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13.時事問題の基礎入門講座(2016.1.9の講座のテキスト) [2016.1.9の講座のテキスト]

*2016.1.9の講座のテキスト*

今年初めての講座ですので、今年の日本と世界の動向を展望してみましょう。

(a) 日本の政治・外交・防衛

・通常国会(2016.1.4~6.1)
政府は、1月下旬(22日めど)2016年度予算案を国会に提出し、3月末までの成立をめざす方針です。
2016年度予算案は、一般会計の総額が96兆7218億円で、2015年度の当初予算を3799億円上回って、過去最大規模の予算案となり、4年連続で過去最大を更新しています。
通常国会の会期は、6月1日までの150日で、昨年は臨時国会を開いておらず、およそ3か月ぶりに行われる国会の論戦では、2016年度予算案のほか、来年4月消費税率10%への引き上げ時に導入する軽減税率の中身や昨年10月参加12か国で大筋合意したTPP=環太平洋経済連携協定の承認、昨年9月成立しこの3月に施行される安全保障関連法をめぐる問題などが論点です。
政府としては、これらの政策の意義や成果を強調するとともに、5月に開かれる主要国首脳会議・伊勢志摩サミットを成功させ、国会での主導権を握ったまま、7月の参議院選挙に臨みたい方針です。

・参議院選挙
参議院は、定数が242議席で、任期が6年。3年ごとに半数の121議席が改選されます。現在自民党が115、公明党が20の与党が135議席で、自民党単独では過半数の122議席には及びませんが、自民党は、2012年衆院選で圧勝し、政権に復帰し、2013年の参院選、2014年の衆院選と連勝中で、その勢いに乗って、単独で過半数を制したい考えです。また、与党は、衆院の定数475議席で憲法改正の発議に必要な3分の2をすでに確保しており、参院でも、いわゆる「改憲勢力」が3分の2に届くかどうかが焦点の一つになっています。
今回の参議院選挙の特徴は、選挙権が得られる年齢が1945年以来70年ぶりに初めて引き下げられて18歳以上になり、18歳と19歳のおよそ240万人が新たに有権者に加わることと隣接する2つの選挙区を1つにする、いわゆる合区が鳥取・島根と徳島・高知で初めて導入され、1票の格差を是正するため選挙区の定数を10増10減にする改正公職選挙法が適用されることです。
通常国会後半の焦点は、安倍首相が、参院選挙に合わせて衆院を解散し、衆参同日選挙に踏み切るかどうかです。衆参同日選挙は、1980年と1986年の2回しかありませんが、いずれも自民党が圧勝しています。

(b) 日本の経済・貿易

・アベノミックス
アベノミックスというのは、安倍首相の苗字「Abe」と経済学の「economics」を組み合わせて作った造語で、2012年12月に発足した安倍政権の経済政策のことです。それは、長引くデフレ不況からの脱却、持続的な経済成長、経済再生が目的です。デフレ不況から脱却するため、安倍政権は、この的を射抜くため3本の矢を設定しました。
1本目の矢は、大胆な金融緩和政策で、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が「異次元」と呼んだほど大胆な金融の量的・質的緩和を断行し、世の中に出回るお金の量を増やしたのです。そして、円安、株高を招き、インフレ状況を作り出そうとしました。
2本目の矢は、機動的な財政政策で、政府自身が、公共事業を増やすなどして、景気を支え、刺激するための積極的な予算を組んでいきました。
3本目の矢は、投資を喚起する成長戦略で、法人税の減税や大胆な規制緩和などを実施し、民間企業が持てる力を最大限発揮できるようにするのが狙いです。しかし、これは、雇用や医療・介護、農業などの分野における規制緩和中心の政策で、かなり難しい問題を抱えています。

・新3本の矢ー安倍首相は、2015年9月自民党総裁に再選された後の記者会見で、「アベノミックスは第2ステージに移る」と宣言し、経済成長の推進力として新3本の矢を発表しました。これまでの3本の矢のうち、市場や企業が最も期待した成長戦略が、なお道半ばと評される中で発表されたものです。
安倍首相は、新3本の矢は、2020年に向けた経済成長のエンジンと位置づけ、①希望を生み出す強い経済ーGDP=国内総生産600兆円、②夢を紡ぐ子育て支援ー出生率1.8、③安心につながる社会保障ー介護離職ゼロをあげています。
安倍首相は、この記者会見で、1億総活躍プランを作成し、50年後も人口1億人を維持、デフレ脱却は目前、2017年4月の消費増税10%引き上げは予定通り行うなどと述べました。

2016年の日本経済の見通しについて、民間のシンクタンクなど10社は、原油価格の下落による企業収益の増加やそれに伴う所得や雇用の改善が景気を押し上げると分析しています。
そのうえで、各社は、2016年の経済成長率について、物価の変動を除いた実質は、プラス1.1%から1.6%、名目はプラス1.5%から2.1%と予測し、景気は穏やかな回復を続けるとしています。
その一方で、懸念材料として、中国経済のさらなる減速やアメリカの利上げが新興国や資源国の景気を悪化させるリスクをあげ、その場合、日本経済は輸出の鈍化や企業の投資意欲の低下などを通じ、景気が下振れる恐れがあるとしていまです。
総じて、2016年の日本経済は、中国経済のさらなる減速など海外リスクが懸念される中、好調な企業業績が個人消費や設備投資の拡大につながり、内需主導の力強い景気回復ができるかどうかが焦点です。

(c) 日本の社会

・人口減少と少子高齢化
日本の人口は、昨年1年間に亡くなった人が130万人を超え、戦後最も多くなったことから、9年連続で人口減少となりました。出生数から死亡数を引いた人口の自然減は、29万4000人と過去最多になりました。
厚生労働省が12月31日に発表した人口動態統計の年間推計によりますと、昨年1年間に生まれた赤ちゃんは、100万8000人で5年ぶりに増加に転じ、おととしよりおよそ4000人増えました。
一方、亡くなった人は、130万2000人で、おととしより2万9000人増え、戦後最も多くなりました。
その結果、日本の人口は、9年連続で出生数が死亡数を下回る自然減となり、減少の幅は、29万4000人と過去最大で、少子高齢化に伴い人口減少がさらに加速していることを示しています。

高齢化の状況を総人口に対する65歳以上の高齢者人口の割合(高齢化率)でみると、国連やWHO=世界保健機関では、65歳以上の割合が7%を超えると、「高齢化社会」、14%を超えると、「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」といっています。
内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によりますと、2014年10月1日現在、日本の総人口は、1億2708万人で、このうち65歳以上が3300万人で過去最高となりました。そして、総人口に占める65歳以上の割合は26%となり、すでに日本は「超高齢社会」に突入しているのです。さらに、2025年には、高齢化率は30%に、2060年には40%になると推計されています。
このまま、人口減少と少子高齢化の急速な進展に歯止めがかからなければ、国や社会の存立基盤にかかわる大きな問題となると懸念されています。

(d) 国際情勢

・アジア

1. 北朝鮮水爆実験
北朝鮮が初めての水素爆弾の実験を行ったと発表したことに対して、国際社会は、そろって強く抗議しました。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、北朝鮮は、6日、初の水素爆弾の実験を行い、成功したと発表しました。
この発表は、「水爆実験は、完全に成功した。水爆の技術が正確だということを証明し、小型化された水爆の威力を科学的に解明した」と伝え、「水爆の実験は、アメリカをはじめとする敵対勢力から国の主権と生存権を守り、朝鮮半島の平和と安全を担保する自衛的措置だ」と述べ、「核抑止力を質的、量的に絶えず強化していく」と主張しました。
北朝鮮が地下核実験を実施したのは、2013年2月以来およそ3年ぶり4回目ですが、水爆の実験を行ったと発表したのは初めてです。
北朝鮮は、キム・ジョン・ウン朝鮮労働党第1書記の誕生日にあたる8日、核実験の実施を祝う大規模な集会を開催したほか、ミサイル発射実験の新たな映像も公開し、キム第1書記の求心力を高めるとともに、核開発に加えてミサイル開発を進める姿勢を改めて示し、国威の発揚を狙ったものとみられます。

水素爆弾というのは、原爆の爆発による高温高圧で、重水素や三重水素などの軽い原子を核融合させてできるエネルギーを利用する核兵器のことで、原爆よりはるかに大きなエネルギーが得られますが、高い技術が必要とされるといわれています。

北朝鮮が水爆の実験を行ったことに対して、国際社会は、強く抗議しています。
中国外務省の報道官は、「国際社会があまねく反対していることを顧みず、北朝鮮が再び核実験を行ったことに、中国政府は、断固として反対する」と強く非難しました。そして、北朝鮮から中国政府に対して事前に通告があったかという質問には、「中国政府は、前もって全く知らなかった」と述べました。

韓国のパク・クネ大統領は、国家安全保障会議で、「われわれの安全保障に対する重大な挑戦であるだけでなく、世界の平和と安定に対する挑戦だ」と批判するとともに、北朝鮮に対して「断固たる報復措置をとる」と述べました。
一方、韓国軍は、8日、南北の軍事境界線付近で、大型拡声機による軍事宣伝放送を再開しました。軍事宣伝放送は、北朝鮮が最も嫌がる心理戦といわれています。北朝鮮軍は、軍事境界線付近で一部部隊を増強していると伝えられ、韓国軍は警戒を強めているといわれます。

安倍首相は、記者団に、「我が国の安全に対する重大な脅威であり、断じて容認できない」と述べて強く非難し、「今後、わが国としては、国連安全保障理事会の非常任理事国として、国連安保理における対応を含めて、アメリカ、韓国、中国、ロシアと連携しながら断固たる対応をとっていく」と語りました。
一方、国会の衆参両院は、8日、それぞれ本会議を開き、北朝鮮の核実験に抗議する決議をいずれも満場一致で採択しました。

アメリカのホワイトハウスの大統領報道官は、「水爆の実験を成功させたとの北朝鮮の主張は、われわれの初期分析と一致しない」と述べ、水爆だったかどうかは疑わしいという認識を示し、さらに証拠の収集や分析を続ける方針を明らかにすると同時に、「いかなる種類の核実験であろうと挑発的であり、国連安保理の決議に対する目に余る違反だ」と非難しました。

国連安全保障理事会は、緊急会合を開き、北朝鮮の核実験を非難するとともに、制裁強化を念頭に、北朝鮮に対する新たな決議に向けた協議を始めることを全会一致で決めました。

2. 南シナ海問題

南シナ海は、中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、インドネシアなどに囲まれた海域で、数多くの小さな島や岩礁が点在しています。1970年代にこの海域に石油や天然ガスの存在が明らかになったことから、各国が領有権を主張することになり、対立が激化しています。特に、中国は、この海域での軍事活動を活発化させる一方で、スプラトリー諸島(南沙諸島)やパラセル諸島(西沙諸島)を含む領土境界線(9段線または9点破線)を一方的に主張し、埋め立てや軍事拠点化するなど人工島の建設を進めています。これについて、ASEAN諸国などは強く反発していますが、中国は、これらの国々に対して軍事力、経済力、政治力などあらゆる手段を使って圧力をかけています。
2015年10月アメリカ海軍は、南シナ海にイージス艦を派遣し、中国が作った人工島12カイリ内を航行させる「航行の自由」作戦を展開し、中国の動きをけん制しました。
2016年1月中国の民間航空機2機が、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島のファイアリクロス(永暑)礁を埋め立てて建設した飛行場で試験飛行を繰り返し実施しました。中国当局は、今回の試験飛行によって、「大型の民間機が安全に運航できることが証明された」と述べましたが、領有権を争っているベトナムなど関係国が強く反発しました。

3. 台湾総統選挙

台湾で1月16日に正副総統・立法院選挙(4年に1度)が投開票されます。総統選で有力視されているのは野党・民主進歩党の公認候補である蔡英文主席であり、当選すれば初の女性総統の誕生となります。一方、与党・中国国民党は現職の馬英九総統(現在二期目)の三選が禁止されているため、別の新しい総統候補を出す必要があり、当初は洪秀柱立法院副院長が総統候補として指名されていましたが、洪氏は親中発言で支持率が低迷したことや同日に行われる立法院選挙への悪影響が懸念されたため、国民党は朱立倫主席を新たな総統候補としました。それでも蔡英文氏の勝利が確実視されています。
2008年に発足した現・馬英九政権(国民党)が国民の支持を失った理由としては経済の低迷や格差拡大、相次ぐ不祥事などが挙げられますが、、最も大きな理由は急進的な対中融和政策です。2014年3月両岸サービス貿易協定の批准を巡って議会が紛糾し、学生らは経済的に中国に取り込まれることを恐れて「ひまわり学生運動」と呼ばれる大規模な抗議運動を行いました。
4. ASEAN経済共同体の発足

ASEAN=東南アジア諸国連合に加盟する10か国が、12月31日、域内の貿易の自由化や市場統合などを通じて経済成長を加速させることを目指すASEAN経済共同体を発足させました。
域内の人口は、EU=欧州連合(28か国)を上回る6億2000万人で、域内の総生産が2兆5000億ドル、日本円で300兆円に達する巨大な経済圏が本格始動しました。
ASEAN経済共同体では、域内の関税を撤廃するほか、小売りや観光などサービス産業の自由化、さらに医師や建築士といった特殊技能を持つ人材の移動の自由化などを進めることにしており、経済成長が加速することが期待されています。
しかし、最も発展しているシンガポールと遅れているミャンマーの間の1人当たりのGDP=国内総生産は、およそ60倍の開きがあり、経済格差の縮小が市場統合の課題になっています。さらに、各国には、自国の産業を保護するため、外国企業に対する規制などが残っていることから、こうした規制の緩和なども課題になっています。

・中東

1. サウジアラビア、イランと国交断絶

中東の大国でイスラム教スンニ派の盟主であるサウジアラビアが、シーア派の大国イランと外交関係を断絶したことから、中東情勢は、緊張が高まっています。
歴史的、宗教的に見て、サウジアラビアとイランは長い間対立関係にあり、サウジアラビアは、中東地域で大国として君臨し、一方同じシーア派の影響力を強く受けているイラク、シリア、レバノンでは、イランが後ろ盾になり、いわゆるシーア派ベルトを形成しようとする動きがあります。さらに昨年イランの核問題をめぐる欧米との合意、それに続くとみられる経済制裁解除などによって、イランが中東地域で力をつけてきていることに、サウジアラビアが焦りのようなものを感じていたといわれています。
サウジアラビアでは、1年前今の国王になって以降、イエメンの混乱に軍事介入するなど強硬な姿勢をみせていました。1月2日、イスラム教スンニ派の王族が実権を握るサウジアラビアが、反政府のテロに関与したとされる罪でイスラム教シーア派の指導者ニムル師を含む47人の死刑を執行したと発表、これに対して、シーア派のイランは、猛反発、3日、首都テヘランで、サウジアラビア大使館が暴徒化したデモ隊に襲撃され放火されたため、サウジアラビア政府は、ただちにイランとの国交を断絶しました。
4日には、サウジアラビアに続き、バーレンとスーダンもイランとの国交を断絶し、UAE=アラブ首長国連邦もイラン駐在大使を召還するなど、周辺諸国を巻き込んで、事態は深刻化しています。
内戦状態が続くイエメンで、イランの大使館がサウジアラビアの軍用機の攻撃を受けたと伝えられる中、8日イスラム教の金曜礼拝のあと、イラン各地で大規模な抗議デモが行われました。

世界には、イスラム教徒は、およそ16億人いるといわれ、そのうち9割はスンニ派で、残り1割がシーア派です。2つに分かれているのは、預言者ムハンマドの後継者をめぐる違いから生まれたものです。スンニ派は、イスラム教徒の話し合いで選ばれたものがカリフ(ムハンマドの後継者で、イスラム教徒の指導者)になるべきだとし、シーア派は、ムハンマドのいとこで4代目カリフであるアリーの血統を正統とみなすと主張し、激しい宗派の対立が続いています。
今回の対立によって、緊張が一気に高まった中東の2つの大国「サウジアラビア対イラン」という2国間だけでなく、「スンニ派対シーア派」という対立構図が中東地域だけでなく、世界に広がる恐れがあり、サウジアラビアとイランのいわば「代理戦争」となっているシリアとイエメンでの衝突が激しくなる恐れもあります。こうした状況は、勢力が弱まっているとされる過激派組織IS=「イスラム国」を結果的に利することになる可能性もあります。

2. 「IS=イスラム国」の動向

「イスラム国」というのは、2014年6月イスラム教スンニ派の過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS=Islamic State of Iraq and Syria(al-Sham大シリア)」は、シリア北部からイラク中部にまたがる地域に「イスラム国(IS=Islamic State)」の樹立を宣言、最高指導者アブ・バクル・バグダディを世界のイスラム共同体を率いるカリフ(預言者ムハンマドの後継者)と仰ぐ政教一致国家だと主張しました。しかし、国際社会は、「イスラム国」を独立国家とは認めず、イスラム諸国もこれを認めず、危険視しています。(ISISは、ISIL=Islamic State of Iraq and the Levantとも呼ばれています。Levantとは、レバント地方=エーゲ海および地中海東岸の地方で、シリア、レバノン、イスラエルの地域のことです)
2015年に入って、ISが関係したとみられる主な事件は、1月のパリの新聞社などの連続テロで17人が死亡していますし、10月には、トルコのアンカラでの爆破テロで、クルド人との和平を願う集会参加者ら約100人が死亡したほか、エジプトのシナイ半島でロシア機が墜落し、乗員乗客224人が全員死亡しています。11月には、レバノンの首都ベイルートで自爆テロがあり、40人以上が死亡、また、パリで同時多発テロがあり、130人が死亡しています。

一方、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)が12月22日発表したところによりますと、2015年に地中海を渡るなどしてヨーロッパ
諸国に流入した難民や移民は、100万人を超えたということです。
2015年は、シリアの内戦などに伴い、中東などからヨーロッパに流入する難民が急増し、1年間でヨーロッパにたどりついた移民や難民の数としては、第2次世界大戦以来、最大規模だということです。
地中海を渡った難民のうち、およそ50万人が内戦の続くシリア出身者と報告されています。

・アメリカ

1. 大統領選挙

4年に1度のアメリカ大統領選挙が11月8日に投開票されます。
今回の大統領選挙の争点は、対テロ対策、移民・難民対策、貧富の格差是正などとみられています。
本命視されているのは、女性初の大統領を目指す民主党のヒラリー・クリントン上院議員(68歳)で、大統領夫人、国務長官などのポストをつとめ、ワシントンの政治の中心に身を置き、最も次期大統領に近い存在です。2008年の大統領選挙以来2度目の挑戦になります。
一方、共和党は、8年ぶりに政権奪還をねらうことになりますが、党の大統領候補の指名争いの行方は明確ではありません。今にところ、既存政治打破を訴えて旋風を巻き起こし支持率トップを走っているのが、実業家のドナルド・トランプ氏(69歳)です。過激な発言を繰り返すたびに支持率が上昇しているとのことですが、「トランプ現象」がいつまで続くのか、ほかに有力候補がでてこないのか、全く予測がつきません。

アメリカの大統領選挙は、4年に1度、11月の第1月曜の次の火曜に投票が行われています。
選挙権を行使できるのは、18歳以上のアメリカ国民で、なおかつ事前に選挙管理委員会に有権者として登録した人たちです。
11月の投票は、有権者が大統領を直接選ぶのではなく、民主党の選挙人か共和党の選挙人を一括して選びます。選挙人の数は、50州と首都のワシントンの合わせて538人で、各州の人口に合わせて割り当てられています。選挙人の数が最も多いのは、カリフォルニア州で55人、最も少ないのが、アラスカ州などで3人です。
各州で、得票数のトップだった党の候補者が、その州に割り当てられた選挙人すべてを獲得する「勝者総取り方式」(winner-takes-all)をとっています。そして、選挙人538人の過半数の270人を獲得した党の候補者が勝ちということになります。11月の投票で、実質的に大統領が決まることになるのです。
12月には、11月に選ばれた選挙人が各州の州都に集まって、大統領を選ぶ投票を行います。それらは、首都ワシントンの連邦議会に送られ、1月に開票され、正式に大統領が明らかになり、就任することになります。

2. FRB=米連邦準備制度理事会(中央銀行)利上げ

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、12月16日、2008年12月から7年続けてきた事実上のゼロ金利政策を解除し、政策金利を9年半ぶりに引き上げることを決めました。これによって、世界規模の金融危機に対処したアメリカの金融史上例のない大規模な金融緩和策は終幕を迎え、世界的なマネーの流れを変える転換点となるものとみられています。
短期金利の指標となる政策金利「フェデラルファンド金利」の誘導目標を17日から、現在の年0.25%の実質ゼロの水準から年0.5%に引き上げられます。FRBが利上げを行うのは、2006年6月以来9年半ぶりのことです。政策金利というのは、アメリカの金融機関どうしがお金を貸し借りする際の金利のことで、銀行の預金の利息、クレジットカードや自動車ローン、住宅ローン、企業の有志などアメリカでのさまざまな金利に直接的、間接的に影響を与えます。

・世界経済

・世界同時株安

世界の株式市場は、2016年の年明けから株安傾向が続いています。
主な要因は、中国経済の減速、北朝鮮の核実験、サウジアラビアとイランの対立による中東情勢の不安定化、原油価格の下落などがあげられています。
1月8日の東京株式市場では、中国経済の減速懸念を背景に日経平均株価の終値が前日比69円38銭安の1万7697円96銭と、5日連続で下落しました。日経平均が年明けから5日続落するのは、戦後の1949年5月に東京証券取引所が再開されて以来初めてのことです。
一方、8日のニューヨークの株式市場は、原油の先物価格が下落したことを受け、売り注文が増え、ダウ平均株価は、前日より167ドル65セント安い1万6346ドル45セントで取り引きを終えました。










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