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11.時事問題の基礎入門講座(2015.11.14の講座のテキスト) [2015.11.14の講座のテキスト]

時事問題の基礎入門講座(2015.11.14の講座のテキスト)-今回から内容を変え、直近のニュースを扱うことにしましたー

ニュース速報

1)パリで同時多発テロ(パリ発共同通信電子版)
2)国際陸連、ロシア陸連の国際大会参加禁止(ジュネーブ発日経電子版)

(a) 日本の政治・外交・防衛

・日米首脳会談、19日にマニラで(2015.11.13)

ホワイトハウスの高官が12日明らかにしたところによりますと、オバマ大統領と安倍首相の日米首脳会談が19日フィリピンで開かれることになりました。
両首脳は、APEC=アジア太平洋経済協力会議に出席するため、フィリピンを訪れるもので、南シナ海の問題などについて話し合うことにしています。
オバマ大統領は、南シナ海で中国が主権を主張する人工島の周辺にアメリカ軍のイージス艦を派遣したことを説明し、航行の自由を確保して問題を平和的に解決することの重要性を確認するものとみられます。これに対して、安倍首相は、アメリカの立場を支持するものとみられます。
ホワイトハウスの高官は、また、18日フィリピンでTPP=環太平洋経済連携協定の首脳会合が開かれることを明らかにし、首脳会合は、TPPの発効に向けて各国が手続きを進める方針を確認するという見通しを示しました。

・日中韓首脳会談、日韓首脳会談、ソウルで開催(2015.11.1~2)

日本、中国、韓国の3か国の首脳会談は、1日韓国の首都ソウルで開かれ、首脳会談の定期的開催と来年日本で開催することで一致するとともに、日中韓3か国のFTA=自由貿易協定の締結に向けた交渉を加速していくことでも合意しました。
これは、日本の安倍晋三首相、中国の李克強首相、韓国のパク・クネ大統領による3か国首脳会談が、およそ3年半ぶりに行われた後発表された共同宣言で明らかにされたもので、日中韓3か国の協力に関し、「歴史を直視し、未来に向かって進む精神」で、地域の安全と平和に向けて協力していくことで一致しました。

翌2日、ソウルで、安倍首相とパク大統領は、初めての首脳会談を行い、最大の懸案である旧日本軍による従軍慰安婦の問題について、外交当局間の局長級の協議を加速し、早期解決を目指すことで一致しました。
日韓首脳会談が行われたのは、2012年5月以来、およそ3年半ぶりで、安倍首相、パク大統領にとって、ともに就任以来初めての正式の首脳会談になりました。
両首脳は、また、経済、安全保障の面でも協力を強化する方針も確認しました。

・ニュースの用語解説

日中韓首脳会談は、日本、中国、韓国の3か国が開催する首脳会談で、政治、経済、人的交流などを話し合う場として位置づけられ、出席者は、日本は首相、韓国は大統領、中国は、政策実務を扱うとみて国家主席に次ぐ首相が参加しています。
1999年当時の小渕恵三首相が働きかけ、東南アジア諸国連合と日中韓(ASEAN+3)首脳会議に合わせる形で始まり、2008年からは、ASEANとは別に3か国持ち回りで毎年開催されています。しかし、日中韓首脳会談は、日中、日韓関係が悪化し、2012年5月に北京で開かれて以来、開かれていませんでした。今回は、アメリカからの強い働きかけもあって、およそ3年半ぶりに開かれたものです。
現在日中、日韓関係には、いろいろな懸案があります。
日中関係では、東シナ海の問題があり、その中には、尖閣諸島(中国名で釣魚島)をめぐる領有権争い、中国の公船による領海侵入、自衛隊と中国軍の不測の事態を防ぐための海空連絡メカニズムの構築、東シナ海のガス田の共同開発に関する交渉再開などの問題があります。
日韓関係では、旧日本軍による従軍慰安婦問題が最大の懸案で、このほかに、竹島(韓国名で独島)をめぐる領有権争い、産経新聞前ソウル支局長が、記事でパク大統領の名誉を傷つけたとして韓国検察が懲役1年6か月を求刑した裁判をめぐる問題などがあります。

従軍軍慰安婦というのは、第2次世界大戦中に、日本軍によって、中国、フィリピン、ビルマ、マレーシアなどの占領地域に慰安所が設置され、日本人女性のほかに、朝鮮や台湾、さらに現地の女性が慰安婦として動員され、軍人・軍属の性の相手をさせられた女性たちのことです。
1991年に韓国の元従軍慰安婦の女性が、戦後50年近くにわたる沈黙を破って名乗り出て、補償と謝罪の要求を提起したことで、従軍慰安婦問題が、広く知れ渡るようになりました。
1992年宮澤喜一首相が、日韓首脳会談で公式に謝罪し、1993年に河野洋平内閣官房長官が、慰安婦について、「募集、移送、管理なども、甘言、強圧によるなど、総じて本人たちの意思に反して行われた。お詫びと反省の気持ちを申し上げる」との談話を発表しました。
1995年村山富市政権による「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)が発足し、1997年から元慰安婦61人に日本国民からの募金による「償い金」と政府からの医療福祉支援金が渡され、それに首相のお詫びの手紙が添えられていました。しかし、韓国の支援組織は、日本政府に法的責任の認定と国家賠償を要求し続け、韓国政府も同調したため、この問題はいまだに解決していません。
従軍慰安婦問題については、日本側は、早期の妥結をめざして交渉を加速するとしていますが、韓国側は、今年中にこの問題の妥結を要求しています。また、日本側が、1965年の日韓国交正常化の際の請求権協定で完全かつ最終的に解決済みとしているのに対し、韓国側は、請求権協定の対象外であり、未解決だと主張しています。さらに、日本側が、今後何らかの打開策をまとめる場合、韓国政府は、二度と蒸し返さない確約を求めているのに対して、韓国側は、被害者が受け入れ、韓国国民が納得できる解決策をと要求しています。

・政府・与党、臨時国会見送り決定(2015.11.12)

政府・与党は、12日、野党が内閣改造後開会を求めていた臨時国会の召集を見送ることを決めました。
これは、安倍首相の外交日程がたて込んでいることなどを考慮して決めたもので、10日と11日に開かれた衆参両院の予算委員会での閉会中審査で,TPP=環太平洋経済連携協定交渉など国政に関するさまざまな問題について、野党の質問に十分の答えたと判断したためです。
臨時国会が開かれないのは、2005年以来10年ぶりのことです。
政府・与党は、臨時国会の召集を見送る代わりに、通常国会の開会を速めて1月4日の召集を検討しています。

・ニュースの用語解説

閉会中審査というには、国会の閉会中に行う委員会での質疑のことで、国会で継続審議となった法案審査のほか、それぞれの委員会が担当する分野で、調査や政府の見解をただすことが必要となった場合に開くことが多い。今回は、10月のTPP=環太平洋経済連携協定の大筋合意を受けて、与野党が衆参両院の予算委員会を1日ずつ開くことで合意しました。
TPPに加えて、国政のさまざまな課題がテーマになりました。

(b) 日本の経済・貿易

・国産初のジェット旅客機MRJ、初飛行成功(2011.11.11)・

国産初のジェット旅客機MRJが、11日初飛行に成功しました。
MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)は、2008年から三菱重工業の子会社の三菱航空機が開発を進めている国産の小型ジェット旅客機で、国産旅客機の開発は、1962年に初飛行したプロペラ機YS11以来、半世紀ぶりのことです。
飛行試験は、自衛隊機など3機を伴って、1時間半にわたって、名古屋空港と遠州灘を往復し、上昇や下降、左右への旋回といった基本的な性能を確認し、成功だったということです。
今回のデータなどから問題がなければ、本格的な飛行試験に移ることになり、実用化に向けて大きく前進することになります。
今のところ、航空会社への納入は、2017年春に始める計画です。

・ニュースの用語解説

MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)は、座席数が約70席と約90席の機種があります。今回飛行したのは、約90席のタイプのMRJ90です。これは、カタログ価格が4730万ドル(約58億円)、巡行速度マッハ0.78、航続距離は最長タイプで3770キロ、全長は35.8メートルでジャンボ機の約半分です。
現在のMRJの受注状況は、全日本空輸を含む日米などの6社から合計400機で、今後は、北米やヨーロッパを中心に売り込んでいく計画です。
現在、3000億円近くに上る開発費用は、一部を政府が負担、開発主体の三菱航空機には、三菱重工業だけでなく、トヨタ自動車や政府系の日本政策投資銀行も出資しています。
官民をあげてMRJに取り組んでいる背景には、航空機づくりを次世代の産業の柱に育てるねらいがあるといわれています。

(c) 日本の社会

(d) 国際情勢

・ミャンマーの総選挙で、野党大勝、政権交代へ(2015.11.13)

ミャンマーの総選挙で、アウン・サン・スー・チー氏率いる野党のNLD=国民民主連盟が議会で過半数を占めたことが明らかになり、軍事政権が半世紀以上続いてきたミャンマーで、民主化を求めてきたNLD中心の政権が誕生する見通しです。
8日に投開票が行われた総選挙では、議会上下両院の定数664議席のうち、選挙によらない25%の軍人枠の166議席を除く、民選枠の498議席が小選挙区制で争われました。
選挙管理委員会の公式発表によりますと、13日までに468議席が確定し、NLDが378議席を獲得し、過半数の333議席を上回りました。軍事政権が作った与党のUSDP=連邦団結発展党は、40議席にとどまっています。テイン・セイン大統領とミン・アウン・フライン国軍総司令官は、すでにNLDの勝利を認めており、選挙結果確定後、アウン・サン・スー・チー氏が呼び掛けた会談に応じる方針を明らかにしています。
アウン・サン・スー・チー氏の率いる新しい政権は、テイン・セイン氏の5年の任期が満了する来年3月末にも発足する見通しです。

・ニュースの用語解説

1948年イギリス連邦から離脱してビルマ連邦として独立しました。しかし、反政府運動も激しく、1962年軍政になり、一時民政となりましたが、1988年から反政府運動が激化、「ビルマ建国の父」といわれているアウン・サンの娘アウン・サン・スー・チーを指導者とする民主化運動が支持を広げました。同年軍部が政権を奪取し、翌年、国名をミャンマーと改称、首都ラングーンをヤンゴンと改めました。スーチー率いるNLD=国民民主連盟は、1990年の総選挙で圧勝しましたが、軍事政権は、政権移譲に応じず、1989年からスー・チーの自宅軟禁を繰り返しました。2005年軍事政権は、首都をネーピードーに移しました。2010年NLDを解党処分にしたまま総選挙を強行したのちスー・チーを自宅軟禁から解放しました。2011年民政に移管し、2012年下院補欠選挙でNLDも参加して大勝、スー・チーも当選して政治活動を再開しました。
テイン・セイン大統領は、この間、2010年軍籍を離脱し、軍翼賛団体のUSDP=連邦団結発展党を結成しました。2011年から政治改革に着手、政治犯の部分的釈放、メディア検閲の緩和などに取り組んだほか、スー・チーとも会談し、国家発展に協力することで合意しました。こうした動きを西側諸国は歓迎し、ミャンマー開放への動きを確定的にしました。2013年には、アメリカをはじめ、西側主要国を訪問、ミャンマーをいっきに外国企業にも注目される国へと変え、経済成長への道筋をつけることになりました。

・初の中台首脳会談、シンガポールで開催(2015.11.7)

中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が、1949年の中台分断後初めてとなる首脳会談を7日シンガポールで開き、「中国大陸と台湾がともに1つの中国に属する」という考え方のもとに、中台関係の平和的な発展が重要であることを確認しました。
会談の冒頭、習主席は、「中台関係の歴史的な1ページを開いた」と述べて、歴史的意義を強調し、「平和の道を歩み、正しい発展の方向性を確保し、交流を深めて、中華民族の復興を図ることを願っている」と述べました。
これに対して、馬総統は、中台間で経済や人的交流が進んでいることを指摘したうえで、「中台関係は、過去66年間で最も平和的な状態にある。双方は、敵対関係を弱め、平和的な方法で争いを解決していくべきだ」と述べました。
中国政府当局者によりますと、習主席は、この会談で、「中台関係の平和的発展にとって最大の脅威は、台湾独立を訴える勢力が行う分裂活動だ」と述べたということですが、この発言は、来年1月の台湾総統選挙で優勢が伝えられている最大野党の民進党の候補が、「中国大陸と台湾は、ともに1つの中国に属する」という考え方に反対していることなどを念頭に、そうした動きをけん制したものとみられます。
一方、台湾の台北では、7日、中台首脳会談に抗議する集会やデモが行われました。参加者は、「ひとつの台湾、ひとつの中国」と書かれたプラカードや「台湾独立」を目指す横断幕を掲げていました。

・ニュースの用語解説

北京の中華人民共和国政府は、外国と国交を正常化する(外交関係を樹立する)にあたって、「台湾は中国の一部であり、中華人民共和国政府は、中国を代表する唯一の合法政権である」ことを主張し、相手国はこれを認めるか、理解を示して、台湾の中華民国政府と外交関係を断絶してきました。アメリカ、日本など北京の中華人民共和国政府と外交関係を樹立した国は、すべてこのやり方に従ってきました。
また、中国は、香港がイギリスから、マカオがポルトガルから返還されるときは、「1国2制度」といって、1つの国家に社会主義と資本主義の2つの制度が共存する形をとり、香港とマカオは、中国の特別行政区といっています。
一方、台湾では、中国寄りの国民党と台湾独立志向の強い民進党が対立しています。現在の総統(大統領にあたる)は、国民党の馬英九氏で、2008年に就任し、2000年から2008年まで続いた民進党政権の政策を見直し、中台関係は、悪化の状態から改善へ転換していきました。中台対話再開の合意、中台間の「三通」(通信、通商、通航の直接開放)の本格実施、さらに中台のFTA=自由貿易協定にあたる「ECFA=経済協力枠組み協定」の調印など、中台関係は、大幅に改善していきました。2012年馬英九総統は、民進党の蔡英文主席らを下して再選、立法院選挙でも国民党が過半数を制しました。
2013年中台は、人民元建て直接決済システムを始動、「サービス貿易協定」に調印しました。
しかし、2014年中台間ですでに取り決められたECFAに基づいて締結されたサービス貿易協定の批准をめぐって、強行採決を目論む馬英九政権に抗議して、数百人の学生が立法院の本会議場にバリケードを築きました。学生たちは、協定は「台湾に不利」として撤回を求めました。こうした学生の活動を支持し政権を批判する数十万人規模のデモが台北市中心部で行われました。その後、学生たちは、協定の差し戻しと内容の逐条審議などを要求、これらの要求を勝ち取り、立法院長の説得を受け入れ、撤退しました。こうした動きによって、台湾では、中国との一体化を推し進めようとする馬英九政権への警戒心が根強いことが明らかになり、来年1月に予定されている総統選挙が注目されています。

タグ:時事問題
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