない限り、制裁は継続する方針を示しました。
首脳宣言は、地球温暖化対策について、世界全体の温室効果ガスを2050年までに2010年に比べて40%から70%削減するという努力目標を掲げています。

安倍首相は、サミット終了後記者会見し、来年三重県で開かれるサミットについて、「議長国として、サミット参加国が世界の課題に対応していくうえで結束が必要であることを主張し、議論をリードしていきたい」と述べました。
来年のサミットにロシアの参加を求めるかどうかについて、「ウクライナ情勢の現状に鑑みると、現時点ではロシアを含めたG8で意味のある議論を行えるとは考え難い。しかし同時にシリアの問題、イランの核開発の問題、北朝鮮の問題などについて、ロシアの建設的な関与も必要だという認識は、今回のサミットでも多くの首脳が共有していた」と述べました。
安倍首相は、「私は、プーチン大統領との対話を続けていく考えだ」と述べ、「北方領土問題を前進させるため、プーチン大統領の日本訪問を年内の適切な時期に実現したいという考えを示しました。

・ニュースの用語解説

主要国首脳会議(サミット)は、G7(Group of Seven)またはG8(Group of Eight)のことで、G7は、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本が参加国、G8は、G7+ロシアが参加国。
第1回は、1975年、石油危機後の不況やインフレに対応するため、フランスのジスカール・デスタン大統領の呼びかけで、パリ郊外のランブイエ城で、開かれました。この時の参加国は、フランス、アメリカ、イギリス、西ドイツ(現ドイツ)、イタリア、日本の6か国。翌1976年の第2回からカナダが参加。EU=欧州連合(旧EC=欧州共同体)が、1977年の第3回オブザーバー参加、翌1978年の第4回から正式参加。ロシアは、1994年の第20回から政治参加、1997年第23回から経済協議を除く議論に参加、2003年の第29回から全ての日程に参加。
2014年開催予定地はロシア南部のソチでしたが、ロシアがウクライナ南部のクリミアを編入したため、ロシアへの制裁として先進7か国(G7)が3月オランダのハーグで緊急首脳会議を開き、ソチの首脳会議をボイコットし、ロシアの8か国首脳会議(G8)への参加停止を決めました。今回のドイツでの首脳会議も、ロシアの参加は停止されたままで、先進7か国(G7)だけで開かれました。

・米下院、TPA=貿易促進権限法案、来週再投票へ(2015.6.12)

TPP=環太平洋経済連携協定の交渉妥結に不可欠とされる、アメリカ政府に強力な交渉権限を与えるTPA=貿易促進権限法案の採決が、12日アメリカ議会の下院本会議で行われ、法案は賛成多数で可決されましたが、併せて可決する必要のあった関連法案が否決され、来週再投票が行われることになりました。
TPA法案は、先月上院で可決されていて、下院も12日賛成219票、反対211票で可決されました。しかし、併せて審議されていた,TPPなど自由貿易の影響で失業した人たちなどを支援する関連法案が、賛成126票、反対302票で否決されました。与党の民主党の多くの議員が審議が不十分だとして反対したため否決されたものです。
2つの法案は、セットで併せて可決する必要があったため、来週改めて再投票を行うことになりました。
これらの法案をめぐっては、下院では、与党の民主党の多くの議員は、TPPで国内の雇用が失われかねないとして反対し、多数を握りTPPに積極的な野党の共和党も、一部議員がオバマ大統領に強大な権限を与えることに反発していました。
オバマ大統領は、今後も与党の議員らに協力を呼びかけることにしており、アメリカだけでなくTPPの他の参加国も、TPP交渉の今後の行方に影響を与えるアメリカ議会の動向に注目しています。

・ニュースの用語解説

TPP=Trans-Pacific Partnership (Agreement)は、環太平洋経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定のことです。シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4か国で2006年に発効した貿易協定で、2010年アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムを加え、8か国で交渉開始、
マレーシアが交渉参加で9か国に、2012年メキシコ、カナダが交渉参加で11か国、2013年日本が交渉参加で、合わせて12か国になりました。
交渉は、モノやサービスのやりとりを自由化することを原則に、貿易だけでなく、特許など知的財産権の保護や投資などについての共通のルール作りをめざしています。
中でも、経済規模の大きなアメリカと日本の2国間交渉が注目されており、互いの市場開放について歩みよれば、参加国全体の大筋合意に弾みがつくとされています。しかし、牛肉、豚肉、コメ等の農産物、自動車などの問題をめぐって対立が伝えられています。
全体の交渉が妥結すれば、GDP=国内総生産の合計は、世界の4割近くになります。

・TPA=Trade Promotion Authorityは、貿易促進権限というのは、アメリカ議会が政府に与える強力な交渉権限のことで、アメリカでは、外国とTPPなどの通商交渉を進める権限は、議会が握っていますが、大統領に大幅な権限を与えることで、迅速な交渉を可能にするのがねらいです。
権限があたえられると、アメリカ政府と外国政府の間で合意した協定の具体的な内容を議会があとから覆して、変更を迫ることが制限されます。
今回のTPP交渉で、参加各国は、アメリカ政府がこの権限をもたないうちは妥結を目指した思い切った協議に臨むことができないとして、アメリカに速やかな法案可決を求めてきました。

・韓国でMERS=中東呼吸器症候群コロナウイルスの感染拡大(2015.6.13)

韓国でMERS=中東呼吸器症候群コロナウイルスの感染者が130人を越え、これに対応するため、パク・クネ大統領は予定していたアメリカ訪問を延期しました。
韓国の保健福祉省が13日発表したところによりますと、重い肺炎などを引き起こすMERSコロナウイルスの感染が最初に確認されてから3週間あまりで、感染者は、これまでで138人になり、このうち14人が死亡しています。
そして、感染者に接触した人など、これまで合わせておよそ3400人が自宅や医療機関に隔離されているということです。
韓国大統領府は、10日、パク・クネ大統領は、感染拡大への対応のため、14日から18日まで予定していたアメリカ訪問を延期したと発表しました。

・ニュースの用語解説

中東呼吸器症候群=MERS(=the Middle East Respiratory Syndrome)コロナウイルスによる感染症は、2012年に初めて確認され、サウジアラビアなど中東で広がった感染症です。せきやくしゃみなどを通じて感染し、感染すると2~14日程度で、発熱やせきなどの症状が出ます。重い肺炎など重症化しやすいといわれ、特に糖尿病などの持病がある人は重症化する傾向があるといわれています。ワクチンや治療薬はありません。ヒトコブラクダが感染源とみられています。
今回韓国では、先月サウジアラビアなどに滞在して帰国した男性が感染したことが確認され、この男性と接触した人の間で広がりました。感染した場所は医療機関内部だといわれています。

・米、イラク前戦へ増派(2015.6.10)

イラクで、過激派組織「IS=イスラム国」が先月制圧した中西部の主要都市ラマディを奪還するため、アメリカは、イラク政府の治安部隊の訓練を強化する目的で、アメリカ軍450人を追加派遣することになりました。
これは、ホワイトハウスが10日発表したもので、戦闘には従事しないということです。
ラマディは、イラクのアンバル州の州都で、首都バグダッドの西およそ100キロのところにあり、アメリカ軍が追加派遣されるのは、タカダム基地で、ラマディからおよそ35キロのところに位置しています。タカダム基地は、アメリカ軍の拠点で、この追加派遣によって、イラクのアメリカ軍は、3550人になります。
アメリカ軍とイラク政府軍は、これまで「IS=イスラム国」が1年前に制圧した北部の大都市モスルを当面の奪還目標にしていましたが、これによって、目標をモスルからラマディに変え、戦略の修正を余儀なくされた形になりました。

・ニュースの用語解説

ラマディは、イラクのアンバル州の州都で、首都バグダッドの西方およそ100キロにあり、国のほぼ中央に位置する戦略上の要所。アンバル州は、イラク最大の州で、中西部の砂漠地帯に広がり、シリア、ヨルダン、サウジアラビアと国境を接しています。アンバル州は、過激派組織「IS=イスラム国」の勢力が強い地域で、「IS=イスラム国」は、5月17日インターネットを通じて声明を発表し、ラマディ全域の制圧を宣言しました。

アメリカ国防総省は、今回のイラクへの増派について、アメリカ軍は、これまでの任務を変更するものではないと述べて、空爆作戦とイラク治安部隊への訓練に限ってきた従来の方針は堅持すると強調しています。アメリカ軍は、これまでイラク国内の4か所の訓練施設で合わせて9000人のイラクの治安部隊を訓練してきているということです。




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