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4.国際情勢 ②アジア [国際情勢]

*2014.11.8の講座のテキスト*

4.国際情勢

①アジア

・アジアの特徴

アジアとは、一般的にいって、日本、韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、ネパール、ブータン、バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン、アフガニスタンなどの国々が存在している地域をさします。
アジアの第1の特徴は、政治、経済、社会、文化、宗教、言語、民族などの面で極めて多様性に富んでいることです。
例えば、政治的には、中国、北朝鮮、ベトナムなどは社会主義国家ですし、そのほかの国の中には民主化の進んでいる国もあれば、まだ軍が実権を握っていて民主国家とはいいがたい国もあります。経済的には、日本のような経済大国もあれば、シンガポール、韓国、台湾、香港などのように工業化が進んだ国や地域もありますが、まだまだ開発の遅れている国もいくつか存在するなど経済発展の段階がまちまちです。宗教的には、タイ、ミャンマーなどのように仏教徒の多い国、インドネシア、マレーシア、ブルネイ、バングラディシュ、パキスタンなどのようにイスラム教徒の多い国、フィリピンのようにカトリック教徒の国、インドのようにヒンズー教徒の多い国などがあります。注意しなければならないのは、宗教が違うだけでなく、それに基づいた考え方、行動、生活習慣、伝統など社会・文化全般にわたって違いが存在し、それが政治的対立にまで発展する場合もあることです。
アジアの第2の特徴は、冷戦が終わって25年が経過したにもかかわらず、不安定、不確実な情勢が続いていることです。例えば、韓国と北朝鮮や中国と台湾の対立、南シナ海や東シナ海における関係国の領有権争い、インドとパキスタンの国境紛争などがあります。また、中国国内では、新疆ウイグル自治区やチベット自治区でのイスラム教徒やミャンマー国内では、カチン族などの少数民族による反政府の動きのように、国内での反政府の動きもあります。また、北朝鮮の国内情勢についても不確実なところがあります。

・中国

中国は、正式名を中華人民共和国といい、世界、特にアジアの中で最も注目されている国です。面積は、約960万平方キロで、日本の約25倍、人口は、13億6000万人(台湾、香港、マカオを除く)で世界一、日本の約10倍です。
政治は、共産党による一党支配の社会主義体制で、経済は、社会主義市場経済と自ら憲法にうたい社会主義経済に大幅に資本主義の市場経済を導入しダイナミックな経済発展を続けています。中国は、政治的には国際社会で発言を強め、経済的には、その広大な市場に各国の関心を呼んでいます。
21世紀に入って、中国の発展は著しく、2010年には貿易で、輸出額で世界第1位、輸入額で第2位となり、国の経済力を示すGDP=国内総生産では、日本を抜いて世界第2位になり、アメリカに次ぐ経済大国になりました。また、先進国と新興国からなるG20(Group of 20)でも、重要な存在になっています。
しかし、中国は、都市部と農村部、あるいは沿岸部と内陸部に広がっている経済格差、長年の共産党支配による汚職の蔓延などの国内問題を抱えるとともに、少数民族への弾圧や人権抑圧が国際社会からの批判をあびています。軍事力も東アジアでは突出しており、東シナ海や南シナ海で、日本や東南アジア諸国と対立を深めています。
中国の最高指導者は、習近平(しゅう・きんぺい  XI Jinping)氏で、党、政府、軍のトップです。習近平氏は、1953年生まれ、2012年共産党総書記(中国では、党が国家を指導するということになっているので、あらゆる組織の中でトップの地位)、党中央軍事委員会主席に就任、2013年国家主席、国家中央軍事委員会主席(中国軍が「党の軍隊」であるため有名無実)に就任しました。任期は、1期5年、2期までが原則です。

日中関係は、東シナ海の尖閣諸島(中国名は、釣魚島)の領有権や安倍首相ら閣僚の靖国神社参拝などをめぐって対立しており、安倍首相が2012年12月就任して以来2年近く経ちますが、まだ日中首脳会談は1度も開かれていません。こうしたことから、2014年11月北京で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議首脳会合を機会に、日中首脳会談が開かれるかどうか注目されます。

・韓国

朝鮮半島は、1910年の日韓併合から1945年の第2次世界大戦での日本の敗戦までの35年間日本の植民地でした。1948年8月南半分に大韓民国(韓国)が、9月北半分に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が成立しました。1950年から53年まで朝鮮戦争がありましたが、休戦協定が調印されました。
1961年から1987年まで軍事政権が続きましたが、その後は民主的な選挙で大統領選挙が行われ、文民大統領が続いています。1991年韓国と北朝鮮は、国連に同時加盟しました。
現在の韓国のリーダーは、初めての女性の大統領であるパク・クネ(Park Geun-hye 朴ク恵)氏です。1952年暗殺されたパク・チュンヒ大統領の長女として生まれ、2012年の大統領選挙で当選、2013年に就任しました。
パク・クネ大統領は、就任時には支持率は60%台ありましたが、2014年4月290人以上の死者をだした旅客船沈没事故の対応をめぐって国民の不満を背景に40%台に下落してしまい、大統領府や内閣の人事の大幅異動を行い、態勢の立て直しをはかりました。
日韓関係では、竹島(韓国名で独島)をめぐる領土問題、安倍首相ら閣僚の靖国神社参拝、いわゆる従軍慰安婦問題、産経新聞前ソウル支局長がパク・クネ大統領への名誉棄損で在宅起訴された事件などきびしい対立が続き、安倍・パク・クネの日韓首脳会談はまだ実現していません。

・北朝鮮

北朝鮮は、社会主義国家で、その最高指導者は、建国の1948年から現在に至るまで3代の世襲で、キム・イルソン(金日成)、キム・ジョンイル(金正日)、キム・ジョンウン(金正恩)と引き継いでいます。そして、中国と同じように、党、国家、軍のトップの座にあります。
現在の3大目の最高指導者は、キム・ジョンウンで、1983年生まれ、2011年父のキム・ジョンイルの死去で、まず朝鮮人民軍最高司令官(元帥で軍のトップ))に就任、翌2012年には朝鮮労働党第一書記(党のトップ)、国防委員会第一委員長(憲法で国家のトップ)に就任しました。
北朝鮮は、核やミサイルの開発を進めており、国際社会から批判を浴びています。この問題をめぐって、北朝鮮とアメリカ、中国、ロシア、韓国、日本による6か国協議が続いていましたが、現在話し合いは決裂しています。
日朝関係については、外交関係はありません。日朝政府間協議は、断続的に開かれていますが、合意には達していません。日本は、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はないと主張し、北朝鮮は、北朝鮮の日本人に関する調査を行うと約束しています。しかし、その調査の結果は、まだでていません。

・ASEAN

ASEAN(=Association of South-East Asian Nations)は、東南アジア諸国連合という地域協力機構のことで、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10か国が加盟しています。域内の経済成長、社会文化の発展、政治経済の安定を目的にしています。最近では、首脳会議を年1~2回、外相会議も年1~2回ひらいています。2015年に域内単一市場をもつASEAN経済共同体の創設を目指しています。
ASEANは、域外との外交を積極的に展開し、東アジアサミットをASEAN10か国、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドと開き、これらにアメリカ、ロシアが加わって18か国で構成されています。また、アジア太平洋地域の政治や安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF=ASEAN Regional Forum)をASEAN10か、日本、中国、韓国、北朝鮮、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、EU、インド、パキスタン、モンゴルなど合わせて27の国と機構で開いています。

・インド

インドは、人口が12億5000万人で、中国に次いで世界第2位で、年率平均6.7%と急速な経済成長をとげ、中国、日本に次いでアジアで第3位の経済規模です。G20やBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興国ノグループ)の中で非同盟諸国の中心的な存在です。
2013年総選挙で与党の国民会議派が、最大野党だったインド人民党に敗れ、人民党のモディ氏が首相に就任しました。
日印関係については、2014年安倍首相がインドを訪れ、共同声明で、「日印戦略的グローバル・パートナーシップの強化」をうたい、モディ首相は、就任早々訪日し、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップのための東京宣言」を発表し、日米印外相間対話の開催をめざすことで合意しました。これは、中国をにらんだ動きとして注目されています。

(この項終り 2014.11.7)















タグ:時事問題
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