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12.時事問題の基礎入門講座(2015.12.12の講座のテキスト) [2015.12.12の講座のテキスト]

時事問題の基礎入門講座(2015.12.12のテキスト)-11月から内容を変え、直近のニュースを扱うことにしました。

(a)日本の政治・外交・防衛

・自民、公明両党、軽減税率で合意(2015.12.12)

与党の自民、公明両党は、2017年4月消費税を8%から10%に引き上げる時に国民の税の負担を一部軽くする軽減税率について協議を重ねてきましたが、12日に酒類と外食を除く食品すべてを対象に消費税を8%に据え置くことで合意しました。
しかし、これによる税収減の穴埋めに必要な財源は、1兆円にのぼりますが、財源確保の議論は、先送りすることになりました。

・ニュースの用語解説

消費税の軽減税率というのは、生活必需品などに限定し標準税率より低い税率を適用する軽減制度のことです。本来は、低所得者ほど所得に占める税負担の割合が重くなる逆進性の緩和が狙いで、自民、公明両党は、すでに消費税を10%に引き上げる時に軽減税率を導入することで合意しています。日本の消費税に当たる付加価値税を採用している欧州諸国では、EU=欧州連合28か国のうち21か国が軽減税率を導入していますが、区分けや税率は国によって違いがあります。例えば、食料品や新聞・書籍などにドイツは7%(標準税率は19%)、イギリスは0%(同20%)を適用しています。また、ドイツでは、ハンバーガーを食べる場所によって軽減税率が違い、店内で食べると外食とみなされ消費税は19%かかり、テイクアウトすると食料品とみなされ消費税は7%になります。
しかし、軽減税率については、対象の線引きが難しく、販売業者の経理が複雑になるなどの問題点もあります。
今回の軽減税率をめぐる自民、公明両党の協議の背景には、来年夏の参議院選挙を控えているという政治状況があります。

(b)日本の経済・貿易

・7月~9月期の実質GDP=国内総生産の改定値、年率1.0%増(2015.12.8)

今年7月から9月までのGDP=国内総生産の改定値は、年率に換算した実質の伸び率で、プラス1%で、景気は依然として足踏み状態が続いています。
内閣府が8日発表した今年7月から9月までのGDPの改定値は、物価変動の影響を除いた実質で4月から6月までの前期に比べてプラス0.3%、年率に換算してプラス1.0%でした。11月16日に発表された速報値は、年率マイナス0.8%でしたが、企業の設備投資や在庫の増加を主な要因に上方修正されました。
GDPがプラスになったのは、今年1月から3月まで以来、2四半期ぶりのことです。

・ニュースの用語解説

GDP(=Gross Domestic Product)は、国内総生産のことで、その国の経済力を示す指標になっています。GDPは、企業や政府の活動が、国内で一定期間に生み出した経済的な価値の総額を示しています。個人消費や設備投資、住宅投資、公共事業などの「内需」と輸出から輸入を引いた「外需」に分かれています。GDPは、実質GDPと名目GDPがあります。GDPは、物価の変動の影響を受けるため、その影響を取り除き、その年に生産された財の本当の価値を算出したものが実質GDPで、一方それを取り除かず、その年の経済活動水準を算出したのが、名目GDPです。GDPの1年間の増加率を示すのが、経済成長率です。
GDPの速報値の発表からおよそ1か月後に、改定値が発表になります。これは、法人企業統計などの結果を反映して数値を修正した統計で、設備投資や公共投資などが見直され、GDP全体が大きく修正されたり、過去にさかのぼって数値が変わったりする場合があります。

2014年の世界の名目GDP国別ランキング
①アメリカ  17兆3480億7500万ドル
②中国    10兆3565億800万ドル
③日本     4兆6023億6700万ドル
④ドイツ    3兆8744億3700万ドル
⑤イギリス   2兆9500億3900万ドル
(2011年に、GDPで、中国が3位から2位に、日本が2位から3位になりました) 

(c)日本の社会

・「あかつき」金星軌道投入に成功(2015.12.9)

JAXA=宇宙航空研究開発機構は、9日、金星探査機「あかつき」が金星を回る軌道に入るのに成功したと発表しました。
日本の探査機が地球以外の惑星を回る軌道に入ったのは初めてです。
金星探査機「あかつき」は、2010年5月打ち上げられ、その年の12月に金星を回る軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが噴射中に壊れ、当時の計画は失敗し、その後、本来の目的から外れて、太陽の周りを回っていましたが、7日、残された小型エンジンを使って金星を回る軌道に入ることに挑戦し、成功したものです。
「あかつき」は、金星の大気の様子などを観測することになっています。
「あかつき」が金星を回る軌道に入るのに成功したことは、機体を損傷しながらも5年前に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」以来の快挙だといわれています。

・ニュースの用語解説

JAXA のHPによりますと、

金星探査機「あかつき」(PLANET-C)とは、火星探査機「のぞみ」(PLANET-B)に続く日本による惑星探査計画で、金星の大気の謎を解明することが目的です。金星は、「地球の兄弟星」といわれてきました。その理由は、金星の大きさや太陽からの距離が地球に近く、太陽系の創生期に地球と似た姿で誕生した惑星と考えられているからです。ところが、現在の金星は、高温の二酸化炭素の大気に包まれ、硫酸の雲が浮かぶ、地球と全く異なる環境です。上空では時速400キロに達する暴風があまねく吹いています。なぜ金星がこのような姿をしているのか、それがわかれば、地球が金星と違って穏やかなる生命あふれる星となった理由や気候変動を解明する手がかりが得られるとみられています。つまり、地球環境を理解する上で重要な探査対象といわれているのです。

・ドローンなど無人機の飛行規制に関する改正航空法施行(2015.12.10)

小型無人機「ドローン」などの飛行を規制する改正航空法が、10日施行され、人口集中地区などでの飛行は原則として禁止されました。
改正航空法は、今年4月首相官邸の屋上でドローンと呼ばれる小型無人機が見つかった事件を受けたもので、さまざまなルールが新たに設けられました。
新たなルールでは、東京23区など国が定めた人口が1平方キロ当たり4000人を超える人口集中地区のほか、空港周辺や地上150メートル以上の上空、それにイベント会場での飛行や夜間飛行などが原則として禁止され、例外的に飛行させる場合は、国の許可や承認が必要です。
違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられることになっています。

・ニュースの用語解説

ドローンは、小型無人機で、複数のプロペラで飛行することができます。飛ぶ音がミツバチの飛ぶ音に似ていることから、ミツバチのオスを意味する「drone」と名付けられました。
偵察、空爆など軍事目的の開発から始まり、宅配や人が立ち入れない場所の点検作業など民間ビジネスへの応用が進んでいます。GPS機能で遠隔操作できるものやプログラムミングで自動飛行できるものなどがあります。カメラ付きのものは、手軽に空撮できるため、個人利用も進んでいます。値段は、1万円台から1000万円台を超えるものまであり、国内では2000機ほど普及しているものとみられています。

(d)国際情勢

・ノーベル賞授賞式(2015.12.10)

今年のノーベル賞の授賞式が、10日スウェーデンの首都・ストックホルムで行われ、2人の日本の科学者が、医学生理学賞と物理学賞をそれぞれ受賞しました。
今年のノーベル医学生理学賞の受賞者は、日本の北里大学の大村智(おおむら・さとし)特別栄誉教授、アイルランド出身でアメリカのドリュー大学の名誉リサーチ・フェローのウィリアム・キャンベル氏、中国の中医科学院の屠ユーユー氏の3人でメダルと賞状が贈られました。
受賞の理由は、アフリカなどで寄生虫が引き起こす熱帯感染症に大きな治療効果をあげた特効薬を開発した業績です。
一方、今年のノーベル物理学賞の受賞者は、日本の東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章(かじた・たかあき)教授とカナダのクイーンズ大学名誉教授のアーサー・マクドナルド氏の2人でメダルと賞状が贈られました。
受賞の理由は、重さがないと考えられていた素粒子「ニュートリノ」に質量があることを証明し、宇宙の成り立ちや物質の起源を解明するのに大きな影響を与えたことです。
日本のノーベル賞受賞者は、これで24人になりました。

一方、今年のノーベル平和賞の授賞式が、同じ10日、ノルウェーの首都・オスロで行われ、中東・北アフリカで広まった民主化運動の「アラブの春」以降のチュニジアの民主化を後押しした市民社会の枠組み「国民対話カルテット」が受賞しました。
「国民対話カルテット」は、チュニジア最大の労働組合の組織チュニジア労働総同盟、全国弁護士会、人権擁護連盟、産業商業手工業連合の4つの団体によって2013年7月に作られた枠組みで、2010年末に始まった「ジャスミン革命」で独裁政権が倒れた後、対話によって政治的対話を解消し、民主化を後押ししたことが認められて、ノーベル平和賞を受賞し、4人の代表にメダルと賞状が贈られました。

・ニュースの用語解説

ノーベル賞(Nobel Prize)は、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデンのアルフレッド・ノーベル(Alfred Bernhard Nobel)の遺言によって1901年から始まった世界的な賞のことです。物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
授賞者の選考地球には、物理学、化学賞、経済学賞の3部門はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学生理学賞はカロリンスカ研究所が、平和賞はノルウェー・ノーベル委員会が、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行っています。

・宇宙飛行士の油井さん、地球に無事帰還(2015.12.11)

国際宇宙ステーションに5か月近く滞在していた日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんが、アメリカとロシアの2人の宇宙飛行士とともに、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗って、11日、中央アジアのカザフスタンの草原地帯に着陸し、地球に帰還しました。
油井さんの健康状態は、良好だということです。
油井さんは、元航空自衛隊のパイロットで、日本人10人目の宇宙飛行士で、国際宇宙ステーションに今年7月から5か月近く滞在し、8月には日本の宇宙輸送船「こうのとり5号機」をロボットアームでキャッチするなど重要な任務をこなしました。

・ニュースの用語解説

国際宇宙ステーション(ISS=International Space Station)には、アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ諸国など15か国がプロジェクトに参加し、総質量450トン、全長108メートル×73メートルで、1998年から建設を開始し、2011年のスペースシャトルの最終フライトで完成しました。当初の運用期間は2016年まででしたが、2024年までの延長が見込まれています。
国際宇宙ステーションには、日本実験棟「きぼう」(JEM=Japanese Experiment Module)があり,
国際宇宙ステーションの中では、最大の実験モジュールです。これは、船内実験室(外径4.4メートル、全長11.2メートル)、船内保管室、船外実験プラットホーム、船外パレット、ロボットアームから構成されています。

・パリのCOP21閉幕へ(2015.12.11)

パリで開かれている地球温暖化防止を話し合う国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議=COP21は、11日、会期を1日延長し、12日に最終合意をめざすことになりました。
会議は、11月30日から開かれ、条約に加盟している196の国と地域の代表が参加し、2020年から実施する地球温暖化対策の新しい国際的な枠組みづくりを目指しています。先週は事務レベルで、今週は閣僚レベルでの交渉を続けていますが、先進国と開発途上国が、温室効果ガスの削減や途上国に対する支援などをめぐってきびしく対立しています。
会議の議長であるフランスのファビウス外相は、11日の会議で、各国に、これまでの議論を踏まえた合意案を示し、これをめぐって各国の代表の間で激しい意見の交換が行われましたが、まとまりませんでした。ファビウス外相は、会期を1日延長して12日に修正した最終案を示し、各国の合意を取り付けたい方針です。ファビウス外相は、合意に強い自信を示しており、12日に合意に達すれば、1997年に採択された京都議定書以来18年ぶりの国際的な枠組みが出来上がることになります

・ニュースの用語解説

地球温暖化(global warming)とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、地球の気温が高まり、自然や生活環境に各種の悪影響が生じる現象のことです。これに対応するためには、各種の温室効果ガスの排出削減(省エネルギーやフロンの削減など)、温室効果ガスを吸収する森林の保護や植林などが必要です。

温室効果ガス(GHG=greenhouse gas)というのは、太陽の放射熱と同量の熱が地表から赤外線として宇宙に放射されることで大気の温度はバランスを保っていますが、この赤外線を一部吸収するガスのことです。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、オゾン(O3)などがあり、これらの濃度が高まると気温が上がることになります。特に二酸化炭素は、石油などを燃やすと発生し、現在の巨大化・高度化した経済活動と密接な関係があります。

京都議定書(Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)というのは、1997年に京都で行われた第3回国連気候変動枠組み条約の締約国会議のことで、COP3(Conference of the Parties)ともいいます。2005年発効し、現在191か国およびEU=欧州連合が締結しています。二酸化炭素、メタンなど6種の温室効果ガスを対象とし、2008年~2012年の間に先進国の締約国全体で1990年に比べて5%以上削減することを目標に、各国ごとの法的拘束力のある数値目標を定めました。(日本6%、アメリカ7%、EU=欧州連合8%など)。しかし、2001年アメリカが離脱し、日本とロシアも、京都議定書の第2約束期間(2013年~2020年)には、参加せず、中国やインドなど新興国や途上国は、削減義務がないことから、もともとの京都議定書は、骨抜きの状態になっています。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC=Intergovernmental Panel on Climate Change)というのは、国連環境計画と世界気象機関が共催し、各国政府が参加している会合で、地球温暖化などについて報告書をだしており、それは、 最も信頼できる科学的情報とされています。
IPCCは、2014年11月地球温暖化をめぐる最新の研究成果をまとめた報告書を公表し、今のペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末には人々の健康や生態系に「深刻な広範囲にわたる後戻りできない影響が出る恐れ」が高まり、 被害を軽減する適応策にも限界が生じると予測し、各国政府に迅速な対応を迫っています。 国連気候変動枠組み条約の第20回締約国会議(COP20)が、2014年12月ペルーで開かれ、各国が自主的に温室ガス削減目標を掲げることを基本に新しい枠組み作りを目指す合意文書を採択し、2015年パリで開かれるCOP21で合意を目指すことを決めました。今回のパリの会議には、アメリカ、中国なども参加していることから、合意が期待されています。

・北京の大気汚染、警報最高レベルに(2015.12.8)

中国の首都・北京市では、大気汚染が深刻になり、市政府は、最高レベルの大気汚染警報を発令し、厳しい交通規制を敷き、小中学校も休校にするなど市民の生活に大きな影響が出ています。
北京市政府は、7日、深刻な大気汚染が72時間以上続くとして、大気汚染に関する4段階の警報のうち最高の「赤色警報」を初めて発令しました。北京市内では、8日も、大気汚染物質PM2.5の濃度が1立方メートル当たり300マイクログラムでした。これは、1日平均35マイクログラムとしている日本の環境基準をはるかに超えるものです。
北京市政府は、市内全域で車両のナンバー規制を敷き、8日は、末尾が偶数の車しか走れなくなりました。また、小中学校や幼稚園は、ほとんどが、8日から10日まで臨時休校になりました。さらに、市内の企業2100社には、操業停止などの措置が取られました。
北京市政府は、10日まで車の走行の制限や大気汚染物質を排出する工場の操業停止などの措置を続けることにしていて、市民の生活に影響が広がっています。

・ニュースの用語解説

PM2.5(particulate matter 2.5)というのは、微小粒子状物質のことで、大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5μm(1μm=1mmの1000分の1 μ=マイクロ)以下の非常に小さな粒子のことです。
微小粒子状物質(PM2.5)には、物の燃焼などによって直接排出されるもの(一次生成)と環境大気中での化学反応によって生成されたもの(二次生成)とがあります。
一次生成粒子の発生源としては、ボイラーや焼却炉など煤煙を発生する施設、コークス炉や鉱物堆積場など粉塵を発生する施設、自動車、船舶、航空機などのほか、土壌、海洋、火山など自然由来のものや越境汚染による影響もあります。また、家庭内でも、喫煙や調理、ストーブなどから発生します。
二次生成粒子は、火力発電所、工場・事業所、自動車、船舶、航空機、家庭などの燃料燃焼によって排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、燃料燃焼施設のほかに溶剤・塗料の使用時や石油取扱い施設からの蒸発、森林などから排出される揮発性有機化合物(VOC)などのガス状物質が、大気中で光やオゾンと反応して生成されます。
微小粒子状物質(PM2.5)は、粒子の大きさが非常に小さい(髪の毛の太さの30分の1)ため、肺
の奥深くまで入りやすく、喘息や気管支炎などの呼吸系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も懸念されています。
日本では、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準(人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準)として、「1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均が35μg/m3以下であること」と定められています。また、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均値70μg/m3と定めています。
中国の大気汚染による日本への影響については、西日本の広い地域で環境基準を超えるPM2.5が観測されていますが、これは、中国大陸からの越境汚染と日本の都市汚染の影響が組み合わさっている可能性が高いと報告されています。



タグ:時事問題
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