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3.日本の社会 [日本の社会]

*2014.11.1の講座のテキスト*

3.日本の社会

・少子高齢化

「少子高齢化」というのは、先進国が共通に抱えている問題で、人口の中で出生率が低下して子どもの数が少なくなる「少子化」と平均寿命が延び、65歳以上の高齢者の占める割合が高まる「高齢化」が同時に進行する現象のことです。
国連では、「高齢化社会」は、総人口に占める65歳以上の人口比率が7%を超えた時をいい、この比率が14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」といっています。日本は、1970年に「高齢化社会」に、1994年に「高齢社会」に、そして、2007年に世界で初めて「超高齢社会」になりました。

総務省が2014年4月発表した2013年10月現在の人口推計によりますと、日本の総人口は、1億2729万8000人で、3年連続の減少でした。
総人口は、前年比21万7000人の減少で、毎年減少幅が拡大しています。
15歳から64歳の生産年齢人口は、前年比116万5000人減で、7901万人になり、少子高齢化の影響で、32年ぶりに8000万人を下回りました。総人口に占める割合は、62.1%です。
これに対して、65歳以上の高齢者は、前年比110万5000人増で、3189万8000人で、総人口に占める割合は、25.1%と過去最高で、総人口の4人に1人が65歳以上となりました。

一方、厚生労働省が、2014年9月に発表した2013年の人口動態統計(確定)によりますと、出生数は、2013年102万9000人で、前年比7,400人減、1人の女性が生涯に産む子どもの数を表す合計特殊出生率は、1.43で、0.02ポイント上昇、死亡数は、126万8000人で、前年比1万2000人増です。自然増減数は、23万8000人で、前年比1万9000人減で、7年連続で減少しています。

少子化の原因は、未婚化、晩婚化、晩産化などによるものであり、高齢化の原因は、生活環境や栄養状態の大幅な改善、医療の進歩などによるものです。
少子高齢化が進みますと、若年労働者不足、将来の総人口の減少に伴う総需要と総生産の縮小、医療費の増大などといった問題に拡大し、経済の停滞や国力の衰退をもたらすことになります。

・社会保障

年金、医療、失業、介護、生活保護などに関連して、お金やサービスを受け取る仕組みを社会保障といいます。
高齢化によって、年金や医療にかかるお金が増え、税金や保険料でまかなう費用の社会保障給付費は、毎年過去最高を更新しています。
2014年度予算でも、こうした社会保障費が膨らみ、相変わらず最大の歳出項目で、30兆5175億円と初めて30兆円を超えました。前年度比4.8%増です。歳出全体のおよそ3割にあたります。
高齢化が急速に進んでいるため、病気になったり、体が不自由になったりするお年寄りが増えていることから、医療や介護に必要な国の費用の自然増分だけでおよそ6500億円に上っています。
高齢化は、さらに進むため、今後も1兆円程度増え続ける見通しです。
消費税
の税収は、全額社会保障関係の費用にあてることになっていますが、これではとても足りません。2014年4月消費税の税率が5%から8%に引き上げられましたが、これによる増収は、2014年度は5兆円、2015年度以降は、毎年およそ8兆円と見込まれています。
このため、社会保障関係の費用を抑制するための制度改革が必要になっています。

・原発(原子力発電所)

2011年3月11日東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故は、広範囲にわたる放射能汚染を生じさせ、この事故によって、エネルギー政策の見直しや環境問題が浮き彫りになりました。
原発事故を踏まえて、原子力の規制を一元的に担当する組織として、2012年9月原子力規制委員会が誕生しました。そして、原発再稼働の条件となる原発の新しい規制基準は、2013年7月に施行されました。
規制基準は、①大きく想定を上回る自然災害やテロ攻撃などに備えた重大事故対策、重大事故とは、巨大な自然災害やテロなどで原子炉がコントロールできなくなるような深刻な事態に陥ることです②活断層調査の強化や津波防護策を定めた設計基準である耐震・耐津波性能③既存設備の安全対策を強化する設計基準である自然現象・火災に対する考慮などです。

日本の原発は、48基ありますが、現在すべてが運転を停止しています。2013年7月から原子力規制委員会へ原発再稼働に向けて審査の申請が始まり、現在全国9電力会社の12原発19基が申請しています。原子力規制委員会の審査は、九州電力の川内(せんだい)原発1・2号機(鹿児島県)が優先して行われ、「安全基準に適合している」と判断されました。九州電力は、地元の同意を経て再稼働の判断を行い、政府は、年内か来年初めにも再稼働の最終判断をする予定です。

・世界遺産

世界遺産(World Heritage)については、1972年のユネスコ=国連教育科学文化機関の総会で採択された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」によって、将来にわたって残したい貴重な文化財や環境を「世界遺産」として保護・保全を行っています。遺跡や建造物が対象の「文化遺産」、生態系や地形などの「自然遺産」、両方の特質をもつ「複合遺産」があります。
登録は、各国政府機関が暫定的なリストを作成、ユネスコ世界遺産センターに推薦するプロセスから始まります。ユネスコは、推薦された暫定リストの評価を諮問機関に依頼し、登録の可否を評価、この評価をもとにユネスコ世界遺産委員会で最終審議が行われて世界遺産への登録が決まります。
2014年6月の第38回ユネスコ世界遺産委員会が行われた時点で、条約締約国は191か国、世界遺産の登録は161か国に上ります。
世界遺産は、文化遺産780件、自然遺産197件、複合遺産30件の合わせて1007件になっています。
2014年6月ユネスコの世界文化遺産リストに、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録されることが決定しました。日本では、18件目の世界遺産登録で、文化遺産としては14件目になります。「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、富岡製糸場をはじめ、養蚕農家の形を残す「田島弥平旧宅」、養蚕訓練建造物「高山社跡」、蚕の卵の貯蔵施設「荒船風穴」の4つの遺産で構成されています。
富岡製糸場は、1872年に日本の近代化を推進するため官営で開設され、1987年までの115年にわたって操業を続け、操業当時は世界一の規模を誇っていました。
2013年6月には、「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」が世界文化遺産に登録されました。これは、富士山が日本最高峰として古くから民間の信仰の対象になり、浮世絵など芸術作品の題材として内外の芸術思想にも影響を与えてきた点が評価されました。なお、静岡市の景勝地「美保の松原」も含めて登録されました。
2013年12月には、「和食 日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界的に定着しつつある和食が、伝統的な文化背景も含めて登録されたもので、食材や調理法、盛り付け、作法に至るまでが評価されました。日本の無形文化遺産登録は、歌舞伎、能楽、人形浄瑠璃文楽などを含め22件目です。2014年11月ユネスコの政府間委員会は、無形文化遺産として「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」を登録勧告する見通しです。

・訪日外国人

日本を訪れる外国人旅行者が増えています。
日本政府観光局が2014年10月に発表したところによりますと、2014年1月から9月の訪日外国人旅行者973万人余りで、2014年1年間では1200万人を超える見通しです。
この発表によりますと、2014年9月、日本を訪れた外国人旅行者は、109万9000余りとなり、前年の同じ月に比べて26.8%上回って、9月としては、最も多くなりました。
背景には、円安傾向に加えて、2014年3月に羽田空港の国際線が大幅に増便されたことや格安航空会社の相次ぐ就航で、航空路線が拡充したことがあります。
国や地域別でみますと、中国からの旅行者が24万6000人余りで最も多く、前年の同じ月に比べて57.6%増となりました。次いで台湾からが、6.7%増で22万人余り、韓国からが32.3%増で21万7000人余りとなっています。
なお、2013年の1年間では、1位が韓国からで245万人、2位が台湾で221万人、3位が中国で131万人、4位がアメリカで79万人、5位が香港で74万人、6位タイ、7位オーストラリア、8位イギリス、9位シンガポール、10位マレーシアとなっています。
観光局によりますと、2014年10月1日から新たな免税制度の開始、9月30日から開始されたインドネシア、フィリピン、ベトナム向けの数次ビザの大幅な緩和などを追い風に、日本を訪れる外国人旅行者は、さらに増えていくことが予想されています。

・2020年東京オリンピック

2020年の夏のオリンピックは、東京で開催されます。
これは、2013年9月アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたIOC=国際オリンピック委員会の総会で決まったものです。
夏のオリンピックの東京での開催は、1964年以来56年ぶりのことです。日本でのオリンピック開催は、1972年の札幌、1998年の長野の冬のオリンピックを含めると4回目になります。
2020年のパラリンピックも東京で開催されます。
このほかにこれまでIOC総会で決まっているのは、2016年のブラジルのリオデジャネイロの夏のオリンピックと2018年の韓国の平昌(ピョンチャン)の冬のオリンピックです。

(この項終り 2014.10.27)




タグ:時事問題
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