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17.時事問題の基礎入門講座(2016.5.14の講座のテキスト) [2016.5.14の講座のテキスト]

*2016.5.14の講座のテキスト*

(a)日本の政治・外交・防衛

・オバマ米大統領、27日に広島訪問へ(2016.5.10)

アメリカのオバマ大統領は、今月27日、現職のアメリカの大統領として初めて被爆地・広島を訪れることになりました。
これは、日本政府とアメリカ政府が、10日同時に発表したもので、オバマ大統領は、今月26日と27日開かれる主要国首脳会議・伊勢志摩サミットに出席したあと、広島を訪問する予定です。
オバマ大統領の広島訪問には、安倍首相が同行することになっています。
オバマ大統領としては、広島の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、大統領に就任した2009年プラハ演説で自らが提唱した「核なき世界」の理念を改めて広島から世界に向けて発信したい方針だといわれています。
安倍首相は、10日記者団に対し、「心から歓迎する」としたうえで、「今回のオバマ大統領の広島訪問が、すべての犠牲者を日米がともに追悼する機会としたい。核兵器のない世界に向けて、大きな力になると信じる」と述べました。

・ニュースの用語解説

アメリカのオバマ大統領は、2009年1月就任し、4月チェコのプラハで、「核兵器のない世界を目指す」と演説し、12月にはノーベル平和賞を受賞しています。
オバマ大統領は、2009年初めて日本を訪れた際、記者会見で「広島、長崎を将来訪れることができれば、非常に名誉なことだ」と述べていました。
しかし、オバマ大統領は、これまで3度日本を訪れていますが、いずれも被爆地訪問を見送っています。これは、アメリカ国内には、原爆投下によって戦争終結が早まり、多くのアメリカ人の命が救われたと正当化する主張が根強く存在し、被爆地訪問への慎重論があるためです。
オバマ政権下では、2010年当時のルース駐日大使が、アメリカ政府代表として初めて広島の平和記念式典に出席し、後任のケネディ大使も毎年式典に出席しています。今年7月には広島で開かれたG7=主要7か国外相会議に出席したケリー国務長官が、アメリカ政府の閣僚としては初めて平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、平和記念資料館(原爆資料館)を訪問しました。そして、「すべての人が広島を訪れるべきだ」と語り、オバマ大統領の広島訪問の下地を作ったといわれています。
アメリカ政府としては、ケリー国務長官の訪問の際にもそうであったように、アメリカの世論を考慮し、オバマ大統領の場合も、原爆投下についての謝罪には踏み込まない方針だといわれています。

・日ロ首脳会談、ソチで開催(2016.5.6)

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は、6日、ロシア南部ソチで会談し、平和条約締結問題について双方が受け入れ可能な解決策の作成に向け「新たな発想に基づくアプローチ」で精力的に交渉を進める」ことで一致しました。北方領土問題を含む事務レベルの平和条約締結交渉を6月に開くことでも合意しました。
 安倍首相が、9月にウラジオストクで開く東方経済フォーラムに合わせてロシアを訪問し、再びプーチン大統領と首脳会談を開くことも確認しました。プーチン大統領の日本訪問については、安倍首相は、「最も適切な時期を検討したい」と述べるにとどめました。
 会談で、安倍首相は、平和条約問題について「今までの交渉の停滞を打破しよう。問題解決にはグローバルな視点も考慮したうえで未来志向で交渉するアプローチが必要だ」と提案しました。
 安倍首相は、ロシア国民の生活環境の改善や産業経済革新に向けた8項目の協力プランを提案し、そのうち、エネルギー開発や医療、都市づくり、中小企業交流などでの協力強化が柱だと述べ、「これが実現できれば両国関係を2人で大きく深めることができる」と指摘しました。プーチン大統領は「すばらしい提案だ。実現させたい」と応じたということです。
 しかし、北方領土問題を巡っては、日本政府は4島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが基本方針で、平和条約締結後の2島返還が明記された1956年の日ソ共同宣言を重視するロシア側との溝は深く、「新しいアプローチ」で進展に結びつけられるかどうかは、今後の課題になっています。
安倍首相はウクライナ問題を巡って、ロシアが停戦合意の履行に建設的な役割を果たすよう求めました。
会談時間は夕食会も合わせて約3時間10分に上り、途中、両首脳が2人きりで話す時間も約35分ありました。
 両首脳は7月にモンゴルで開くアジア欧州会議(ASEM)や秋の国際会議を利用して会談の機会を探ることでも一致しました。

・ニュースの用語解説

北方領土というのは、北方4島ともいい、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島のことで、総面積は、5036平方キロで、千葉県とほぼ同じ広さです。
第2次世界大戦前には、日本人が1万人以上住んでいました。
日本が、1945年8月14日にポツダム宣言を受諾した後、当時のソ連(現在のロシア)軍が、占拠し、日本人を退去させました。
それ以来、ソ連、現在はロシア人が住んでいます。
日ソが国交を回復した1956年の日ソ共同言には、「(両国)が平和条約を締結後、ソ連は、歯舞群島(諸島」と色丹島を日本に引き渡す」と明記しています。
日本は、北方4島は日本の固有の領土だと主張し、4島の一括返還を求めています・
安倍首相は、2012年12月就任し、2013年4月日本の首相として10年ぶりにロシアを公式訪問し、プーチン大統領と会談し、「平和条約問題で、双方が受け入れ可能な解決策」を得るための交渉を加速させることで合意しました。しかし、その後、ロシアによるクリミア半島の編入に対して、日本は、アメリカ、ヨーロッパ諸国とともに、ロシアに対する制裁措置に踏み切り、平和条約交渉は、事実上中断したままになっています。

(b)日本の経済・貿易


・三菱自動車、日産自動車の傘下で再建へ(2016.5.12)

日産自動車は、燃費データ不正問題で苦境に立っている三菱自動車に対して、2300億円を超える巨額の出資を行い、事実上傘下に収めることになりました。
これは、日産自動車と三菱自動車工業が、12日、資本業務提携を発表した中で明らかにしたものです。
この資本業務提携では、日産が、三菱自動車が行う第三者割当増資を引き受ける形で株式の34%を取得するもので、日産が三菱自動車に出資する金額は、2373億円に上るということです。この結果、日産は、現在合わせて株式の3分の1を出資している三菱グループの主要3社を抜いて筆頭株主となり、三菱自動車を事実上傘下に収めることになります。
三菱自動車をめぐっては、4月20日以降、軽自動車4車種の燃費の偽装や1991年以降、ほぼすべての車種で、違法な燃費データ測定をしていたことなど不正が発覚、国内販売の6割を占める軽自動車の生産・販売停止に追い込まれ、苦境に立たされています。
日産にとっては、国内の販売の3分の1を占める軽自動車について、三菱自動車との協業を続けるとともに、三菱自動車の強みである東南アジアでのブランド力を取り込んで提携関係を深め、アジア市場での販売強化につなげるねらいがあるものとみられます。
両社は、次世代エコカーの本命に電気自動車(EV)を据えており、技術開発で連携を深めていく狙いもあるとみられています。
日産と提携先のルノー、それに三菱自動車を合わせると、昨年の世界全体の販売台数は、950万台を超え、世界一だったトヨタ自動車の1015万台、フォルクスワーゲンの993台、ゼネラルモーターズの984万台のトップ3に迫る規模になり、燃費データ不正問題は、業界再編に発展することになりました。

・ニュースの用語解説

日産自動車は、1933年設立。1999年販売不振で経営難に陥り、フランスのルノーと資本業務提携を結びました。現在ルノーが日産株式の43.4%、日産がルノー株式の15.0%を保有しています。2015年3月期の世界販売台数は、531万8000台。売上高11兆3752億円、純利益4575億円、従業員数14万9388人。
三菱自動車は、三菱重工業の自動車部門から1970年代に分離して設立。2000年代のリコール隠しが発覚した後、経営再建のため三菱重工業や三菱商事など三菱グループが株式の3割を保有しています。2015年3月期の世界販売台数は109万台、売上高2兆1807億円。純利益1181億円、従業員数3万498人。


(c)日本の社会

・熊本地震発生から1か月(2016.5.14)

熊本県を中心にした一連の地震は、発生してから14日で1か月を迎えました。
今なお1400回を超える余震が続いており、1万人以上の人たちが避難所での生活を送っています。
熊本県の集計によりますと、死者は49人、安否不明が1人、ほかに19人については関連死の可能性があるとみています。住宅の被害は、8万棟を超えています。
農林水産業の被害額は、1300億円に上っています。

一方、政府は、13日、熊本地震の復旧に向けた2016年度補正予算案を閣議決定しました。
追加歳出の7780億円のうち、全体のおよそ9割に当たる7000億円を熊本地震復旧予備費に充てることにしています。
予備費は、がれきの処理や道路や橋などのインフラの復旧、被災した企業の事業再建の支援などに充てる予定です。
補正予算案は、国会での審議を経て、17日には成立する見通しです。


・ニュースの用語解説

気象庁によりますと、熊本県では、4月14日の最初の地震は、マグニチュード6.5、震度7、16日の本震は、マグニチュード7.3、震度は同じく7を記録したということで、震度7を短期間に2度も記録したのは、これまでで初めてということです。震度1以上の地震は、この1か月で1,400回を超えています。

マグニチュード(magnitude)は、大きさとか規模の意味で、地震の全体としての規模を表す数値で、震源のエネルギーが大きいほど数値も大きくなります。
震度は、ある場所での地震動の強さの程度のことです。気象庁の震度階級球では、各地の計測震度計の観測によって、震度0~4、5弱、5強、6弱、6強、7の10階級に分けています。


(d)国際情勢


・パナマ文書のリスト公表(2016.5.10)

世界各国の首脳や富裕層などの隠れた資産運用を明らかにした「パナマ文書」の問題で、各国の記者でつくっている国際的な団体であるICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合は、10日、21万社を超える法人や関わりがあるとされる個人の名前をホームページ上で公表しました。
「パナマ文書」は、中米パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内部資料で、今回の公表で、この法律事務所が昨年までにタックスヘイブン=租税回避地とされる21の国や地域に設立したおよそ21万4000社の法人の情報が閲覧できるようになっています。
「パナマ文書」は、一部が4月に初めて公表されて以来、各国の首脳やその関係者の隠れた資産運用の実態が次々と明らかになり、市民から厳しい批判をあびたアイスランドの首相やスペインの産業相が辞任に追い込まれています。
批判の背景には、経済の低迷などを理由に各国の市民の税の負担が増えていることがあるとされ、各国の首脳や富裕層など一部の特権階級だけが税金から逃れることができる現状に不満をもっていることがきっかけとみられています。
「パナマ文書」では、日本を住所地とする400を超える個人や法人の名前があげられていますが、その多くが、租税回避はないという見解を発表しています。

・ニュースの用語解説

租税回避地、いわゆるタックスヘブン(tax haven)というのは、法人税や所得税などの税率がゼロかきわめて低い国・地域のことで、カリブ海のイギリス領バージン諸島やケイマン諸島などがあります。
これらの国・地域で資産を保有したり、金融取り引きをしたりすること自体は、違法ではありませんが、法人情報がほとんど公開されないため、税務当局の目が届きにくく、脱税や粉飾決算、資金洗浄の温床という批判もあります。

パナマ文書というのは、租税回避地、いわゆるタックスヘブンの会社の設立などを手掛ける中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書のことです。1977年から2015年にかけて作られた1150万点の電子メールや文書類です。21万あまりの法人の情報の中には、10か国の現旧指導者12人、現旧指導者の親族ら61人の関係する会社も含まれています。芸能人やスポーツ選手の関係する会社もあります。

ICIJ(=International Consortium of Investigative Journalists 国際調査報道ジャーナリスト連合)というのは。は、1989年に創設された非営利の報道機関「Center for Public Integrity」の国際報道部門です。アメリカのワシントンに事務所があります。60か国以上のジャーナリストが連携し、国際的な問題を取材し、報道しています。
「パナマ文書」については、南ドイツ新聞が匿名の人物から入手し、ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合に依頼し、各国の報道機関に分析と取材の協力を求めています。日本は、共同通信社と朝日新聞社が参加しています。

・北朝鮮で36年ぶりの党大会、新指導部決まる(2016.5.9)

北朝鮮で36年ぶりに朝鮮労働党大会が開かれ、最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が新設のポストの党委員長に就任するなど新しい党指導部が決まりました。
これは、4日間にわたった党大会の最終日の9日にきまったもので、このほか、党の中核をなす政治局常務委員には、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が再任され、現職の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常務委員長と黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長に加えて、新たに経済部門を統括する朴奉珠(パク・ポンジュ)首相と長く青年組織のトップをつとめた崔竜海(チェ・リョンヘ)党書記が選ばれ、3人体制から5人体制になりました。
さらに。政治局員19人、政治局員候補9人、中央委員129人が選出されました。中央委員には、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の妹で党の宣伝担当副部長をつとめる金与正(キム・ヨジョン)氏が含まれています。
今回の党大会では、核開発と経済再建を同時に進める「並進路線」を盛り込んだ党規約の改正、「核兵器の小型化、多種化を高い水準で実現し、核戦力を質・量的に強化して「東方の核大国」に輝かせていく」とする決定書なども採択しました。
金正恩(キム・ジョンウン)氏としては、もともと北朝鮮の最高指導者ですが、さらにその独裁体制を強化し、36年ぶりに開いた最高指導機関である朝鮮労働党で新たに設けた最高位のポストの党委員長に就任することによって、内外に「金正恩(キム・ジョンウン)時代」の本格的な幕開けを印象づけようとする狙いがあったものとみられています。

・ニュースの用語解説

今回の第7回朝鮮労働党大会が採択した主な政策方針は以下の通りです。
体制・思想―金正恩(キム・ジョンウン)同志を主体(チュチェ)革命の最高位に頂く、全党の金日成・金正日主義化を行う、野心家、陰謀家などが幹部に入り込まないようにする
外交・安全保障―核保有国の地位を堅持する、自衛的な核戦力を質・量的に強化する、核技術を絶えず発展させ、「東方の核大国」に輝かせる、連邦制方式の統一実現に努力する
経済―国家経済発展5か年戦略(2016年~2020年)の遂行、食糧の自給自足の実現


・フランスの検察当局、東京五輪招致で多額の送金で捜査(2016.5.16)

フランスの検察当局が、2020年の東京オリンピック招致をめぐって、日本側が国際陸上競技連盟に多額の協賛金を送金した疑惑について、捜査していることが明らかになりました。
フランスの検察当局は、日本の銀行の口座から、国際陸連のラミン・ディアク前会長の息子に関係するとみられるシンガポールの銀行口座に、2013年7月と10月に「東京オリンピック招致」の名目で、およそ2億2000万円が振り込まれた可能性があるとして贈収賄などの疑いで捜査をしているということです。検察当局は、同じころ、ディアク氏が、パリで多額の金銭を支出していたことを確認したということです。
この問題は、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会が、今年1月、2020年の東京オリンピック招致をめぐって、日本側が国際陸連などに多額の協賛金を支払ったことを指摘しています。ディアク前会長は、東京オリンピック招致が決定した2013年9月には、IOC=国際オリンピック委員会の委員をつとめていて、開催地の決定に影響力を行使できる立場にあったとみられています。

一方、この報道について、2020年東京オリンピック招致委員会で理事長をつとめたJOC=日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は、13日記者団に、フランス検察当局に指摘された計280万シンガポールドル、日本円にしておよそ2億2200万円の送金は、シンガポールに所在するコンサルタント会社へのものと確認したうえで、「業務に対するコンサルタント料で問題があるとは思っていない。招致活動はフェアに行ってきたと確信している」と述べ、送金の事実を認めたうえで、疑惑を否定しました。
























タグ:時事問題
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