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4. 国際情勢 ③ヨーロッパ、中東、アフリカ [国際情勢]

*2014.11.8の講座のテキスト*

4. 国際情勢

③ヨーロッパ、中東、アフリカ

・EU

ヨーロッパは、第1次と第2次世界大戦の2回の大規模な戦争によって数千人の市民や兵士が亡くなり、国土は荒廃しました。そこからヨーロッパの再建をめざす「ヨーロッパ連合」の思想が芽生え、実現に向かいました。1951年フランス、西ドイツ(現ドイツ)、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの6か国が石炭・鉄鋼生産を共通の管理下に置くヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立の条約に調印、52年発効、ヨーロッパ統合への第1歩となりました。57年ヨーロッパ経済共同体(EEC)とヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)を設立する条約に調印、58年発効、67年これらの3つの機関の執行機関が統合され、ヨーロッパ共同体(EC)が誕生しました。
1989年冷戦が終結し、東ヨーロッパ諸国が加盟していき、ヨーロッパ統合が加速し、1992年ヨーロッパ連合条約が調印、93年発効、ヨーロッパ連合(EU)が発足しました。
EUは、加盟国が国家主権の一部を移譲し、①経済通貨統合②共通外交・安全保障③司法・内務協力の3つの政策を柱とするとしています。
1993年EUは、単一市場が発足、99年ヨーロッパ経済通貨同盟(EMU)が発足し、ヨーロッパ単一通貨ユーロ(EURO)が導入されました。2002年ユーロ紙幣・通貨の流通を始めました。
現在EUの加盟国は、28か国、ユーロ圏、つまり通貨統合参加国は、18か国です。


2014年5月EUのヨーロッパ議会の選挙が行われ、全体では中道右派が最大勢力を維持したものの、反ユーロや反移民を掲げるEU懐疑派が躍進しました。フランスでは、極右政党で移民の受け入れやヨーロッパ統合に反対する国民戦線(FN)が首位になり、イギリスでも反EUを掲げるイギリス独立党(UKIP)は首位になり、さらにデンマークでも移民受け入れに反対するデンマーク国民党が首位になりました。ヨーロッパ議会では、こうしたEU懐疑派が2割を超える状況になりました。
この背景には、EU全体で10%に高止まりしている失業率を受け、主要会派は、雇用問題を最優先課題に掲げましたが、有効な手立てを講じられてこなかったことがあげられます。
2014年6月EU首脳会議は、EUの行政府であるヨーロッパ委員会の次期委員長にルクセンブルグのユンケル前首相を指名しました。ユンケル氏は、多くの首脳から支持を得ていましたが、イギリスのキャメロン首相だけが強く反対していました。この人事が、国内で反EUの政党が勢いを増しているイギリスとEUの亀裂を深めています。キャメロン首相は、EUに残留するかどうかを問う国民投票を2017年末までに実施する考えです。

・中東

中東は、イラン、イラク、トルコ、シリア、キプロス、レバノン、イスラエル、ヨルダン、クウェート、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、イエメンの地域を指しますが、アラブ世界といった場合は、これらの国々に、北アフリカのエジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコを含めたものです。
中東は、世界の石油の確認埋蔵量のほぼ半分を占めています。資源の供給地域として最大の影響力を持つ中東が混乱に陥れば、原油や天然ガスの生産が滞り、世界経済に不安を投げかけます。過去にも中東情勢は、何度も世界経済に深刻な爪跡を残してきました。1973年のイスラエルとアラブ諸国による第4次中東戦争は石油危機の引き金ととなり、1979年のイラン革命も原油高騰を招きました。1990年のイラクによるクウェート侵攻や91年に始まった湾岸戦争も原油市場をたびたび揺さぶりました。
2010年~11年中東での民主化を求める動き、いわゆるアラブ春が広がりました。まず2010年12月チュニジアでの民主化要求デモがきっかけになり、2011年2月エジプトのムバラク政権が崩壊し、同年8月リビアの首都トリポリが反体制派に制圧され、カダフィ政権が崩壊しました。しかし、シリアでは、アサド政権は、強権姿勢を続け、混乱が収まっていません。また、ほかのアラブ諸国でも混乱が続き、民主化が実現したという事態にはなっていません。
2014年中東情勢が緊迫しました。6月イラクとシリアで勢力を拡大しているイスラム教スンニ派の過激派武装組織「イスラム国」が建国を一方的に宣言しました。9月アメリカは、「イスラム国」に対する空爆をイラクからシリアに拡大しました。
アメリカ政府によりますと、欧米などおよそ80か国から1万5000人以上の若者らが「イスラム国」の戦闘員として参加しているとみられています。
イスラエルとパレスチナ紛争でも、2014年7月イスラエル軍がイスラム原理主義組織「ハマス」が実効支配するパレスチ自治区ガザで地上作戦を展開し、多数の死傷者をだしました。
パレスチナの内部は、ヨルダン川西岸を拠点とする自治政府の主流派組織「ファタハ」とガザ地区で力を持つハマスが長年対立を続けながらも、2014年6月に統一政府で合意するという複雑な関係にあります。

・アフリカ

アフリカは、54か国からなり、人口は約11億1000万人、世界の人口の約16%を占めています。これらの人々が無数ともいえる宗教と言語を持つ部族に分かれて国をつくっているのです。
アフリカは、慢性的低開発、貧困、低いガバナンス(統治能力)、紛争、難民、飢餓、急激な人口増、感染症などと「マイナス・イメージ」でいわれる面がある一方、豊富な資源、将来有望な巨大消費市場、成長の大陸、世界経済の最後のフロンティアなどと「プラス・イメージ」でいわれる面があります。
2014年アフリカがクローズアップされたのは、エボラ出血熱のニュースでした。エボラ出血熱は、リベリア、シエラレオネ、ギニアの西アフリカ3か国を中心に猛威を振るいました。
WHO=世界保健機関によりますと、感染者数は、1万3000人以上で、そのうち死者は4800人を超えました。

(この項終り 2014.11.7)



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4.国際情勢 ②アジア [国際情勢]

*2014.11.8の講座のテキスト*

4.国際情勢

①アジア

・アジアの特徴

アジアとは、一般的にいって、日本、韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、ネパール、ブータン、バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタンなどの国々が存在している地域をさします。
アジアの第1の特徴は、政治、経済、社会、文化、宗教、言語、民族などの面で極めて多様性に富んでいることです。
例えば、政治的には、中国、北朝鮮、ベトナムなどは社会主義国家ですし、そのほかの国の中には民主化の進んでいる国もあれば、まだ軍が実権を握っていて民主国家とはいいがたい国もあります。経済的には、日本のような経済大国もあれば、シンガポール、韓国、台湾、香港などのように工業化が進んだ国や地域もありますが、まだまだ開発の遅れている国もいくつか存在するなど経済発展の段階がまちまちです。宗教的には、タイ、ミャンマーなどのように仏教徒の多い国、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、バングラディシュ、パキスタンなどのようにイスラム教徒の多い国、フィリピンのようにカトリック教徒の国、インドのようにヒンズー教徒の多い国などがあります。注意しなければならないのは、宗教が違うだけでなく、それに基づいた考え方、行動、生活習慣、伝統など社会・文化全般にわたって違いが存在し、それが政治的対立にまで発展する場合もあることです。
アジアの第2の特徴は、冷戦が終わって25年が経過したにもかかわらず、不安定、不確実な情勢が続いていることです。例えば、韓国と北朝鮮や中国と台湾の対立、南シナ海や東シナ海における関係国の領有権争い、インドとパキスタンの国境紛争などがあります。また、中国国内では、新疆ウイグル自治区やチベット自治区でのイスラム教徒やミャンマー国内では、カチン族などの少数民族による反政府の動きのように、国内での反政府の動きもあります。また、北朝鮮の国内情勢についても不確実なところがあります。

・中国

中国は、正式名を中華人民共和国といい、世界、特にアジアの中で最も注目されている国です。面積は、約960万平方キロで、日本の約25倍、人口は、13億6000万人(台湾、香港、マカオを除く)で世界一、日本の約10倍です。
政治は、共産党による一党支配の社会主義体制で、経済は、社会主義市場経済と自ら憲法にうたい社会主義経済に大幅に資本主義の市場経済を導入しダイナミックな経済発展を続けています。中国は、政治的には国際社会で発言を強め、経済的には、その広大な市場に各国の関心を呼んでいます。
21世紀に入って、中国の発展は著しく、2010年には貿易で、輸出額で世界第1位、輸入額で第2位となり、国の経済力を示すGDP=国内総生産では、日本を抜いて世界第2位になり、アメリカに次ぐ経済大国になりました。また、先進国と新興国からなるG20(Group of 20)でも、重要な存在になっています。
しかし、中国は、都市部と農村部、あるいは沿岸部と内陸部に広がっている経済格差、長年の共産党支配による汚職の蔓延などの国内問題を抱えるとともに、少数民族への弾圧や人権抑圧が国際社会からの批判をあびています。軍事力も東アジアでは突出しており、東シナ海や南シナ海で、日本や東南アジア諸国と対立を深めています。
中国の最高指導者は、習近平(しゅう・きんぺい  XI Jinping)氏で、党、政府、軍のトップです。習近平氏は、1953年生まれ、2012年共産党総書記(中国では、党が国家を指導するということになっているので、あらゆる組織の中でトップの地位)、党中央軍事委員会主席に就任、2013年国家主席、国家中央軍事委員会主席(中国軍が「党の軍隊」であるため有名無実)に就任しました。任期は、1期5年、2期までが原則です。

日中関係は、東シナ海の尖閣諸島(中国名は、釣魚島)の領有権や安倍首相ら閣僚の靖国神社参拝などをめぐって対立しており、安倍首相が2012年12月就任して以来2年近く経ちますが、まだ日中首脳会談は1度も開かれていません。こうしたことから、2014年11月北京で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議首脳会合を機会に、日中首脳会談が開かれるかどうか注目されます。

・韓国

朝鮮半島は、1910年の日韓併合から1945年の第2次世界大戦での日本の敗戦までの35年間日本の植民地でした。1948年8月南半分に大韓民国(韓国)が、9月北半分に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が成立しました。1950年から53年まで朝鮮戦争がありましたが、休戦協定が調印されました。
1961年から1987年まで軍事政権が続きましたが、その後は民主的な選挙で大統領選挙が行われ、文民大統領が続いています。1991年韓国と北朝鮮は、国連に同時加盟しました。
現在の韓国のリーダーは、初めての女性の大統領であるパク・クネ(Park Geun-hye 朴ク恵)氏です。1952年暗殺されたパク・チュンヒ大統領の長女として生まれ、2012年の大統領選挙で当選、2013年に就任しました。
パク・クネ大統領は、就任時には支持率は60%台ありましたが、2014年4月290人以上の死者をだした旅客船沈没事故の対応をめぐって国民の不満を背景に40%台に下落してしまい、大統領府や内閣の人事の大幅異動を行い、態勢の立て直しをはかりました。
日韓関係では、竹島(韓国名で独島)をめぐる領土問題、安倍首相ら閣僚の靖国神社参拝、いわゆる従軍慰安婦問題、産経新聞前ソウル支局長がパク・クネ大統領への名誉棄損で在宅起訴された事件などきびしい対立が続き、安倍・パク・クネの日韓首脳会談はまだ実現していません。

・北朝鮮

北朝鮮は、社会主義国家で、その最高指導者は、建国の1948年から現在に至るまで3代の世襲で、キム・イルソン(金日成)、キム・ジョンイル(金正日)、キム・ジョンウン(金正恩)と引き継いでいます。そして、中国と同じように、党、国家、軍のトップの座にあります。
現在の3大目の最高指導者は、キム・ジョンウンで、1983年生まれ、2011年父のキム・ジョンイルの死去で、まず朝鮮人民軍最高司令官(元帥で軍のトップ))に就任、翌2012年には朝鮮労働党第一書記(党のトップ)、国防委員会第一委員長(憲法で国家のトップ)に就任しました。
北朝鮮は、核やミサイルの開発を進めており、国際社会から批判を浴びています。この問題をめぐって、北朝鮮とアメリカ、中国、ロシア、韓国、日本による6か国協議が続いていましたが、現在話し合いは決裂しています。
日朝関係については、外交関係はありません。日朝政府間協議は、断続的に開かれていますが、合意には達していません。日本は、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はないと主張し、北朝鮮は、北朝鮮の日本人に関する調査を行うと約束しています。しかし、その調査の結果は、まだでていません。

・ASEAN

ASEAN(=Association of South-East Asian Nations)は、東南アジア諸国連合という地域協力機構のことで、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10か国が加盟しています。域内の経済成長、社会文化の発展、政治経済の安定を目的にしています。最近では、首脳会議を年1~2回、外相会議も年1~2回ひらいています。2015年に域内単一市場をもつASEAN経済共同体の創設を目指しています。
ASEANは、域外との外交を積極的に展開し、東アジアサミットをASEAN10か国、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドと開き、これらにアメリカ、ロシアが加わって18か国で構成されています。また、アジア太平洋地域の政治や安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF=ASEAN Regional Forum)をASEAN10か、日本、中国、韓国、北朝鮮、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、EU、インド、パキスタン、モンゴルなど合わせて27の国と機構で開いています。

・インド

インドは、人口が12億5000万人で、中国に次いで世界第2位で、年率平均6.7%と急速な経済成長をとげ、中国、日本に次いでアジアで第3位の経済規模です。G20やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興国ノグループ)の中で非同盟諸国の中心的な存在です。
2013年総選挙で与党の国民会議派が、最大野党だったインド人民党に敗れ、人民党のモディ氏が首相に就任しました。
日印関係については、2014年安倍首相がインドを訪れ、共同声明で、「日印戦略的グローバル・パートナーシップの強化」をうたい、モディ首相は、就任早々訪日し、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップのための東京宣言」を発表し、日米印外相間対話の開催をめざすことで合意しました。これは、中国をにらんだ動きとして注目されています。

(この項終り 2014.11.7)















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4.国際情勢 ①アメリカ [国際情勢]

*2014.11.1の講座のテキスト*

4. 国際情勢

①アメリカ

アメリカ(正式名・アメリカ合衆国 the United States of America)は、政治力、経済力、軍事力ともに世界一といわれています。
第2次世界大戦後まもなく始まった東西冷戦では、アメリカは、自由主義陣営(西側)のリーダーとして、社会主義陣営(共産主義陣営、東側)のリーダーのソ連と対峙し、「世界の警察官」を自任していました。しかし、ベトナム戦争(1965~1973)で敗けて他の地域への過剰介入は後退しはじめ、財政・貿易の双子の赤字で世界通貨としてもドルの信認も低下しました。一方、内政では、アフリカ系黒人への差別撤廃を広く認める公民権法(1964)が成立しました。
2001年9月11日海外に拠点をおくイスラム勢力による「同時多発テロ」が発生し3000人以上が犠牲になり、アメリカの国際的地位は失墜しました。このため、ブッシュ共和党政権は、アフガニスタンとイラクに侵攻し、イスラム諸国と対立しました。2008年の大統領選挙では、アフリカ系アメリカ人のオバマ氏が民主党から出馬し当選し、2009年に就任し、8年ぶりに共和党政権から民主党政権に交代しました。

・アメリカの政治体制

アメリカの政治は、1788年に成立した合衆国憲法(Constitution of the United States)が基本になっています。
憲法の原則の第1は、民主主義、自由主義です。第2は、権力の分立や抑制と均衡です。権力の分立は、政治の権力を立法(連邦議会)、行政(大統領)、司法(連邦最高裁判所)の3権に分割し、権力が1か所に集中しないようになっているうえに、効率的に政治が行えるようになっていることです。抑制と均衡(checks and balances)は、3権がお互いに相手をチェックしあい、バランスをとっていることです。第3は、連邦制をとっていることです。アメリカは、連邦制の国家であり、50の州からなっています。各州は、一般的な統治権をもち、それぞれ独自に憲法、法律、税制などがあります。連邦政府は、通貨発行、共同防衛、租税賦課・徴収、外交、外国貿易など合衆国憲法で認められた権限だけを持つ「権限の制限された政府(limited government)」です。ただし、合衆国憲法や連邦法は、各州の憲法や法律の上位に位置し、連邦最高裁判所の判決は、各州の最高裁判所の判決の上位に位置しています。

・アメリカの大統領

アメリカの大統領は、強大な権限をもち、アメリカ国内だけでなく、外国に対しても大きな影響力をもっています。
アメリカの大統領になる資格は、アメリカで生まれ、14年以上アメリカに住んだことがある35歳以上のアメリカの市民であることです。
大統領の任期は、1期4年で、2期8年つとめることができます。しかし、3選は禁止されています。大統領が免職、死亡、辞任した場合は、副大統領が大統領に昇格することになっています。
大統領の権限は、行政、外交、軍のトップであることです。
行政のトップというのは、大統領は、財務相、国務省、国防総省など14の省、航空宇宙局(NASA)、中央情報局(CIA)、証券取引委員会(SEC)など独立した行政諸機関、ホワイトハウス事務局、国家安全保障会議(NSC)、米国通商代表部(USTR)など大統領府の組織の頂点にいることです。
外交のトップというのは、大統領は、外交の最高責任者として、アメリカを代表として、外国の大統領または首相と首脳会談を開いたり、国際会議に出席したりして、アメリカ政府の方針について説明します。
軍のトップというのは、大統領は、陸、海、空3軍、各州の民兵などの軍隊の統帥権をもつ最高司令官です。しかし、実際の戦争では、軍人に軍隊の最高指揮権を委譲しています。
アメリカの大統領選挙は、4年に1度、11月の第1月曜の次の火曜に投票が行われます。
選挙権を行使できるのは、18歳以上のアメリカの国民で、なおかつ事前に選挙管理委員会に有権者として登録した人たちです。
11月の一般投票は、有権者が大統領を直接選ぶのではなく、民主党か共和党の選挙人を一括して選びます。選挙人の数は、50州と首都のワシントン」の合わせて538人です。各州の人口に合わせて割り当てられています。選挙人の数が最も多いのは、カリフォルニア州で55人、最も少ないのが、アラスカ州などで3人です。各州で、得票数のトップだった党の候補者が、その州に割り当てられた選挙人すべてを獲得する「勝者総取り式(winner-takes-all)」をとっています。そして、選挙人538人の過半数の270人を獲得した党の候補者が勝ちということになります。11月の一般投票で、実質的に大統領が決まることになるのです。
12月には、11月に選ばれた選挙人が各州の州都に集まって、大統領を選ぶ投票を行います。それらは、首都ワシントンの連邦議会に贈られ、翌年の1月に開票され、正式に大統領が明らかになり、1月20日正午に就任することになります。現在のオバマ大統領は、2008年11月の大統領選挙で当選し、2009年就任し、2012年11月の大統領選挙で再選され、2013年1月2期目に入りました。

・アメリカの議会

議会(Congress 正式には、連邦議会といって、州議会と区別します)は、立法権をもち、上下両院の2院制です。大統領が国民全体の代表とするなら、議会の議員は各選挙区の代表、つまり地域代表ということができます。
上院(Senate)は、議員の総数は100名で、アメリカ50州の各州から2名ずつ選出されます。任期は、6年で、選挙は、大統領選挙の時とその中間に行われる中間選挙の時の2年ごとに行われ、全体の3分の1ずつ改選されます。事実上、州という小選挙区による直接選挙になっています。上院議員になるための資格は、30歳以上で9年以上アメリカの市民であることが必要です。
下院(House of Representatives)は、議員の総数は435名で、10年ごとに行われる国勢調査に基づく人口に応じて、各州に配分されており、各州はいくつかの選挙区に分かれ、1つの選挙区から1名が選出される小選挙区による直接選挙の形式をとっています。任期は2年で、選挙は、2年ごとに大統領選挙と中間選挙の時行われ、総入れ替えになります。
上院と下院は、憲法の上では、対等な立場にあります。しかし、上院には、下院にはない官職任命同意権と条約批准同意権が与えられており、下院には、歳入法案先議権が与えられており、さらに慣行として、歳出法案先議権も与えられています。両院の議決が一致しない場合には、両院協議会を開くことになっています。
上下両院は、このように原則的に対等ではありますが、政治的、社会的には、上院議員の方が、下院議員よりも高いといっていいでしょう。有力な上院議員が大統領候補になる場合が多いことや下院から上院に鞍替えする議員が多いことは、そのことを表していると思います。これは、上院議員の方が任期が6年と下院議員の2年よりも3倍も長く安定していること、人数が少ないことなどが理由として考えられます。
2014年11月中間選挙が行われ、上院100議席の3分の1と下院435議席のすべてが改選されます。現在議席数は、上院では、民主党が55議席、共和党が45議席、下院では共和党が233議席、民主党が199議席、空席が3議席と、上院では民主党が、下院では共和党が過半数を制しており、いわゆる「ねじれ」の状態になっています。オバマ民主党政権としては、下院でも過半数を制したいところで、この「ねじれ」がどうなるかが注目されています。

・アメリカの経済

アメリカ経済は、2013年から2014年にかけて、引き続き穏やかな景気回復が続いています。
アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、2008年のリーマン・ショックといわれる金融危機の後に国債などを買い入れて資金供給を増やす措置である量的緩和政策をとってきましたが、2013年12月から量的緩和の縮小を段階的に進め、2014年10月アメリカ国債などを買い入れて市場に大量の資金を行き渡らせる量的緩和の終了を決定しました。FRBは、この決定について、アメリカ経済は、穏やかなペースで拡大が続いているとし、雇用回復と物価安定に必要な十分な力強さを備えていると強調しています。今後の焦点は、金融緩和策のもうひとつの柱にあたるゼロ金利政策をいつ解除して利上げに踏み切るかになっています。来年中にも予想されている利上げの時期について、FRBは、ゼロ金利を「相当の期間続ける」という方針を維持するとし、一方で雇用や物価の動向などを見極めて利上げを判断していく姿勢を強調しています。
アメリカ経済の動向は、アメリカ国民の生活だけでなく、日本経済やヨーロッパ経済に大きな影響を与えるだけに、世界は、いつ利上げに踏み切るかというFRBの出口戦略に注目しています。

(この項終り 2014.10.30)





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